甘い吐息は熱い瞳に寄せて

司を別すると恋バナを書きたいと思ったのは私の場合あきら君でした。

司とつくしのお話以外は私には書けないのでオリキャラを作るしかなくて・・・

それもつくしに似てる雰囲気だけど似てない感じでなんて無理な注文。

参考にしたのは『はぴまり』の千和と北斗。

北斗とあきらの性格じゃ随分と違いますけどね。

そこからあきら&葵のお話が生まれました。

そして佑君が生まれたこれがまた人気ものに成長して舞ちゃんとの恋バナ進行中。

そしてあきらと葵のお話もたまに覗いてみたくなるということで今回新しく短編用のカテゴリーを追加してみました。

いッたいどこまで増えるのか最近怖くなってます。(;^ω^)

*

「本当にいいの?」

「いいって」

「本当に、大丈夫?」

リビングからの玄関まで距離。

今日は司のところの無駄にでかい屋敷の広さより移動に時間がかかってる。

俺に抱っこされた佑はすこぶる機嫌がよくて、まだ言葉にならない声を上げて俺に話しかけてくる。

「あ」とか「あ、あ」としか言葉になってない声。

それでも意味がわかると自分で想像をかき立てて喜ぶ親ばかぶり。

声を上げて笑えばそれだけで無性にうれしくて、愛しさが込み上がる。

「ほら、ママにバイバイって」

玄関で靴を履いてまた振り返る葵に佑の手を取ってバイバイと手を振らせた。

「行ってくるから、何かあったら連絡してよね」

心配した割には玄関のドアを閉めて遠ざかる足音は機嫌よくハミングしてる。

「子育てしてるとたまには一人の時間がほしいって思うよね」

「旦那なんて会社に行って、勝手に飲み会や友達と出かけたりして自分の時間しっかり遊びに使って、

子供が生まれても大して変わらないんだから」

何気に聞こえてきた会社の女子社員たちの会話。

休み時間に何をやってもいいが、聞こえてきたのは夫の悪口。

俺は仕事が終わったら速攻で葵と佑にもとへと帰る。

風呂にもいれるし、ミルクも飲ませる。

オムツも替える。

休みの日には葵とベビーカーを押して外に行くのも忘れない。

それだけじゃダメか?

葵も一人の時間がほしいと思うのだろうか?

「いま、一人で何かやりたいこととかある?」

気になって数日、悩んで我慢しきれずに葵に聞いた。

「美容室・・・

髪を切りたいかな」

肩を覆うつややかな黒髪。

髪の毛先を人差し指で遊ぶようにくるりと巻いた葵。

「切るって、短くバッサリじゃないよな?」

葵の指先から髪を奪うように手のひらを差し入れる。

「切るのはいいけど、あんまり短くなると困る」

「あきらって、長い髪が好きだったけ?」

「葵の長い髪に指を差し入れて、乱すの好きなんだ」

鼻先を髪にうずめるように近づけて嗅ぐ葵の香り。

俺のこんな仕草に照れるウブさは知り合った時となんら変わらない。

「もっ」

拒む仕草に甘く色づいて混じる声。

俺と葵の間には葵に抱かれてすやすや眠る佑。

「よく寝てるな」

「うん」

こんな時さえも邪魔だって思えねぇ可愛い寝顔。

「起きなくて良かった」

ホッ緩んだ頬がそのまま笑顔を見せる。

「それって、俺がお前に手を出せなくてよかったと思ってる?

それとも、このまま佑が寝てくれたら俺に甘えられるって思ったとか?

どっち?」

「あのね、せっかく寝かしつけたんだから起こすようなことしないの」

「起こすって、どんなこと?」

何言わせる気って警戒した葵の表情をもう少し困らせたくなる。

そして、今。

休日の昼間葵が美容室に行く間、佑の面倒を引き受けて見送った俺。

「さぁ、佑、男同士二人きりだぞ」

閉まった玄関のドア。

じっと見ていた佑の瞳が不安に揺れる。

俺に何かを訴えるように見つめて口元がプルッと震えだした。

泣くのか!

まだ葵が出ていって1分も経ってない。

「ふえぇーん」

泣いた。

「わー泣くな」

「パパだぞ」

いつもはそんなに泣かないじゃないか。

抱っこしてる腕を左右入れ替えたり高く上げても変わない泣き顔。

葵が帰ってくるまで何とか乗り切ろうじゃないか。

音の出るおもちゃにぬいぐるみ、動く車のおもちゃ。

興味を示すのは一瞬。

そして思いだしたようにまた葵を探し始める。

「ただいま」

葵が帰ってきた3時間後。

泣きつかれて寝入った佑を膝の上にのせてソファーで脱力してる俺。

「大変だったみたいだね」

くるりとした瞳が俺と佑を覗き込む。

「仕事のほうが楽だ」

実直な俺の感想。

こんなに俺をつかれさせるのは凶暴だった牧野に会う前の司以来。

「おかげ、私はリフレッシュ出来たから、ありがとう」

極上な笑顔で葵が俺を見つめる。

そろえた程度に長さで軽めの感じにカットされた髪。

俺の要望通りの長いまま。

それだけでくすぐったさが胸の中にあふれてくる。

いつもは無造作に束ねたままの髪がブローしたてのつややかな輝きを放つ。

「似合ってる」

伸ばした腕は指先を髪の中をスルリと滑らせて葵の頭を俺のもとに引き寄せた。

拍手コメント返礼

りり様

母しかダメって時期ありますよね。

姿が見えないだけでもダメ。

我が家の子供は私がトイレにいるときもついてきてたなぁ。

幼児期まで我が家のトイレのドアは解放状態でした。

ごえもん 様

このパパ遺伝子引きついでるはずの佑君。

引き継いでるはずですよねと切に願う佑ファンのかた多いんですよね。(;^ω^)

やまもー 様

あきら&葵のお話もちょこちょこと続けていきたいと思ってます。

イメージの女優さん、実はイメージが固まってません。

日々いろいろ変わってるんですよね。

昨日は図書館戦争を見たせいか、榮倉奈々ちゃんもいいかなぁと思っちゃいました。

でもちょっと違うんだよなぁ・・・(;^ω^)