0.1% までの恋(すべての恋を終えるまで) 21

いよいよ役者が勢ぞろい。

収拾が付くのだろうかとちと心配。

最後は司がつくしを残してみんなを追いだして終わりとか?

あるかも・・・(;^ω^)

 *

ここは道明寺HD本社ビルのワンフロアー。

道明寺系列の弁護は一気に請け負う法律事務所そのビルの10階に入る。

入り口からすぐの受付。

そこから案内されるのは各弁護士に与えられたガラス張りのオフィス。

一番奥の目立たないところのオフィスは新米に与えられたオフィスというよりたぶん人目が一番避けられるからって理由だと、ここの誰もが知ってる。

ここ数か月でつくしちゃんのオフィスは何度もその場所を変更してきた。

時間があると代表が顔を出すからなんだけど。

最初は入り口近くのすぐに代表がいける距離だったはずだ。

そこから代表のつくしちゃんに対する愛情表現が大胆になるにつれ目立たない場所へと移動となった。

「いつもなら、飴を食べるのは君の役目でしょ」

玲子さんが僕にわき腹をそんな感じでコツンと小突く。

俺、甲斐幸太郎は一応は道明寺つくしの指導を任されてる先輩弁護士。

指導してるから誰よりつくしちゃんのそばにいる。

話すことも多いしつくしちゃんに笑いかけられることも多い。

すべては仕事がらみなのにとてつもなく不機嫌な代表に睨みつけられる俺。

人懐こくて、素直でまじめで、仕事熱心なつくしちゃんは自分の地位をひけらかすこともない。

だから事務所の皆にも可愛がられてる。

最近やっと代表が見せる嫉妬に慣れてきたところなのに、今回はいくつもの爆弾の導火線が見える気がする。

点火されるのはいつか!

そんな緊張感を感じてしまってる。

事務所の受付から一番近い俺のオフィスの中はただいま人口密集地帯。

つくしちゃんに代表はもちろんのこと、代表とうり二つの弁護士深山大翔。

そして検事の松岡公平。

たぶんこいつは代表の恋敵的な位置づけを今も持ってると俺は思う。

つくしちゃんにその気はないのはわかってるだから迷惑な話だと思うが、松岡自身がそう思ってるのかは疑問は残る。

松岡は代表を相手に一歩も引かない態度を見せる。

つくしちゃんを挟んで逃げ腰になる俺とは違って代表と対等にやりあうんだもんな。

見てる俺がハラハラとさせられてしまう。

そして、もう一人は・・・

鮫島ホテルの社長らしいが、俺との面識は今日が初だから情報は持っていない。

のほんとした雰囲気は独特。

あそこで飴を口に放り込んで笑いを取って空気感を変えたのがわざとじゃなければさすがだと思う。

うちの代表もいつもならやり手だって評価できるんだがつくしちゃんが絡むとただの男になるといか・・・

彼女に夢中なガキに変貌。

年相応な弟分という感じで見えてしまう。

困ったものだ・・・

表情を読ませないやり手秘書の西田さんもたぶん胸の内はそんなとこだッて思う。

口元から笑いをこぼした松岡を睨む代表の目つきに殺気がこもる。

「ここは、落ちついて」

つくしちゃんが代表を落ち着かせようと試みるたびに代表の気が荒くなってくる気がしる。

「もとから、落ち着いてるぞ」

松岡と代表の間に割って入ったつくしちゃんは背伸びをしながら代表の両肩を押さえこもうと必死だ。

それでもじりじりと松岡のほうに押されていくつくしちゃん。

二人の距離が近づくのに危機を感じたように代表の動きが止まった。

そこはやっぱり松岡につくしちゃんを近づけたくない代表の嫉妬の現れ。

それに気が付いて俺の唇がわずかに笑みをこぼす。

代表に見られたらやべぇと口元を引き締めた。

「今日は、仕事の話で来たのですから、関係ない方には遠慮してもらわないと困るのですが」

当たり前の表情で正論でしょと浮かぶ落ち着いた笑みを松岡は代表に向ける。

険しい表情を浮かべた代表も弁護士の守秘義務のことは心得てるから松岡の言葉に口をつぐむ。

「そうか、俺も仕事の話で来たんだよ」

「え?そんなスケジュールあったっけ?」

代表の言葉につくしちゃんが考える素振りを見せて代表から西田秘書そして俺へと視線を移動させた。

俺が知るわけないよ。

「俺の時間を一番に優先するべきだろうが」

代表の一言でつくしちゃんも悟る。

「割りこみは認めない」

呆れた表情でつくしちゃんは代表を睨みつける。

「俺が呼べばすぐに来るのがお前の務めだ」

うっ・・・

このままいったらいつもの二人の痴話げんかに突入するのは目に見えてる。

「あのねッ、こっち来て」

俺たちにすいませんと目で謝るつくしちゃんは俺のオフィスから自分のオフィスへと代表を引っ張っていく。

スライドが降ろされガラス張りの部屋の中は目隠し。

オープンにしてたほうが早く話が付く気がするのは俺だけだろうか?

「お茶でも飲みましょうか?」

そう言ってにっこりと玲子さんが笑みを浮かべた。

超久々の甲斐君目線。

何年ぶりだろう・・・(;^ω^)

昔はよく書いたんですけどね。

最近はご無沙汰だったなぁ・・・・。

覚えてるかたいらしゃるかしら?

拍手コメント返礼

りり 様

覚えていていただいてうれしいです。

もしかしたら数年ぶりに登場したかもしれない甲斐君でした。

スリーシスターズ 様

今回の台風は雨量がすごかったですものね。

影響が出ていたのは県北のほうなので我が家の地区は避難勧告ですみました。

オフィスにこもったら・・・

どうなるか!

みんな同じ結果を想像してたりするかも。

それはつくしちゃん次第でしょうけどね。(笑)

コメント投稿エラーであと考えられるのは文字数制限でしょうか?

500文字制限があったはずが、それ以外はなにも制限してないんですよ。

アーティーチョーク 様

お久しぶりです。

赤ペンのおしらせありがとうございました。

鮫島社長しっかりつくしのことは把握してる設定です。

司の独占欲が強いことで遠慮はないでしょうけどね。

その辺が疎い鮫島社長なのです。