DNAに惑わされ 54

道明寺家長男坊、道明寺駿君。

恋バナのお話も最終話向けて進行中。

60話までには終わらせたいと思ってます。

そして、そろそろ大人の恋に進展させる次回作を妄想中です。

英徳から都内の公立高校に通って早1年と半分を過ぎた。

目立たず、騒がず、騒がれずを目論む高校生活は最初から崩れてた。

そして今、僕は普通の高校生ならまず来ることはない煌びやかなパーティーに招待されてる。

道明寺司の息子ってことじゃなく映画の出演者の一人として参加。

そしてなぜだか僕の両親もこのパティーに参加してる。

僕の予定はきっと両親には筒抜けなのだろう。

高校では一目置かれてる青葉数馬。

どんな意味で注目を集めているのかは想像に任せておこう。

ようやく僕のことを認めたって思ったらなぜか僕の親友に早変わりした。

悪いけど君といても僕は全然楽しくない。

それに僕には蒼という親友がすでにいる。

今日ここに蒼を連れきてたら現状は少しは変わったのかな?

僕を残してベランダから外に出ていった鮎川はいまだに戻ってくる気配はない。

長すぎないか?

そわそわする僕は鮎川のいるはずの方向が気になって仕方がない。

「なぁ、駿、お前まだ映画に出たいとか思ってるのか?」

僕に真顔で話しかけてきた父さん。

壁際にも背中をもたれかけたすらりとした長身は斜めに伸びた影を床に作る。

横顔を照らすのは壁に取りつけられたエクステリアライトの淡い光。

独特の雰囲気を作りだすオーラ。

ため息交じりに見とれてる女性の上気した表情。

父さんが目立つのは今に始まった事じゃない。

自分に見惚れてる女性は完全に眼中にない父さんの瞳は柔らかい談笑を美作のおじさんに浮かべてる母さんに注がれてる。

不服そうな表情を浮かべてるんだったらさっさと母さんのもとに戻ったらと言いたくなる。

「そんな気はないよ」

早く母さんのもとに行けば。

愛想のないぶっきらぼうな声。

そして、父さんに並ぶようにボスッと僕は壁に背中を持たれかけた。

「父さんの後を継ぐかもまだ決めてないし」

ジロリと僕を見下ろす視線。

母さんからようやく僕に興味を持つ表情が父さんに浮かぶ。

「そう簡単に、俺の後を継げるって思うなよ。

息子だからって甘えてもらったら困る」

冷酷にも見えるほどのクールな瞳。

瞬きを一つ、その瞳を隠して、開いたときにはその瞳は僕から母さんに移っていた。

「おい、こら、あきら、いつまでもつくしとべたついてんじゃねぇよ」

父さんの我慢の限界も達したらしい。

母さんにべたべたしてるの父さんだって思うけど。

美作のおじさんの肩を押しやった父さんに不服そうな表情を浮かべる母さん。

二人の言い合いを見るのはこれで今日は何回目だろう。

僕が物心ついてから今日まで数えあげればきりはないけどね。

「待たせてごめん」

鮎川の声にすぐに気が付いて後ろを振り向く。

「決着はついた?」

鮎川の態度に変わったところはなくて、落ち着いたままの表情を浮かべる鮎川。

気になって落ち着けなかったことがばれないようにおどけた声で問いかける。

「決着って何よ。喧嘩をしてたわけじゃないから。

宣戦布告はされたけどね」

僕をあやす様な柔らかな表情で鮎川が微笑んだ。

「宣戦布告?」

「そう、宣戦布告」

宣戦布告されたって割には穏やか。

「彼女、駿君のこと、あきらめないんだって」

鮎川と二人で話したいって僕の前から連れていったのは共演した新人女優の河合香住。

鮎川の声に初めて棘を感じた。

「可愛い子に好かれて、うれしいよね」

好まれるのは僕の責任じゃない。

それに成り行きで映画にまで出ることになったのは鮎川の親父さんのが原因だ。

鮎川の冷静さの中に腹を立ててる鮎川の本音がちらりと見えるから胸の奥にくすぐったい感情が生まれる。

「可愛いかな?

僕は目の前の彼女にだけ心を奪われてるんだけど」

僕を見つめてた瞳が一回り大きく見開いてそして目を細める。

動揺を見せる鮎川にドキンと心臓が一つ高鳴った。

「菜花・・・」

必要以上にやさしく甘くなった声が鮎川の名前を呼んで、鮎川の手を握った。

そのまま二人で並んで壁にもたれたまま会場を眺めてる。

会場に流れる音楽はオーケストラが奏でる生演奏。

映画の主題歌の穏やかな曲のイメージがバイオリンの調べで流れている。

会話もないまま流れる時間。

手のひらの中に鮎川の温もりだけを感じてた。

拍手コメント返礼

アーティーチョーク 様

冗談もほどほどに!

言いたくなりますよね。

青葉君の場合冗談じゃなく思いこみだから始末に悪い。

駿君の恋愛事情。

つかつくよりは平和ですよね。あとは楓さんが菜花を気にいるかどうかかな?

りり 様

つくしの場合は親友だとは思われなかった分だけまだましじゃないのかな?

大人の恋バナは大学編で~♪

いつになるのだろう・・・(;^ω^)