門前の虎 後門の狼 18

連載二つは笑える軽さなんですけどね。

軽い話を書いちゃってると時々真面目なお話を書きたくなるんですよね。

それがお正月から開始した新連載です。

このギャップに私の脳は耐えられるのか!

壊れないうちにさっさとこの連載を終わらせたいのに先が見えないんですよね。(;^ω^)

「あいつは凶暴なんだよ。

手加減を知らねぇからな」

牧野に突き飛ばされたその拍子にテーブルの角にぶつけて赤くなったほほを手のひらでさする。

「司にそう言われたら牧野も元もこうもねぇな」

何か司がやったんだだろう的な視線を俺に送るあきら。

大学の一室俺たちF4だけに与えられた個室。

珍しく大学に4人が顔をそろえるのは滅多にない。

それがなんで今日なのか、示し合わせたとしか思えねぇ。

「俺たちが協力してせっかく一緒に住めるようになったんだから初日から無茶してダメにするなよな」

自分の手柄みてぇに総二郎が微笑む。

お前らに協力されたつもりはねぇし。

牧野と一緒に住めるようになったのは熱い俺の思い。

それが牧野の頑なな心を溶かしたんだと自負してる。

俺が口説くのは総二郎と違ってただ一人。

この情熱は誰にも負けない。

「牧野の手料理が食べれるだけでいいんじゃないの」

ぼそっとつぶやく類はそのままソファーに座って本を開く。

「類!お前牧野の料理食べたことあるのかよ」

「司がアメリカにいる時、牧野家に入り浸っていたからね」

本のページをめくりながら何気ない態度の類。

そこ聞き捨てならねぇだろうが!

類から本をむしり取るように奪う。

「なに?」

俺のムカつきを気が付いてないような素振りで俺の態度が意外とでも言いたそうに類が俺を見つめる。

あいつの手料理そんなにたべちゃいねぇんだよ。

それに手料理を食べる暇もなかった1日目。

レンタルビデオ店には俺の知らない牧野を知ってる男と鉢合わせ。

中学時代の牧野に好意をもっていたことは明白。

それに気が付かなかった鈍感な牧野に感謝。

で・・・昨日はお袋登場。

あれで牧野は俺との同棲を解消することに心が傾きかけてんだよ。

抱きしめだけの俺にバカ力で本気で抵抗しだすんだから俺の身体に傷が付く。

そう毎日発情してたまるか!

・・・

・・・・・

・・・・・・

あのまんまだったらやっぱり発情してたか・・・。

「類、残念だな。

これからは牧野の手料理を食べれるのは俺だけだ」

「牧野ならいつでも作ってくれると思うけど」

「くうな!」

睨みを利かせる俺。

「類の冗談につきあうなよ」

「こいつの顔が冗談じゃねぇだろう」

俺を落ち着かせようとする総二郎を殴り倒したい気分。

「牧野はほっといていいのか?」

大学で牧野にちょっかい出そうとする命知らずがいるわけない。

「牧野の講義もうすぐ終わりじゃないの?

今日は三時限で終わるとか聞いてたけど」

牧野のスケジュールに俺より詳しい類。

なんでそこまで把握してる。

「大学の牧野を守るのは俺の役目でしょ」

俺の感情一瞬で読み取って類は笑みを浮かべた。

俺たちの中じゃ一番暇な類。

確かに類に牧野を頼んでるのは俺だけどムカつく。

バンッ!

ノックもせずに扉を開けて飛び込んでくる奴はあいつしかいない。

「あっ、道明寺もいたんだ」

パンダでも見るような驚いた表情の牧野。

俺だって一応英徳の学生だぞ。

たま~に、本当にたま~に抗議も受けてる。

あとは牧野に会うのが目的。

「牧野、司との一緒の生活はどうだ?」

「大変なのはわかるでしょ?」

からかい半分の総二郎に困惑気味に応える牧野。

「解消したくなったらいつでも相談にのるから」

爽やかな笑みを浮かべる類に牧野は頬を染めてコクリとうなずく。

なに納得してんだ!

今すぐにも家に帰りたいと牧野が類に相談しそうに見える。

敵はばばぁだけじゃないのかもしれない。

「あのさ・・・道明寺・・・」

言いにくそうな表情の牧野がごくりと何度か息を飲んだ。

「本当は、みんなに伝えてもらったほうがいいと思ったんだけど・・・」

「絶対ダメだって言わないでよね」

「内容によるだろうが」

同棲解消ならNOに決まってる。

せめてもう少し楽しませろよ。

「ダメだって言ったら一緒に住むのやめるから」

てことは・・・同棲解消の話じゃないってことか。

「言ってみろ」

腕組みをして牧野を見下ろす俺。

「今日、少し帰り遅くなるから」

なんだそれだけ?

拍子抜けの表情を浮かべて頬が緩むのがわかる。

そのくらいでくだくだ言わねぇよ。

「あのな、俺はそこまでお前を束縛するつもりはねぇよ。

俺も仕事で帰りが遅くなることもあるだろうしな」

「よかった」

ホッとしたと牧野は息を大きく一つはいた。

「優紀にね、この前偶然田畑君にあった話をしたらみんなで会おうって話がまとまって、

急なんだけどミニ同窓会をするってことで連絡が付いたから参加してくるね」

にっこり笑顔であふれそうな顔で牧野が俺を見上げる。

そんな牧野との表情とは対照的に強張りを覚える俺の頬。

笑えねぇよ。

田畑ってレンタルビデオ店であったやつだよな?

遅くなるの前にまずあいつに会うっていうべきじゃねぇのかよ。

「何か・・・怒ってる?」

「このバカッ!」

不機嫌は俺の声が部屋中に響き渡った。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

F4がそろうと末っ子で遊ぶ雰囲気に早変わりしちゃいます。

司がリーダーのはずなんですけどね。(笑)

このままつくしちゃん解放してもらえるのでしょうか?

同窓会いけない気がする・・・(;^ω^)

やなぎ 様

明けましておめでとうございます。

こちらこそ今年もよろしくお願いします。

司と類のやり取りいいですよね。

新作じゃ見られない絡みかな。

ゆみん 様

我が家の司は末っ子弄られキャラになってしまってますね。

いいのか!道明寺!

甘いのからいのドキドキものにせつな系といろいろチョイスして楽しめる回転ずしコーナーでありたいと思っとります。

さて今日はどれで行こうかしら?