門前の虎 後門の狼 23
司が我慢できずに動きだす5秒前。
つくしは類に「送るよ」と言われちゃってます。
あっ!
このままじゃすれ違い?
それとも道端でばったり!
ただ会うだけじゃ面白しろくない。
会わなくてすれちがって朝を迎える!
何度互いを行き違いさせる気よ。
携帯のあるこのご時世会いたいのに会えなくてすれ違ったままに待っているなんて切ない場面は作れない。
携帯を落とす?
電源を切ってる?
ほとんどこれもないですよね。
充電も持つ時間もよくなってますからね。
平成になってこの手法は化石化!
花男連載中はポケベルじゃなかったけ? ← うろ覚え・・・(;^ω^)
「花沢さん、今来たばかりですよ」
花沢類を私と自分の間に押しこんだのは優紀。
「まさか、このまま花沢類をとどまらせていれば西門さんも来るとか思ってない?」
私の声に優紀じはクスッと笑みを浮かべる。
やっぱり・・・
その魂胆か・・・。
西門さんに会えるかもしれないこのチャンスを優紀が逃がすわけないかなぁ。
応援したいけどあの砦を崩すのはそうとうな骨が折れるとって思う。
会えるだけで満足と瞳を輝かせる優紀の乙女心には私も弱い。
でも!
私!あと三十分の時間しかないの!
ここにいたら西門さんだけじゃなく英徳でも滅多に見られなくなったF4勢ぞろいになっちゃう。
椅子に腰を下ろした花沢類は酎ハイのジョッキに口をつけてるし。
青りんご割の酎ハイを飲む花沢類って言うのもレア。
酎ハイを飲むだけで女性が見惚れちゃって思わず拍手!って、普通ありえない!
「意外といける・・・」
「でしょ!」
ジョッキを見つめて柔らかい微笑みを漏らす花沢類を見つめるのはメロメロな弓状の形になったいくつもの瞳。
花沢類でこれなら、西門さんと美作さんがきちゃったらどうなるの!
考えたくない。
まぁ・・・私への興味は薄れちゃうか。
「つくしとは、高校一年の時に一度 会ったよね。英徳って居心地が悪いとか言ってなかったけ?
それが英徳の大学まで進学しちゃんだから。
ところでそうさせたのは彼氏の影響なの?」
私と道明寺のことを全部知ってるのは優紀だけ。
ほかの同級生に話したのは我儘お嬢様の集団に気が合わなくてF4にいじめられていたってことをチョコとしゃべったくらい。
同級生の言葉に私の横にいる花沢類にちらりと視線を映した。
あのころの私は道明寺とうまくいってなくていっぱいいっぱいで、それでも英徳の推薦を頑張ろうと言ったのは花沢類の後押しがあったから、あの時あいつは本当に私のことを見捨て様としていたって言っても過言じゃない。
今はそんなことすっかり忘れた態度で私を束縛してくるんだから!
思いだしたら腹が立ってきた。
彼氏の影響?の同級生の言葉は愛想笑いでごまかした。
「牧野・・・俺・・・気になってたんだ」
え?英徳に進学したこと?
今更?
なんて見つめたら全然見当違いだってわかる花沢類の表情が真顔で私を見つめてる。
「ほら、今回司と暮す羽目になったのは俺たちが司を煽ったわけでもあるからさ。
牧野の気持ち無視してる部分が少なからずあるわけだろう?
もし、まだ早いって思ってるならこのまま、牧野を俺が牧野の家に送り届けようと思ってるんだ」
うっ・・・
もしこの言葉を道明寺が言ってくれたとしたら私は素直に一緒に住むッて気になったはず。
いま、花沢類に甘えちゃったら道明寺が拗ねるのは間違いない。
「あいつと住むことがそんなに嫌なわけじゃないから。
本当にいやになったら自分で道明寺の元を飛び出すくらいの元気はある!」
そう笑う私に花沢類がわかったってつぶやってくれた。
私のことを気遣ってくれる花沢類より、同窓会に二時間と時間を切る我儘な道明寺のほうが気になるんだから私もどうしようもなく道明寺に惚れてるんだと思う。
どうしてあんな横暴な性格のやつが嫌いになれないんだろう。
自分でもおかしいんじゃないかって時々思うもの。
それでも道明寺は道明寺なりに私のことを思っていてくれてるのを知ってるから。
迷いもなくまっすぐに私に注がれる愛情を信じられるから。
あいつの我儘も傲慢さも受け入れられるんだって思う。
物思いにふけって頭に浮かんできた顔が入り口に重なった。
やけにはっきりと浮かんできたくっきりとした目鼻立ち。
道明寺・・・
想像じゃ描けないほどはっきりと見えた派手な顔がクルクルと視線を店の中に漂わせて私を見つけて止まった。
もちろんその後ろにも艶やかなオーラを発する長身がもう二つ。
「きゃー」
感嘆の声がどこからともなく上がる店の中。
思ったより早い登場にドクンと胸が鳴る。
「迎えに来た」
店内の音がすべて消えて私に近づく足音が響いて目の前で微笑みを浮かべる道明寺。
「司、早かったね。もう少し遅くなるかと思ってた」
「お前が来てるって知らなきゃ、もっと遅かったかもな」
花沢類と道明寺の二人の間に張りつめる空気。
この空気感程殺伐としてないってわかってる私でもドキッとしてしまう。
「お前が、いないと落ち着かないんだ」
落ち着いた甘い熱を込めた瞳が私に降り注ぐ。
これ以上道明寺をほっといたら何言われるかわかったものじゃない。
ドキドキとしたときめきと上昇する羞恥心の熱が私の身体を覆い尽くそうとしてる。
「もう帰るから」
言いかけた私の声を遮るようにテーブルをはさんだ反対側でガタンの大きく椅子が音を立てた。
「牧野が英徳で居心地が悪かったのって、全校でいじめられてたからだよな。
そのいじめの主導をとってたのってF4じゃなかったか?」
英徳を牛耳っていたのはF4だというのは有名な話。
私がいじめられたことも少しの友達は知っていたはずだけど田畑君が知ってるとは思わなかった。
その声はしっかりと道明寺に向かってる。
田畑君の嫌みな声は自分を非難してるって捉えた道明寺の瞳は怪しい光を秘めてる。
「そのリーダーの道明寺司と牧野が付き合うって普通ありえないだろう。
どこで天と地がひっくり返って付き合うことになったんだ」
田畑君の言葉に興味を示したように同級生が目くばせしてる。
道明寺と付き合うようになったきっかけ。
倒れこんで唇が重なりましたって漫画みたいなファーストキス。
道明寺をぶん殴って居意味を持たれた。
どちらにしても理解に苦しむのは私も一緒。
ここで言えないよ。
「好きになるのにいちいち理由が必要なのかよ」
道明寺の声は威圧的な貫禄は支配者のもの。
一瞬で周りの空気の色が服従する色合いを見せてる。
「自分のいいように牧野を束縛してるだけじゃないのか」
田畑君・・・声が震えてるけど大丈夫?
小型犬がキャンキャンと威嚇してる雰囲気。
猛獣は一応F3という檻の中に入るから突然とびかかるってことはないと思う。
「つくしと道明寺さんのことそれを話すと超絶長くなるけど聞く?」
その場の空気を換えるような優紀の声。
「確かに、この二人のことを話すと涙なしじゃ聞けないかもな」
優紀に同調する西門さん。
なんか息があってないか?
涙なしって・・・
笑いありの間違いじゃないかと西門さんと美作の道明寺への煽り方を見ると思うんですけど。
「こいつは俺がこの世で一番大事な女だ。それ以外になにか必要なもんあるのか?」
グイと背中から回された道明寺の腕がわたしの身体の身動きを奪う。
道明寺の発言に目を輝かせて嬉々としてるのは私より周りにいた同級生の女子。
これ以上恥ずかしくなることはない気がした。
おーじ様♪
コメの内容一部拝借してお話書きました。
え・・・と・・・
ここからあとはどうなる?
拍手コメ返礼
りり 様
F4そろい組♪
やっぱりこうなりますよね。
司につれられてF4がそろうのは何度目かしら?
そう簡単に二人っきりにさせてもらえないような気もしますがどうでしょう?
スリーシスターズ 様
類君自分がつくしを送る気はなかったとか?
それとも司に返さずつくしの家族のもとに送り返しちゃうとか?
「牧野が帰りたがってたから」とのんきに司に報告して司が不機嫌になるパターンもかんがえていました。
田畑君の男気はどこまでいくのでしょうか。
ここも見どころだったりするかもです。