門前の虎 後門の狼 17

私の作品には珍しくひさびさに楓さん登場。

存在感をしっかり示して司君を動揺させて颯爽と退場!

虎は司君で狼は楓さんだったとか?

この場合狼より虎のほうが御ししやすと思うのは私だけでしょうか?

「ばばぁーもバカなこと言うよな。

お前が俺との結婚やめるわけねぇのに」

お袋の冗談にしか聞こえない脅しにざわついた心を押しとどめて牧野を確認するように見た。

「やっぱりダメだよね・・・」

ぶつぶつと独り言をつぶやく牧野の瞳は全く俺を見てない。

ダメって!まさか!いや違う!

絶対こいつが俺と別れられるわけはないんだから。

もし俺から逃げようとしても逃がさないけどな。

「おい、お袋の言葉に惑わされるな」

背中から牧野の胸元に腕を交差させるように回した。

胸元にぴくっと背中をびくつかせる動きを感じる。

腕に押し付けられた胸のふくらみの柔らかい温もり。

この感触に頬ずりしたくなるのはいつものこと。

「解消するなんて言わせないから」

いつでも、どこでも、好きなときに!

この楽しみを手放すのは惜しいんだよ。

どうせなら今すぐにでも結婚して~。

それが本音。

がっついてるのが俺だけみたいで気にくわねぇが牧野が素直になれば突き進めそうな気がする。

「このまま同棲が嫌なら明日にでも俺は籍をいれても構わねぇぞ」

胸元の俺の腕をグイとつかんで下にひき下ろすように動いた牧野の腕。

そのまま軽くぶら下がるように体重をかけながら牧野が首をそらせて俺を見た。

大きく見開いた黒い瞳はきらきらと輝いて俺をまっすぐに見つめてくる。

「道明寺のおよめさんになるのは試練、道明寺家の嫁になるのは覚悟がいるの」

試練と覚悟はどう違う?

どちらも俺との結婚を渋ってるようにしか聞こえねぇよ。

「いつまで触ってんの!」

ぐいっと俺の腕を回す牧野は護身術の達人に生まれ変わる。

イテッ。

やられた肩の痛みをほぐすように腕を回す俺に牧野がケラケラと笑い声をがえる。

わざとやられてんだからな!

「でも・・・道明寺のお母さん・・・来るの早いよね」

「どうせ西田だろう」

西田って苗字は今度からとことん嫌いになりそうだ。

西田は牧野の味方をすることのほうが多い。

当然今回も俺が一方的に推し進めて牧野が乗りきじゃないのも了承ずみ。

俺が言いだしたら聞かない性格なことも承知してるから、いったんは俺の要望を受け入れ、牧野と一緒に暮らさせて満足させて、しばらくしたら牧野は実家に戻す。

そんな魂胆。

ここで一番の早道はお袋の登場ってことになる。

俺も随分と西田のやり口が理解できるようになったじゃないか。

と・・・

感心して終わるわけにはいかない。

やられっぱなしは俺のプライドが許さない。

数日じゃ終わらせねぇよ。

1週間・・・

1か月・・・

半年・・・

1年・・・

長引けばそのうち牧野は大学を卒業して俺と結婚ってことにもなる。

「道明寺・・・頭でも打った?」

床に座りこんだままの俺を膝を曲げて座りこんだ牧野が心配そうに覗きこんできた。

「痛めたとしても肩かお尻だよね?」

そう言いながら牧野の手のひらが俺のおでこに触れる。

牧野の両手が俺の頬を包みこみそしてじっと俺の目を見つめる瞳。

「大丈夫?」

久しぶりに牧野と見つめあってる気がする。

吸い込まれそうな甘い雰囲気。

俺を好きだと語り掛けてくる瞳に惑わされる。

「牧野ッ!」

「ちょっ!何ッ!」

床の上に転がって牧野を下に組み敷く。

「重いッ!」

俺の体重をかけられて牧野が抵抗を見せるのは言葉だけ。

「降りてよ」

甘酸っぱさを忍ばせた牧野の声。

本気で嫌がってるように思えないから身体の奥が熱くなる。

「何もしねぇよ」

しばらくこのまま黙って抱きしめていたいだけ。

床からわずかに牧野の身体を浮かせて、その間に腕を入れて窮屈に思えるほど抱きしめた。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

頭が甘々モードから戻ってない!

戻すの大変ですよね。

私もいつもそうです。(笑)

同棲解消で済めば軽いほうだと思いません?

その間に十分楽しもうと司君がんばるとかありかな?

曲のイメージで綴る物語

ひと時楽しんでましたね。

来年復活させますか。

まだリクエストに全部応えてないんですよね。

なついろ

名探偵コナンのエンディングだったら聞けばわかるかもしれないですね。

検索してみますね。