霧の中に落ちる月の滴 13
なんとなく・・・
このお話を書くのは今は気が重いのです。
パッと明るく笑い転げるお話に行きたい気がします。
春だからかなぁ～
新ドラマとのコラボ・・・
題名が決まらず思案中です。
こっちは絶対楽しいお話になる予感がします。
*「類はもちろんこの男に見おぼえないよな？」
雰囲気を変えたいタイミングで美作さんが花沢類に写真を差し出す。
「あんまり人の顔見てないし」
あんまりというか・・・
ほとんど花沢類って他人に興味示さないって思う。
英徳に通う学生が道端で配られる宣伝の紙をもらう確率はかなり低い。
ほとんどが運転手付きの車か親に買ってもらった車を運転。
一緒にもらうテッシュってバカにできないんだから。
つい手が出ちゃうのは貧乏人のサガ、習性だからしょうがない。
配る相手を覚えてるってことはほとんどないんだけど、週３日もテッシュを受け取ってればサルでも覚えるって思う。
それも無精ひげと耳を隠す長さの金髪の髪の容姿はなんとなくだけど記憶に残る。
この人が私たちとぶつかったトラックを運転してたってこと？
美作さんと西門さんの説明を聞けばそうなる。
ちらりと写真に目を落としただけの花沢類。
今の花沢類がこの男を覚えてる可能性は0に近いって思う。
花沢類と一緒の時にもこの男からテッシュ受け取ったんだけどね。
もちろん受け取ったのは私だけで花沢類はスルー。
目に入ってる感じもなくて全く気が付いてなかったって思う。
「チャラそうな奴」
私の後ろからひょっこり顔をのぞかせた滋がつぶやく。
「お金で頼めば何でもやってくれるんじゃないの？」
写真1枚でそう滋に決めつけられた男。
私も同意しそうになった。
見た眼で判断しちゃいけないのは弁護人としては基本なんだから、先入観で判断しちゃったらダメだ。
「お前らここにいたのか」
コツコツと靴音を立てながら病室の中心にやってきたのは道明寺。
一瞬で部屋の空気感が変わった。
一番冷たく青白く変わったのは花沢類の周辺。
道明寺と花沢類の間を包む温度は私たちのところより氷点下気味に下がってる気がする。
「まだ、この写真で情報集めてたのか？」
見下した表情でその写真を道明寺がゴミ箱に指先で飛ばした。
パサッと乾いた音がゴミ箱の底から響く。
捨てる仕草までかっこよく見せる必要あり？
「事故が起こるまでの数か月の英徳付近に設置された防犯ビデオを解析させた。
この男、事故を起こす1か月前から英徳の周辺をうろついてる」
ビデオから編集したいくつもの画像を道明寺がテーブルの上にばらまくように落とした。
これ・・・
たくさんの写真の中から私の気を引いた数枚の画像。
引き寄せられるように画像を私の指先が拾い上げる。
私の前にテッシュを差し出す男。
テッシュを受け取る私。
その前後がつながる刻まれた日にちと時間。
その数秒の流れを追うように画像を並べた。
これって・・・
そのあとはほかの通行人にテッシュを配る動作を見せずに私の歩く方向を見つめる男の横顔。
私を見てる・・・
「自分に見惚れてるなんて思ってねぇよな？」
どう見てもそんな表情じゃない男。
道明寺の冗談は冗談に聞こえないから。
同じ動作のいくつもの写真。
それが違う日にちと時刻でいくつも出来上がっていく。
何かおかしくない？
写真を見つめながら感じる違和感。
なんだか気になるのに何が気になるのかがわからない。
「見せて」
聞こえた花沢類の声。
テーブルの上に並べられた一連の画像を食い入るように見つめる花沢類。
真剣な眼差しの花沢類の横顔。
黙ったままで音もたてずにみんなが花沢類の次の言葉を待っていた。
拍手コメント返礼
スリーシスターズ 様
記憶喪失の類君ナント４月初登場でした。(;^ω^)
おっしゃる通りここから事件の確信と絡めながら類君が記憶を取り戻していくのかな？
そしてあからかになる事実は！！
しばらくお待ちくださいませ～
りり様
犯人の狙いは何なのか！
つくし？類？
気になるのはやはりそこなんですよね。
歩くみかん箱 様
類の次の言葉みかん様も気になります？
「眠くなった」じゃないことを祈りつつ・・・(;^ω^)
坊ちゃんの捨てたゴミを拾いそうになる気がします。
kachi 様
このお話は類の記憶がいつもどるのか。
そして事件の全貌は！
この二つで楽しんでいただけたらと思ってます。
私の話はカテゴリーでファイナルそのあととリターンズそのあとに分類してます。
リターンズそのあとはほとんど大学時代の話になりますのでこのお話もそこに分類されます。
ファイナル公開前夜のテレビ特番のお話につながるお話も書いてますので総集編後を見られているので、それを探して読むのも楽しいとおもいますいかがでしょう？
