情熱は迷宮で愛に迷う 4
おはようございます。
このお話は5話で完結したいと思ってます。
ポイ捨ての愛弟子さんそれでいい?
いや~しかし、いつも楽しいポイ捨てに感謝。
拾う価値ありすぎですよ♪
「結局、司のやりたい放題、好き放題って感じだよな」
「司のあんな崩れそうな顔、ほかじゃ見られない」
「牧野は必死そうだけどな」
一通りに牧野のお披露目が終わって壇上を降りた俺たちを悪友が取り囲む。
「もう、頬が引き攣って戻らない」
俺の横でぎこちなく笑っていた牧野。
両手を頬に当てて筋肉をほぐすような仕草を見せる。
必死で俺の婚約者を頑張ってたこいつはすげー可愛かった。
口ではもうヤダとか、こんなの聞いてないとか・・・
愚痴ってるくせに俺に恥をかかせないように頑張ってる姿はジーンと俺を感動させてこの上ない幸せを感じてた。
俺の横で俺のために頑張ってるこいつは最高に愛しい。
「まだ結婚したわけじゃないのにバカなんじゃない?」
いつもより下に下げた視線。
小生意気な顔が小生意気な口調で俺を見上げる。
「結婚は牧野の大学卒業を待ってるだけなんだよ。
その時お前はいくつだ?
到底結婚でくる年にもなってねぇだろう」
まだ高校にも通えねぇ年のガキがどうあがいても牧野につりあうわけねぇ。
「あんまり長くつきあうと粗が見えて愛想つかされて飽きられるってこともあるってテレビで言ってたぞ。
10代を甘く見んなよ」
8歳のガキが背伸びして言い放つ。
4年経っても12歳だろうがぁ。
「100年後に勝負してやるよ」
「へえ、100年も経たなきゃ勝負できないんだ。
よっぽど自信がないんだね」
お前が俺と勝負できるのに100年はかかるって言ってるんだよ!
挑戦する目つきで俺を眺めて不敵に笑みを作るこいつに本気でムカつく。
気が付いたら拳がリュウの頭を直撃してた。
「痛いッ」
頭を押さえてしゃがみこむリュウに胸がすっとした。
「つくし~イタイよ」
頭を押さえこんだまま牧野に抱き付く。
リュウの顔は牧野の腹部あたりに収まった。
「大丈夫?
道明寺も子供相手に何考えてるのよ!」
呆れた表情はだんだんと下がって腰を折る。
胸元にリュウの頭を抱くようにして頭を撫でて慰める牧野。
ちらっと視線を牧野の胸から外したリュウはそのままニヤっとした笑みを俺に見せて牧野の胸元に顔を戻した。
左右に顔を揺らしてスリスリするなっ!
絶対俺に見せつけてるだろうがぁ!
「許せねぇ!」
頭一発殴るだけじゃすまねぇからな!
「司!」
腕を上げた瞬間に左右から総二郎とあきらに腕をとられた。
「相手は子供だ、甘えてるだけだろう。
お前ならいつでも牧野を自由にできるだろうが。
胸にちょっと子供が触れるくらいどおってことないぞ。
大人ならここは寛容にだな・・・」
「ねぇよ」
俺の声に総二郎の声が止まった。
「え?」
ハトが豆鉄砲を食らったような顔が二つ並ぶ。
「ねぇって・・・まさかお前ら・・・」
「司!お前大丈夫か?熱ねぇか?それよりそっちはダメだったとか?」
やるき、その気は絶大すぎるほどある。
「たまたま、そんなシュツになってねぇだけだ」
「牧野、司んちに泊まったことあるよな?」
「エレベーターとか、雪山に一晩閉じ込められたこともなかったか?」
「何してた?」
なんもしてねぇから、俺たちの関係はそのままなんだどうが!
リュウより総二郎やあきらのほうが邪魔に思えてきた。
牧野に俺たちの会話が聞こえてねぇのが救い。
まだリュウ頭を撫でたりコブがないかと髪の毛の中をさぐってる。
「牧野との仲が進めば司も子供相手に嫉妬しなくてもよくなるってことだよね?」
興味なさそうにしていた類が一番まともなことをつぶやく。
「このままホテルに牧野と泊まっても誰も何も言わないと思うよ」
類の声にぴくっと一番に反応を見せたのは牧野。
ぎょっとした表情を浮かべるとこじゃねぇよ。
一応婚約したんだし・・・
つきあってんだし・・・
まともな流れだよな。
「僕も、つくしとお泊りしたい」
おい!ガキ!
殴られたとこもっと痛くしてやるぞ!
牧野がガバッとリュウをかばうように抱きこんだ。
「これ以上、暴力振るったら帰るからね」
睨みつける牧野の瞳は本気モード。
殴りつけたい気分を拳と一緒にズボンのポケットに突っ込んだ。
総二郎にあきらに、類!
このガキどうにかしろ!