0.1% までの恋(すべての恋を終えるまで) 6

仮装デートって・・・

司が黙っちゃいない。

鮫島社長怖いもの知らず?

そこは司と同類なのでしょうか?

つくし溺愛の坊ちゃんはただいま海外出張中です。

 *

「 ブッッ!」

唇をつけたコーヒーカップ。

勢いよく吐きだしてしまった息は茶色い液体を拭き上げる。

彼女は「失礼しました」と口元をハンカチで抑え込んだ。

もし・・・

私もコーヒーに口をつけていたら同じような状態に陥ったことだろう。

彼女の名前は村仲舞子。

鮫島ホテルズの社長秘書。

リゾートホテルとして展開する鮫島社長の手腕は侮れないものがあると分析してる。

社長秘書つながりの関係というだけでなく、世間離れした社長の御守という点でも共通するものを感じてる。

代表が海外出張でよかった。

今回は代表の秘書として若手3人を送りこんでいる。

私は今回日本に残ってゆっくりするつもりだったが、奏も行かない諸事情。

そこにつくし様のことが絡んでくることも少なくない。

「西田、あいつ俺と似てんだよ」

我儘なところがですか?

言葉を飲んで代表の次の言葉を待った。

「恋に不器用でさ、好きになった女がすげ鈍感。

他人事に思えねぇだろう?」

「最近結婚されたそうですね」と鮫島社長に振られおめでとうございますのお祝いの言葉に司様が気をよくしてたのは直ぐにわかった。

「恋愛結婚だとお聞きしましたが?」

この言葉に頬のゆるみは無限に思えた。

「聞きたいか?」

「聞かせてもらえれば?」

経営の話そっちのけで恋愛談。

代表の話の途中で私が部屋を抜けだしたのは言うまでもない。

確かに他人事に思えないのもわかります。

代表の一方的だと思われた強引なアプローチ。

いろんな障害も飛び越えてのお二人の結びつきは強くなった。

お二人の恋愛話が参考になるとは思えませんが・・・・。

「やっぱ、総二郎とかあきらかな?」

あのお二人のようになれるとは思いません。

「女性の扱いにかけてはあのお二人は天性のものをもってらっしゃいます。

不器用さが代表に似てるのなら鮫島社長には無理だと思います」

「それじゃどうする?」

珍しく私の意見を素直に聞きいれた代表。

恋愛下手なことは代表も自覚してるのだろうか?

「女性の扱いには女性に聞くのが一番かと思いますが?」

「なるほどな。誰か知ってるか?」

「私がですか?」

鈍感な女性で浮かぶのは約一名。

その頭に浮かんだが代表がOKを出すはずがない相手。

じっと見つけたまま私の答え待つ代表も何かを感じ取ったように視線をそらす。

「誰か探しておけ」

ぶっきらな声に不機嫌さが混じる。

そう命令だけを残して代表は旅だった。

そこには私が浮かんだ一人を相手に選ぶはずがないという暗黙の了解。

そして今日・・・

楓さまとつくし様の食事の場所に鮫島社長が現れたのは本当に偶然。

私が鮫島社長の秘書と会う約束をこの店にしたのは、今日の楓さまとのランチをキャッチしたから。

代表への報告のためですが・・・。

「社長・・・

人妻になんてこと頼んでるんですか・・・

女性とのつきあい方は私も教えてるのに・・・」

小声でつぶやいて頭を抱え込んだ村仲秘書。

「忠告してきます」

「さすがにここはつくし様がウンとは言われないでしょう」

立ち上がった村仲秘書を私は言葉で椅子に戻す。

いくら代表が日本にいないといっても盲目気味の愛情で束縛力の強さがつくし様も身に沁みてるはずでから。

ここは断ると・・・

いや・・・

あの人の良さからいったら・・

微妙な不安も残る・・・

同情から墓穴を掘ることも視野に入れるべきか・・・

観葉植物で私たちの姿は見えない位置。

そこでしっかりと耳を澄ませる。

「仮想ですか・・・・?」

「自慢するわけじゃないが、人を喜ばすこと事態が苦手で・・・

言葉使いも横柄でダメだしをよく秘書に出される」

「待ち合わせに来なかったから帰ったら来るまで待つものだといわれるし。

どうもその辺が理解できない」

「待たなかったんですか?」

「うん、時間厳守が普通だろ?

それに俺を待たせる奴はいない」

鮫島社長の言葉に呆れた感情がつくし様の声に紛れてる。

あとは「お断りします」の声に期待。

「彼女も俺に気があると思うんだよな」

「それじゃ、思いきって当たって砕けろですよ」

「砕けたら終わりだろう?」

そこで会話が途切れて沈黙の間。

「怖いんですか?」

「怖いわけじゃない」

誤魔化すに焦ってる鮫島社長の空気を感じる。

プッと聞こえたつくし様の吹き出す笑み。

場が・・・

和んできてる。

呆れたまま立ち去る構図から少しのずれ。

代表と重ねて、心を許してませんか?

「デートは無理ですけど、話なら聞きますよ」

完全に鮫島社長に気を許してる雰囲気を感じる。

話を聞くだけでもデートです。

つくし様の中では代表の嫉妬より人の良さのほうが勝ったようだ。

断ることも覚えていただきたい。

私は頭の中でどう対処するべきか即座に分析を始めていた。

拍手コメント返礼

Pomozuku 様

拍手ありがとうございます。

ついにつくしちゃんも鈍感女王の座を射止めちゃってますね。

司がいないことでちょっぴり気も抜けてるとか?

ドラマの今後も気になりますよね。

ハッピーで終わってほしいな。

スリーシスターズ 様

今回は司君も西田さんも珍しく詰めが甘いんですよね。

私が遊びすぎてるだけなんですが(笑)

ここは本当に楽しくお話を組み立てていくつもりです。

朝の訪問とチエックうれしいです。

通勤の合間とかコメントもいただきますが、ちょっとした時間に訪問して読んでもらえる。

日常に組みこんでもらってるのが何よりうれしいですね。

コメントのやり取りは私も楽しんじゃってます。

コメントを読むのも返すのも更新の前の楽しみです。

そこからそれじゃ今日はこう書こう的なヒントが浮かぶこともあるので大事な情報収集になっています。

司君にどうばれるのか?

大翔と司の対面はどうなる?

そこはまだ話が固まってないのですよ。

どこかに落ちてないかな~。