ANSWER 48

カエルの子はカエル?

ドラマでは司がつくしと間違えて滋を引っ張っていちゃうシーンがありましたが、今回は舞ちゃんが恭介君を引っ張っていくという失態。

もちろんドラマのこの場面を思いだしながら書いてます。

つくしちゃんは滋との婚約を聞いた後だから佑君よりショックが大きかったと思いますが佑君はどうなのでしょうね。

司なら怒り心頭しちゃうシーンの第一位に上げそうですが・・・

離れる前に追いかけてしっかり奪い返すだろうなぁ。

「え?・・・ 。まい?」

いつもなら舞と漢字変換する呼びなれた名前がひらがなのまま疑問符が名前の周りを回ってる。

「行こう」って呼びかけた相手は、たぶん俺・・・だよな?

「あの・・・いっちゃいましたね」

「あぁ・・・」

呆然というよりは俺と大内をどうして間違える?

そのことで思考が止まったまま遠ざかって姿の見えなくなったその先を眺めてた。

大内が連れていかれたというのに、本城も驚いてはいるのだろうけど不満そうな感情は見えない。

穏やかな表情は「びっくりしました」とつぶやいて小さく笑みを浮かべる。

育ちの良さというのが本城から自然と染み出している。

守ってやりたくなるというか、ほっとけないって感情。

それは迷子の子供を守らなきゃいけないような大人の使命感。

「大丈夫でしょうか?

恭介様・・・

まだ怪我も治ってないのに・・・

道明寺さんも退院したばかりですよね?

あっ、すいません美作君も今日退院したばかりなのに、大丈夫ですか?」

本城の心配って・・・そこ?

好きな相手が別性と一緒にどこかに行ったのに?

悔しいとか・・・

嫉妬とか・・・

そんな感情はこの子の思考の中には無!なのか?

「追いかけなくていいの?」

思わず覗き込んで率直につきつけた疑問。

きょとんとまん丸く開いた大きな瞳はクルクルと俺を見つめる。

「帰るところはわかってますから」

それはそうだけど・・・

「二人が気にならないの?」

「美作さんは気になるんですか?」

好きな子の事ならどんな些細なことでも気になるし知りたいって思う。

気にならないほうがおかしいんだと叫びたい感情は本城を見てると急激にしぼんでくる。

「大内のこと好きなんだよね?」

「ハイ・・・」

小さく消え入りそうな声でほんのりと色づく頬を両手で覆いながら恥ずかしそうに本城は俯く。

今・・・

自分が本城に告白したかのようなシュツエーション。

俺たちの周りを通りすぎる大人たちが微笑ましいと笑みを浮かべて通りすぎるのに気が付いてしまった。

可愛いとか言う声にキャーとかキュンの文字が空間に浮遊中。

好きって言葉・・・

口に出すんじゃなかった。

「とにかく、追いかけないか?

まだそんなに遠くにはいってないって思うから」

「そうですね。

ハイッ」

にっこりと笑った本城が俺の前に右手を差し出す。

なんだ?

それは手を握ってと催促するように数センチ前に腕が伸びる。

「恭介様も道明寺さんの手を握ったんですから、私だッて」

ジワリとした朱い炎が本城の中に初めて見えた気がした。

本城も対抗意識あるんだ。

「安心した」

それでも本城の手を取る気にはなれず舞たちがいなくなった方向に歩きだす。

舞以外の女の子と手を握るのは遠慮したい。

たくっ。

あのオッチョコチョイ!!

なんでほかの男の手を握ってんだッ。

俺との違いわかるだろう。

何度となくつないだ舞の手の感触は今でも俺の手のひらの中に残る。

ツンと袖の先が引っ張られる感覚を感じる。

本城が遠慮がちに俺のシャツの袖を握って後をついてきてるのがわかった。