愛を叫べ! 1

連休も終わったと思ったら今日は木曜日。

お休みの方もお休みじゃなった方もお疲れ様でした。

さぁ、ここから順調に二次の更新を頑張ろうと思ってるのに・・・

何が邪魔するって~

それは目の前の週末。

今日から二日でどれくらい頑張れるかなぁ・・・(;^ω^)

腕を引っ張って歩いてる手のひらにかかる抵抗感。

ぐっと突っ張った腕の先で膨れっ面のあいつ。

「水をぶっかければよかった!

大体私が水をかけられる必要はないつーの」

片方のぶらっとしていた腕はだんだんと上に持ちあがりしっかりと拳をグッと握っ周りの空気を一気にまき散らすように振り下ろされた。

腕を振り下ろすパフォーマンス。

それじゃ、水をかけるだけじゃすまねぇだろう・・・。

殴ってるだろう。

「俺が代わりにやってきてやろうか?」

「あっ・・・一応依頼者、お客様の関係者だから・・・」

本当にやりかねないと躊躇する表情に変わる。

「水をかけられただけだし・・・

実質的被害があったわけじゃないから・・・」

「被害者はお前じゃなくて俺になるんじゃねぇの?」

少し腰を曲げてつくしの鼻先に顔を付きだす。

息のかかる距離に戸惑うように首をわずかに後ろに引っ込める。

カメじゃねぇんだから顔ごと隠すのはムリだろうが。

「どうして道明寺が被害者になるのよ?」

首をわずかに横に傾げて考え込む表情は中学生並みに幼い。

「お前が濡れたせいで風邪ひいて、熱出したらどうなる?」

「どうなるって・・・

道明寺じゃないんだからそのくらいで風邪なんてひかないわよ」

「もしも・・・だよ」

「もしも?」

「ないない」

手を左右に思いっきり首と同時に振って大笑いされた。

こいつが身体壊すとしたら食いすぎ、賞味期限きれのものを食って腹壊すとか・・・

そんなもんか?

それも見たことねぇし・・・。

高校の頃働きすぎて疲労で倒れたことが一度あった。

あんときは、俺はこいつのそばにいてやれず、類が・・・看病して・・・

ムカついてきた。

お前が倒れたら今度はしっかり俺の手で思いっきり看病してだな、お前に感謝、感動させてやる。

「怒った?」

「あっ!」

「ほら、こめかみに青筋がたってるし・・・

笑ったのが気に障ったのなら謝るから」

あやすような言い方でつくしの指先が俺のこめかみに触れてそのまま頬に落ちる。

「じゃねぇよ」

不機嫌に出したつもりの声は全然らしくねぇ拗ねた声。

頬につくしの指先のやさしい感触を感じながらフッと笑みがこぼれた。

「お前が熱だしたら、お前が俺に夢中になる愛し方できないからな」

頬から離れて落ちていきそうな指を俺の手のひらが捉える。

震えてるのか、力が抜けたのか頼りないほっそりとした細い指の感触。

「どどどう・・・」

俺は馬かッ。

「ど・・・う道明寺、さっきから変だよ・・・」

「本当のことだろ、俺以外でお前を夢中にさせるやつはいないはずだ」

俺の首に腕が届くようにグイとそのまま手に取ったつくしの腕を持ち上げて見せる。

わずかに身体に寄り掛かったつくしの重み。

身体のバランスを助けるように片腕はウエストを自然と包み込む。

少し首を傾ければ唇が触れ合えるまで近づいた二人の空間。

きょろきょろと落ち着きなく周りを彷徨う視線。

「ここ、まだ・・・店の中だから・・・」

コツンと踵を床につけながら俺の胸元に落ちる視線。

消え入りそうな声は朱色に染まってる。

胸元を揺らす吐く息までも不規則で落ち着いてない。

「店を出ればいいのか?」

耳元でゆっくりと言葉を吐く。

大きく見開いた瞳が俺を見上げた。

「店を出たら事務所に直行するに決まってるでしょう」

怒鳴るように吐き出す声。

それでもまだ動揺してるのは隠しきれてない。

これ以上こいつ見てたら緩みすぎる頬を耐えることもできなくなりそうで崩壊まではたやすい。

「もうこれ以上、変なこと言わないでよね」

「変なことじゃねぇだろう。俺はいつでも本気だ」

一歩俺を追い越したまま前を進む後ろ姿。

照れて不機嫌なフリをしてる素直じゃないやつ。

無性に抱きしめたくて、抱きよせたくて・・・

そんな思いで見つめてるって言ったらまたむくれるんだろうな。

「本気で、お前を愛してる」

つぶやく声が耳に届いたのか歩みが止まってあいつが振り返った。

「もうッ」

つきだしたのは唇だけじゃなく両腕も同時。

胸元を押すように伸びてきた腕の力はくすぐっる程度の微力なもの。

「もっと聞きたいか?」

「聞きたくない」

そんなつくしの身体を強引に引き寄せた。

腰に腕を回したまま店のドアを引く。

「離れてよ」

「ダメだ」

「歩きにくいから」

「慣れろ、これが俺の定位置なんだから」

「隣にいるのはしょうがないって思うから、もう少し離れてよ。近すぎだって」

「俺にはちょうどいい」

そんな小さな言い合いと肩の押し付け合いの駆け引きは何度となく続く。

路肩に寄せて止まっていた車。

後部席のドアが開いた瞬間にどうでもいい様なじゃれ合いはくすぐったさを胸の中に、身体の中に残しながら現実に戻った。