愛を叫べ! 18

フランスまでの飛行時間は長いのに、二人は別々の飛行機に搭乗しちゃった。

玲子さんと西田さんが一緒の飛行機でも問題ないはずなのになぁ~。

狭い空間でのいちゃこらは?

期待していた方には申し訳ないですが・・・

どうしてもそこはスルーしたかったのです。

湖畔の静かな田舎に建つ古城。

しばしの休息、戯れる新婚さんなんていかが?

そこまで伸ばす作戦でムフフと頭の中はピンクになっています。

お☆様まであといくつで更新することになるのでしょうか?

降り立ったパリ・シャルル・ド・ゴール国際空港。

税関を抜けて思いきり両手を伸ばして一息ついた私を見て玲子さんがクスリと笑う。

日本との時差は8時間。

朝の10時の現地時間にまだ慣れてない身体は日本の夕方の体調。

「さぁ、さっさと仕事を済ませてゆっくりしなくちゃね」

現地の社員が迎えに来てるはずだと玲子さんはロビーを見渡してる。

顔見しりなのか長身金髪碧眼のもろ外国人の青年を見つけて玲子さんが軽く手を上げた。

「彼、アドルフ バルト」

「よろしく、お願いします」

にっこりと笑顔を浮かべた口元は日本語の流暢なあいさつ

フランス語はしゃべれない私は必死で身構えた緊張感をあっさりと落としてくれた。

迎えの車に乗りこんで向かった先は道明寺パリ支店のオフィスビル

案内された部屋では早速打ち合わせが始まってる。

フランス語で書かれた書類とそのフランス語が日本語に訳された書類。

てきぱきと仕事を進める玲子さんの姿をみながら、私が追いつけるのは何年後になるのかなんて想像してる。

なれなかったどうしよう!

「つくしちゃん」

忙しい仕事の合間に玲子さんはしっかりと私に仕事のレクチャーを忘れない。

玲子さんの期待を裏切っちゃいけないと私も真剣になる。

一息つけるまですっかり道明寺のことなんて忘れた。

夕暮れの迫る時間に始まった会議。

道明寺の来る時間に合わせて予定を組んだらしい。

予定時刻を過ぎて5分。

開いた扉の向こうから登場した道明寺。

オーダースーツに身を包んで現れた瞬間にこの会議の主導権は一瞬にして道明寺の手の内に落ちた気がした。

道明寺が口を開くたびに会議は思惑通りに進んでいく。

最初に渡された計画の上をいく道明寺HDに有利な展開。

相手が気が付かないうちに自分に有利なるように推し進めていく展開。

無傷で欲しいものを手に入れる鮮やかな展開。

出張についてきたのは道明寺じゃ無く私の方だったんじゃないのと感じてしまってる。

どんなんい呆れる態度を私に見せてもそれは道明寺のほんの一部で今目の前で会議をまとめあげた道明寺が本来の道明寺なんだと思わずにはいられない。

こんな道明寺を見せつけられるたびに別世界の住人だと思ってしまう。

「さすがだよね。

代表じゃなきゃあと2日はかかっていたわ。

惚れ直したって顔してるけど」

書類を鞄の中にしまい込みながらすでに席を立つ準備を始めてる玲子さん。

「え?そんなこと思ってませんよ。

道明寺にも玲子さんにも置いていからないように必死で努力しなきゃ追いつけないって思ってるんですから」

「代表がつくしちゃんを置いていくなんて思わないけどね」

「私は先にホテルに帰ってるわ。アドルフに食事を誘われてるしね。

もちろんつくしちゃんも誘われたけど一緒には行けないでしょ」

茶目っ気たっぷりに玲子さんがウインク。

そのあとにまじめになった表情は軽く会釈を後ろに向ける。

艶やかなオーラーを背中に感じる。

ここで私に近づいてくるのはあいつしかいるはずない。

「それじゃ、お先に」

くるりと身体を反転させた玲子さんをただ黙って見送った。

「一日無駄にした気分だよ。

俺と別々にパリに来るとは聞いてなかったからな」

さっきまでのTOPの貫禄が一気に和んで横柄我儘な雰囲気がしっかり道明寺の身体にまとわれてる。

取引先を送りだして誰もいなく会議室に今残ってるのは道明寺と私だけ。

西田さんが最後にパタンと閉めたドアは道明寺が開くまで誰も開けることができない感じだ。

「もう少し仕事あるから、お前はホテルに帰ってゆっくりしてろ。

俺が戻るまで誰とも出かけんなよ」

最後にNOと言えない威圧さを見せつけて部屋を出ていく道明寺。

え?

嘘?

どうして?

一人?

このまま道明寺に拘束されちゃうんだろうなとなんとなく思っっていた私。

なんで?

意表をつかれた格好で私の期待は見事に裏切らてしまった。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ様

このお話も・・・

あれ~って感じですよね。

いつもの司君じゃない!

ここはつくしを押したおすとか・・・

引きこもるとか・・・

つくしをストーカー気味に追いまわしてる坊ちゃんはいずこに行ったのぉ~

別な話になってるような感覚・・・(;^ω^)

次回を見ていただければ納得だと思います♪

新作は完璧に王朝絵巻で創作しちゃってます。

源氏物語というよりは素敵にジャパネスク調になりそうな予感。

開始するためには早くこのお話を終わらせなきゃいけませんけどね。

頑張ろう~。

スリーシスターズ様 二度目のコメありがとうございます。

瑠璃ちゃん、性格はつくしよりですよね。

自分で事件に飛び込んでいっちゃうしなぁ。

新作を早く書きたくなってきました。