ANSWER 34

昨日はまだしゃべれない赤子の佑君。

あきらパパを困らせるのはしょうがないお年頃。

16年経つと悩み多き多感な高校生になるんですよね。

さてこの恋の行方の決着はどうなる?

「どうした?」

「入ってもお邪魔にならいでしょうか?」

聞こえた声は私よりももっと赤く色づく声。

声の主はさっき診察だと呼びだされた大内先輩とそれにつき添って出ていった本城さん。

偶然でもベッドの上に佑に押し倒された格好に私が倒れこんだのは数秒前。

慌てて起き上って離れたのは当たり前だが、それほど乱れてもないスカートの裾を両手で抑え込んだのは条件反射的なものだって思う。

お邪魔なんてこと考えないで~

その思いは喉の奥に張り付いて声にならない。

私と目が合った本城さんはきっと私に負けないくらいの赤い顔で・・・

目元がほんのり赤く色づいてうっとり夢見るような表情に変化してため息を漏らす。

「わざと見たわけじゃなくて、なんだかうらやましいくらい仲がよくて・・・」

その声を無視するようにコツコツと聞こえた松葉づえの音。

それは無情にもすごく冷たく響いて本城さんの前を通りすぎる。

そして・・・

そのまま私たちの前も無言で通りすぎた。

「何か、言いたいことあるんですか?」

あれは別に何か意味があるわけじゃな咄嗟の出来事。

変に勘ぐられても困る。

「何やってる?」とか疑問符付で聞かれたらしっかり説明できるのに、この男はその機会も自ら無にしてくれてる。

「別に」

興味がないて感じの冷めた声。

そのままベッドの端に腰を下ろして声と同等の冷たい表情が私たちの真正面にある。

それならそのまま背中を見せてベッドの上に寝転がってほしい。

えーと・・・

なんだかは負のオーラーが冷たくゆらゆらと背中から立ち上ってるように見えるのは錯覚なのだろうか?

興味がないといった態度の割には不愉快さがにじみ出てるような雰囲気に見えてきた。

「帰ってくるの早くないですか?」

帰ってこなくていいのに的な佑の冷たさ。

佑の不愉快さは冷気じゃなく熱い炎が揺らめいてる。

二人が不愉快さを感じてるのは間違いないのにこの対照的な温度の・・・熱の・・・違いは何なのだろう?

「事故があって、救急が来て主治医が呼びだされて診察できなくなったんです」

答えてくれたのは本城さん。

「邪魔したかな?」

ほんの少し口角を上げ顎をわずかにしゃくって漏らした笑み。

これほど笑うという文字が似合わない笑みを私は見た記憶がない。

「邪魔されるようなことはしてませんから」

「へぇ・・・そうなんだ」

さっきから奥歯にものが挟まったような言い方。

この人こんなに意地悪な言い方する人だっけ?

せっかく見直したのにそれを一気に落第点まで落ちる態度。

その目は私じゃなくその横の佑を挑発的に見てる気がした。

「別に、俺と舞が何をしてても関係ないですよね?」

何をッて!

何もしてないじゃな!

そりゃ、手を握られて久々にドキドキしたけど、それ以外何もないでしょっ。

挑発的なのは大内先輩だけじゃなく佑も挑発してる。

二人とも冷気を帯びすぎ!

冷ややかな言葉の攻防は単なる殴り合いよりも対応に困る。

冷戦って・・・

こんな場合を言うのだろうか?

「あの・・・恭様・・・

先ほどから何を怒ってらっしゃるんですか?」

「私、何か恭様に嫌われるようなことしでかしました?」

うるっとって今にもこぼれ落ちそうな瞳。

両手の指を交差させて胸元で手を組んでる本城さんは今にも両膝を床について神に許しを請うために祈りだしそうな雰囲気を秘める。

ついには服が白装束に見えてくるような気がしてきた。

「帰れって言ってるよな?」

その声は追従を許さない意思を冷ややかに見せる。

本城さん・・・

たぶん・・・

このくらいじゃ引かないよね。

意外と強い心臓を持ってるのはここ数日でわかってきた。

「帰るときは、恭様と一緒です」

なぜかここでガシッと拳を作ってにこりと微笑みを見せた本城さん。

「お前なッ・・・」

唇がわずかに動いて見せた笑みは冷たく笑ったようにも、あきらめを表すような笑みにも見えて・・・

少しだけ大内先輩の感情が揺れたように見えた。

「舞ッ」

冷戦を打ち破る勢いで弾丸の勢いで病室に飛んできたのは翼。

ぐっと肩を押さえつけて私にすごむ翼は珍しい。

「どうした?」

私よりも先に驚いたように声を上げたの佑。

「舞・・・何か聞いてないか?」

「何かって?何を?」

不安にゆがむ真剣なまなざしの翼。

「すずと連絡が取れなくなった」

え?なんで?

今日は学校休みだから家にいるんじゃないのか?

携帯から連絡を入れて聞こえてきたのは留守番サービスの無機質な声。

「出ない・・・」

手に持った携帯をじっと3人で見つめたまま固まった。

拍手コメント返礼

りり 様

このまま何事もなく過ぎると翼くんのほほんと行きそうなので愛の鞭を用意してみました。

どんな試練が待ち受けるのかお楽しみに♪

アーティーチョーク様

まだ連絡が取れないだけで行方不明かどうかはわからない状態です。

翼の早合点、勘違いということも・・・(;^ω^)

それはないぁ・・・

さぁここから忘れられない冒険が始まるのだ。