DNAに惑わされ 58
駿君も少しドキドキとする展開!
クリスマスバージョンでは楽しいお話を用意してるから許してね。
さぁ!ちびっこ駿君から高校生に頭を転換させなきゃ~(笑)
「鮎川」
途切れそうになる息を隠すように一気に名前を呼んだ。
一瞬ビクッとなる背中。
振り向いた鮎川の表情に浮かぶ戸惑い。
その表情が僕の心音をドクンと鳴らす。
「偶然見かけたからさ」
蒼も一緒だと鮎川に示すために走ってきた交差点の先に視線を向ける。
蒼はもう走れないというように膝に手をついて背中を丸めてる。
点滅する信号が蒼と僕らの距離を隔てる。
距離としては100メートルもないけど?
わざとらしく僕らから離れた蒼の気遣い。
信号が青に変わるのを数回見送ってこっちに来る気だと理解できる。
さっさと鮎川の説明を聞いて蒼に手を振ろう。
長引けば長引くほどぎくしゃくしそうな気がする。
「さっきの誰?」
「・・・」
じっと僕を見つめる鮎川の瞳の中を探るように見つめ返してしまってる。
少しの嘘も見逃さないように。
嘘も少しの誤魔化しも鮎川の口からは聞きたくない。
微笑んで僕に明るく説明してくれる菜花を僕は待ってる。
「男性と一緒にいたろ?」
「見てたんだ」
鮎川が見送ったはずの男性を探すように街中を眺める。
男性がそこにいるように一点を見つめるその先には目視では顔がわからない多くの人の流れ。
「昔の知り合い」
大人びた表情の大人びた静かな口調の鮎川。
その横顔は行きかう男たちの足を止めて目を奪われるほどの美貌を作りだしてる。
昔って、いつだよ。
すげー子供の頃というよりはそう昔じゃない気がする。
僕の知らない鮎川がいて・・・
僕の知らない鮎川を知ってるやつがいて・・・
もやっとした感情は出口がわからずに身体の奥にさっきからずっと蓄積してる。
「よく家に遊びに来てたの。
将来は映画監督になりたいって言ってたのに今は営業のサラリーマンなんだって」
鬱積していく僕の感情に相反する鮎川の微笑み。
「気になる?」
「別に」
「私は気になるけどな」
「何が?」
意味深な表情を作った鮎川が僕を覗き込んできた。
追及してるのは僕だったはずなのに今は僕のほうが鮎川に追い込まれてる気がする。
「初恋だったんだよね」
くるりと一回転した鮎川は直ぐに僕の目の前でほほ笑んだ。
明るく舞い上がるスカートの裾をなびかせながらすんなりと白状する鮎川はどこか楽しそうだ。
鮎川の親父さんが講師をしてる大学の先輩とか。
年齢は25さいとか。
近所に住んでたとか。
はっきり言ってそんな奴の情報はいらないって思う。
チラチラと僕の態度を気にしてる雰囲気を見せながら鮎川は洗いざらい多弁に白状してくれてる。
僕の不機嫌さをわかって弁解してくれてるのかもしれない。
いつもの鮎川らしくない必死さがおかしくて、愛しくて、可愛くてしょうがなくなった。
ようやく僕らに合流した蒼と鮎川を送ってマンションに戻る。
入り口にぽつんと立つ人影。
小柄な体形は若い女性のようだ。
そのまま素通りしようとした僕の身体に横から飛びつくように抱きしめられた。
「駿ッ」
あっ・・・河合香住。
初めて出演した映画の共演者。
鮎川が宣戦布告されたって言ってたことを思い出した。
「驚いてる?」
それは当たり前。
どうして、ここがわかった?
住んでるところをばらすようなことは美作のおじさんが牛耳る事務所でがするはずがない。
「櫻井監督が教えてくれたんだ」
にっこりと映画のワンカット、一発OKの出ると思われる満身の微笑み。
彼女に怒る気も失せる。
鮎川と付き合う僕への監督の反撃。
あの親父っ!
何する気だ!
まとわりつくように僕の腕に腕を絡ませる彼女。
「離れてよ」
「やだ」
絡みつく腕から抜けだそうとする僕に彼女は必死に絡みつく。
簡単に逃げだせそうもなかった。
拍手コメント返礼
スリーシスターズ 様
高校生の駿君、本当に久しぶりだ~
翼くんも舞もまだ私の頭の中じゃ幼児化のままです。(;^ω^)
司の過去を知る女~
うんうん、書いてみたいです。
つくしの嫉妬を喜んじゃう司がつくしの嫉妬を見たくて暴走しちゃうって設定を考えてます。
自分で自分の首を絞める流れになりそうですけどね。
さて・・・いつかける?
それが問題だ~
親子でF4談義いいですね。
我が家では全くそんな会話が上がってきません。
アイドルにも漫画にもドラマにも全く興味を示さないわが娘。
それでもドラマの影響で花男は娘も知ってます。
二次を書いてることは秘密ですけどね。
アーティーチョーク様
司なら男の正体調べて排除!
駿君にも危ない影がちらついてますが、どうするかな~
司なら怒鳴り散らして乱暴に排除でしょうけど駿君はむり~
無事に収めることはできるのか?