DNAに惑わされ 55

駿君正体もしっかり青葉君に印象付けてこれからは平和に・・・

平和なのか?

疑問は残りますが・・・(;^ω^)

駿君の高校生活どうなることやら~。

最近・・・しんどい。

昼休みに教室の入り口に張り付く生徒は徐々に増えている。

映画完成披露パーティー。

日本でもっとも有名な映画の巨匠櫻井翔五郎最新作。

テレビやニュースに取り上げられないはずはなかった。

自分の姿は小さく映って秒速で流れる小さな扱い。

そんなつもりだった。

そんな淡い期待は無断に砕け散る。

主役より派手な扱い。

なんせ、監督が僕の肩の上に腕を置いてにこやかにご機嫌な表情を浮かべる写真があちらこちらで目についた。

おかげで僕の副業は高校全体に知れ渡り注目の的。

誤魔化す時間なんてなかった。

パーティーの翌日のスポーツ新聞の一面だもんな。

以前みたいに教師からの呼びだしがないのは成績TOPを更新中の学生の本文を貫てるからか、はたまた父さんがしっかりか裏で動いてくれたからなのか・・・。

そこはあまり考えずにおこうて思う。

「きゃーっ」

教科書を何気なしにパラパラと捲っただけで上がった悲鳴。

「動物園の人気者と変わらないな」

いつもの調子で声かけてきたのは僕の親友の蒼。

蒼だけは僕の親が道明寺司だとしっても、映画に出て人気が出たわかっても全く変わらない態度で接してくれる。

「どころで、あいついつの間にお前のマネジャーになったの?」

入り口で生徒相手に両手を広げて交通整理中の青葉を蒼が顎でしゃくって示した。

「道明寺、ここは俺に任せとけ」

振り返って僕にそう告げる声はやたら自信満々。

無理やり教室に入ってくる腕が青葉の広げた腕をすり抜けて伸びてる。

駿君~、駿様~、シュン~

中には先輩と僕を呼ぶ声。

呼び名はいろいろ。

僕の情報は学校を飛び出して、放課後の校門の前でまってる他校の制服の女の子の姿も少しずつ目撃されてる。

まだ映画は公開前なのにこれじゃ先が思いやられる。

「おい押すな。もうすぐ授業だぞ」

その姿は暗雲立ち込める魔界の入り口から伸びてくる冷気を帯びてる腕。

ホラーの一場面にも見えてきた。

青池が閉めたドアの向こう側にまだ張り付いてる人型の影。

これは真夜中なら本当にホラー。

「これで、お前が大財閥の御曹司ってばれたら大変だろうな」

一仕事したって雰囲気で額の汗を腕でぬぐいながら息を切らせた青葉が僕の机の前に立つ。

青葉、君が口を滑らせなければな大丈夫だよ。

心の中でつぶやく声。

今僕の周りに蒼と鮎川しかいないから青葉の声はほかの生徒に聞こえてないのが救い。

「おい、睨むなよ」

そんなつもりはないのに無意識で視線が鋭く尖ってしまって青葉を見たらしい。

できればこいつにかかわりたくない。

青葉を排除したい本音が威嚇してたのかも。

思わず目頭を押さえこんで目つきを直す努力。

「俺もあの映画に出たら人気出たんだろうな。

今、駿にキャキャー言ってる女の子たちも僕のものだったんじゃないかな」

悦に入った表情でそう話す青葉は僕から睨まれたことなんかきれいさっぱり忘れてる。

父さん譲りの不機嫌な表情もどうやら青葉に通じないらしい。

「その前に青葉が映画に出演できるかどうかがはなはだ疑問」

腕を組んで考え込む素振りを蒼が見せる。

「そうなんだよ、俺クラスだとやっぱり最初から主役だよな」

蒼に同調した青葉に一瞬驚いたが、そっちに勘違いしたのかと呆れるより苦笑気味に蒼と僕は顔を見合わせた。

授業の始まりのベルに自分の席へとみんな戻る。

ようやく静かになったところで隣の席の鮎川を見た。

席替えで隣になった僕と鮎川。

そんな小さな偶然でも心を浮きださせてくれる。

いつでももっと近い距離で一緒にいられる僕らなのにこのうれしさはなんなのだろう。

真正面を見据えたままの鮎川の腕だけが動いて僕の机の上そっと手を置いた。

その手のひらの下から出てきた色とりどりの小さなメモ用紙。

ちらりと見えたピンク系のかわいらしいキャラクター付きに花柄、リボンにハートマーク。

女の子が好きそうな柄に目が留まった。

「校門から教室につくまでに渡されたの」

ようやく僕を見てにっこりとほほ笑みを浮かべた鮎川。

「無視していいのに」

「無理やり渡されるの」

笑ってるけど目は笑ってない鮎川。

メモの中見は見なくてもわかってる。

携帯番号やメルアドにSNSのIDとか。

もらっても連絡したことなんてあるわけない。

「最近さ、席が駿君の隣になったでしょ、そしたら増えてきたんだよね。

手紙渡してとか・・・

紹介してとか・・・

携帯番号とかメルアドとか知ってる?とか・・・」

やっぱり、鮎川怒ってるだろう。

僕がさっき青葉に向けた視線より言葉に鋭い棘がある気がする。

「鮎川、まさか僕がこの子たちに連絡してるとか、喜んでるとか思ってないよね?」

上半身だけ鮎川に向きを変えて下から覗き込むように身体を寄せる。

「昨日まで菜花って呼んでたよね?」

え?

あっ・・・?

まだ慣れてないんだよ。

名前で呼ぶの。

まだ頭の中じゃ鮎川のままで、ワンクッション置いて頭の中で鮎川を菜花に変換する作業が時間のロス。

「別に、それはなんの意味もないから!」

「なんの、意味もなかったんだ・・・」

少し目を細めて大人の表情で鮎川が僕を見つめる。

え・・・と

だから・・・

こんな時はどうすればいいの?

思わず頭の中で助けを求めたのは父さんじゃなく美作のおじさんと西門のおじさん。

意表をつく鮎川の反応にたじろいでしまってる。

くそっ。

ポケットから取り出したスマフォ。

画面を操作すること数十秒。

「菜花以外の連絡先は消したから」

画面に表示した連絡帳にはただ一人だけ。

「全部消したの・・・?」

驚く表情で僕とスマホの画面を見比べる鮎川にこくりとうなずいた。

「気になるならスマフォを菜花に預けてもいい」

「それじゃ、私から連絡しても意味ないじゃない」

ようやくクスリと鮎川が笑った。

「困るんじゃないの?」

ケラケラと本気モードの鮎川の笑い声。

困らないってここは男らしくいいたいとこだけど・・・

携帯番号を暗記してない現実。

覚えてるのは母さんと鮎川の番号ぐらい。

「蒼の番号は登録していいかな?」

鮎川にそう確認する僕にクスッと微笑みを浮かべる鮎川。

機嫌は直ってるって確信できる。

「蒼君、どうして消したんだって怒るかもね」

「あいつが怒る分はどうでもなるから」

鮎川の機嫌を損ねるほうが確実に僕は焦るって思う。

蒼が聞いたらさすがにむくれるなと思いながらも本気でそう思ってた。

拍手コメント返礼

アーティーチョーク様

お知らせありがとございます。

大事なとこ間違ってましたね。(;^ω^)

ここまで目立ったら騒がれるのはしょうがない。

静かな学生生活は無理でしょうね。