門前の虎 後門の狼 9

司君はつくしに抱き付いちゃってますけど・・・

つくしが嫌がるって学習してませんね。

類に総二郎にあきらがいるのにおとなしくしてるだなんてありえないですよ。

ここは鉄拳パンチが炸裂するのでしょうか?

なにも今、あの時の私の醜態を暴露することなんてないでしょう!

私を慰めてやるって花沢類と西門総二郎と美作あきらというビック3にエスコートされて気分が悪いわけない。

気が大きくなっていた私はアルコールを飲みすぎたことを認める。

道明寺に会いたいと私の口から言葉を引きだしたのはこの3人。

本当に聞き方はうまいというか私の性格を把握してる。

司なんてほっとけ。

あいつと付き合うと神経をすり減らす。

とか・・・それ以外にも道明寺のこと悪く言うから私が援護に回っただけで・・・

そのあとニヤついてる3人にノセられたんだと気が付いて焦ったんだから。

写真のことを説明するつもりで道明寺を尋ねたのに今度は道明寺をいい気にさせてる。

苦しい・・・ッ。

顔に押し付けられた胸元。

道明寺にがっちりと抱きしめられると息もできなくなる。

ふんわりと漂う道明寺の香りを私の鼻が吸い込んでアロマ並みに脳を良い気分にさせる作用がある。

好きな人の匂いってどうしてこうも頭の中をふんわりとした甘い気分にさせちゃうんだろう。

ダメだ!

ここは道明寺の会社で、仕事をする神聖な場所で、それにあの3人がじっと見てるもの!!!

「ちょっと、最近べたべたしすぎっ」

グイと押した胸元は全く私から離れない。

殴ろうにも腕が上がらないし、腰も引きつけられて身体が少し宙に浮いた状態で道明寺に抱き上げられてるから地べたに足が付いてない。

道明寺の足を踏むこともできないし、向う脛を蹴ろうにも動けない私は道明寺に向ける爪を出すこともできないままで、顔を上げて道明寺を見上げるしかなかった。

「好きな女にべたべたして何が悪い。

俺がやりたいようにやって、文句を言うやつは誰もいない」

道明寺に刃向う人間は出来心でも無理だって思う。

自信過剰じゃないから始末が悪い。

フッと口角を上げて見せる余裕の笑み。

瞳の奥に秘める情熱的な輝きはいつにもまして魅力的に私を見つめてくる。

もっ!

ドクンと高鳴る心臓から送りだされる血流は早さを増して私の身体中を駆け巡る。

脈拍もフルマラソンを走り終えたくらいに早くなってる気がする。

「司の場合は脳と行動が単純に連結しすぎだろう」

道明寺の身体で隠れたその後ろから聞こえた美作さんの声。

「思案する脳細胞を素通りするからな。

感情のままに抱き付かれるの今日が初めてってわけじゃないだろう」

俺らも見慣れてるから気にするなって西門さんが付け加えた。

いつもなら道明寺を突き放すとこまで見られてる。

「牧野のことになるとそれが単純明白になりすぎだけどね」

花沢類!そこ!やさしく言わないでよ!

きっといつもの王子様のさわやかな微笑み浮かべてるんだろうな。

想像したらもっと血流の流れが早くなった気がして身体が熱い。

「お前ら、邪魔って思わないのか?

普通遠慮するだろう」

「司が遠慮しないのに俺らには遠慮を求めるのか?」

ここは私への配慮ということで・・・

いや!だめだ!

ここで二人きりにされたらそれこそ貞操の危機!

私は道明寺といちゃこらするためじゃなく単に週刊誌のことを謝ろうと思っだけ。

なのに謝る前に道明寺にお仕置きされそうじゃないか!

「お前ら、牧野で遊びすぎだ」

道明寺の声が冷静に落ち着きのある音色を部屋に響かせる。

王者が一瞬でざわつきを抑えるような重厚な響き。

道明寺の一言でふざけていた雰囲気が一気に色を変えた。

「俺も、お前をほっときすぎたって思ってるから」

言葉一つで愛されてるって感情が道明寺から直に伝わる。

予想外の言葉で甘さを見せる道明寺には何も言えなくなる。

「お前が、俺と一緒に住めば問題は解決なんだけどな」

まっすぐに見つめてくる瞳のなかには道明寺の本気の気持ちが読みとれる。

最近は泊まるのもなんとなく両親に気が引けて遠慮気味。

一緒に暮らすって言っても、道明寺の屋敷は使用人さんたちも多くてその筆頭はタマ先輩。

お母様もいつ帰ってくるかわからない、そんな中で結婚もしないままに住むなんてできるわけない。

それを理由にすると結婚を迫ってくるからどうしようもなく困る。

「え?同居ってこと?」

気分を変えようとわざとおどけてみた。

「それ言うなら同棲だ!

なんなら俺は直ぐに結婚しても構わねぇんだよ」

私がいい訳しないうちに道明寺が結婚を口した。

西門さんの言葉を借りれば脳と言葉が連結しすぎてる。

思ったことを考えなしに口にしないでよ。

「結婚は無理!」

「無理だと・・・?」

ジンワリとつりあがる眉はいつもにも増して冷酷な不機嫌さを匂わせる。

「この前大学でうっかりサヨナラとかいって学生に誤解されそうだったこと忘れてるんじゃねぇのか?」

あの時は噂を否定するためとか理由をつけた道明寺にいきなり公衆の面前でキスされた。

今ここにいるのは花沢類に西門さんに美作さんの3人。

結婚が無理だと私が言っても誤解されるような心配はないと思う。

「牧野、試しに司と住んでみれば」

何を突然言いだす西門さん?

「いきなり結婚するより、しばらく一緒にいたほうがうまくいくって言うしな」

考えるそぶりは一瞬直ぐに西門さんに同意する素振りを美作さんが見せる。

「司が牧野に嫌われることもあるかもしれないけどね」

一番きついことを花沢類はさらりとつぶやく。

「こいつが俺を嫌うことなんて天地がひっくり返ってもねぇよ」

道明寺が大声では宣言した。

「まずはどこかマンションを準備するか」

なんだかお菓子でも近くのコンビニでも行くような軽いノリで美作さんがつぶやいてポンと道明寺の肩を叩く。

「お前に任せる」

って、道明寺もそれいいのか?

私・・・

一緒に住むッて了解してないよね?

私の目の前で和気あいあいと談話するF4人。

デスクのPCの画面に地図を広げて私抜きで弾む声。

もう決まりなの?

え?

ちょっと待ったーーー!!!

拍手コメント返礼

Jacqueline 様

ここで決まらなきゃお話が進まないですもんね♪

司の公もうひと押し!

出来るかな?

スリーシスターズ 様

つくしちゃん4人にうまくはめられて流れになってきましたがここはもう少し反抗してほしいような気もします。

別館までお越しいただきありがとうございます。

アメブロはほとんど遊びでして・・・(;^ω^)

最近はなかなかあちらの管理もままならず放置状態になっています。

自己紹介もありがとうございます。

神奈川には縁がありましてうちの主人は茅ヶ崎出身で親戚も神奈川には多いんですよ。

またのコメントを楽しみにしております。

asuhana 様

F4の結束力は侮れませんからね。

みや 様

こんにちは、お忙しい仕事の合間に6周年のお祝いコメまでいただき感謝です。

落ちつく異性の匂いって本当にあるみたいですね。

好みの匂いで異性に好意を持つこともあるとか?

今更旦那の匂いは嗅ぐ気もしないですが・・・(;^ω^)

司ならお鼻スリスリしちゃうんですけどね。

殴られる前に近くにも寄れないとは思いますが・・・

さあ、F4でつくしちゃんを攻めきれるかなぁ~。