0.1% までの恋(すべての恋を終えるまで) 14

台風一号発生と思ったら昨日から大雨。

警報はようやく解除されましたが来週いっぱい天気は崩れたままのよう。

梅雨明けはそのあとでそうか?

こちらのお話は嵐の予感!?

 *

ピリッとした空気の色合いは一瞬でその流れを作りだす。

コツコツと響く靴音は映りこむほどに磨かれた床との間で生まれる摩擦音を派手に響かせる。

この時とばかりに左右から必死でTOPからの指示をもらおうと姿を現す部下。

それはまるで大物にまとわりつくコバンザメのよう。

歩み止めることなくちらりと書類に視線を落としてペンを走らせる。

最上階執務室につながるエレベーターに乗りこむまでそれは続く。

それはいつもの光景。

ただ一つ。

違っているのは・・・

代表!

口元がニヤついてます!

サインをしながら今にもハミングが聞こえてきそうな口の筋肉のゆるみ。

今日の代表は機嫌がいい。

そんなひそひそな声が漏れ聞こえてくる。

あいつ!

俺を残して勝手に出勤しやがった!

そんな不機嫌モードに陥らなかったほど充実したお二人の時間が持てたのだとだと推察できる。

バサッ!

足元に音をたてて散らばる書類。

「こんな、報告で俺が満足すると思うのか!」

鋭い声は書類を拾おうと腰を屈めた部下の動きを止める。

容赦がない。

そうじゃなくては私も困るのですが・・・

聞こえた罵声に張りつめた空気感は重圧を増す。

「もう一度練り直します」

そんな震える声は捨てられた書類をかき集めることも忘れてひたすら頭を下げる。

「今日中に提出し直せ」

いい捨てた代表はそのまま二度と振り向かないままエレベーターに乗りこんだ。

「西田」

名前で一呼吸置いた代表がエレベーターの扉の真正面に向きを変える。

先ほどの伸びきった頬の筋肉はすっかり影を潜めてる。

「俺の留守中、あいつはお袋と会っていたいみたいだな」

光がエレベータの上る数字を移り行く先を眺めてる視線のままに代表がつぶやく。

「あいつになんの用があったんだ?」

「ランチをご一緒されただけだと思いますが?」

当たり障りない返答。

「あのばばぁが利益のねぇことに時間を割く訳ねぇだろう」

「お二人の仲は大変よろしいように思えますが?」

楓さまもつくし様をのことは認めてらっしますから、以前のような姑息な考えはないはず。

うまく利用されてるということは否定はいたしません。

・・・が、お二人・・・

いえ・・・

道明寺にとってマイナスになることはお考えにならないお方のはずです。

鮫島社長との疑似デート。

なりそうでならなかった。

そしてどう見てもハ―レム状態の中心にいたのはつくし様。

鮫島社長と松岡公平・・・

そし以外にも代表とうり二つの深山大翔という青年に囲まれていたこと・・・

知れればきっと代表の顔色は変わる。

そして、それもお二人の関係の潤滑剤と変わるはず。

知らせても面白くない。

そんな感想も最近は持ち合わせてしまってる私がいる。

「お客様は御待ちです」

執務室に入る私たちにそう告げたのは私の部下。

この時間に約束はなかったはず・・・

私の頭の中が激しく動きまわる。

脳が今日の代表の予定をチェック。

「鮫島ホテルの鮫島様が代表にお会いになりたいそうです」

そんな言葉を代表に告げた。

どんな話になることか・・・

今の私には予測が今一つ。

代表の行動なら予測可能だが、さすがに鮫島社長の行動パターンまではまだ理解してない。

つくし様と一緒だったたとの話に流れる可能性は何パーセントなのだろうか?

渋い顔の代表の眉が上につりあがったのが見えた。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

夜は拍手コメにも投稿できたんですね。

コメント欄のほうも楽しく読ませてもらいました。

そう言えばSPの姿が見えてなかったですね。

今回の状況に一番ドキドキしているのは彼らかもしれません。