戯れの恋は愛に揺れる  28

いよいよ、楓皇后からつくしへの無理難題が!

そうなるのかどうかは続きからどうぞ♪

「それほど、姫が大事なら、自分の行動を見つめなおすのですね」

凛とした声は年齢よりも若く静かに室内に響き渡る。

ひとたび発すればすべてのものがひれ伏す尊大も併せ持つ。

母が告げた言葉はつくし姫に対する批判というよりは司の・・・

息子への行動を浅はかだと咎めている内容だった。

意外だと感じながらも椿はホッと心の中で安堵のため息を漏らす。

それでもこの母の考えはすべてが皇室中心で、そのためなら何ものに折れない信念をもってることを身に沁みて知っている椿だからこそ、手放しで喜べぬ何かも感じ取っていた。

何か言いかけた司を制するように椿は反論してはダメだと首を横に振って見せる。

「しきたりをすべて無視するやり方には賛同できません」

それは教育の終わってない姫を寝所に呼びいれて夜な夜な愛を紡ぐ二人を咎めてることをさしているのだが婚儀の決まっていない相手を呼びいれてるわけではない、自分の妻となる姫と一緒に過ごしてるだけのことを言われたくはないと司の中で反論がくすぶる。

幾人もの側室を持つことも許されてる身分である。

妃を迎えずともそれはそれで黙認されていたはずである。

側近たちから側室を進められてもいままで側室を一人も持つきになれなかった司がようやく欲しいと思った姫と仲睦まじく過ごしてとやかく言われることはないと司は思っているのが本心だ。

「側室から正室に地位を上った妃もいるはずです」

心外だという思いを込めたおうじの声はまっすぐに我が母に向かっている。

「つくし姫は側室ではないでしょう」

司皇子の考えはすべて理解してるというような落ち着いた声は、道筋を外れることはない正確な矢をまっすぐに放つ。

母の考えがわからないうちに黙っていられないと口を開いた弟に椿はあきらめの想いがため息に変わった。

ハラハラとした落ち着かない表情を見せるつくし姫の見せる姿はこの部屋の緊張感を解きほぐせるただ一つの可憐なつぼみの花のように椿には感じられる。

「私の後を継ぐ者に一つの傷も、隙も残しては行けないのです」

じっと見つめる視線は皇子からつくしへと視点の変化を見せる。

じりっとした痺れにも似た緊張感がつくしの背筋を伝う。

皇子を責めているいるようで実は自分が責められているのだとつくしは感じ取った。

「もうしわけありません。私がいたらないばかりに皇子にも皇后様にもいらぬご心痛を煩わせてしまいました」

震えそうな身体を必死で押しとどめながらもしっかりとした口調でつくしは頭を下げながら視線だけは負けぬように前を見すえた。

そうしなかければ直ぐにでも震えてしまいそうな自分を何度も自らつくしは心の中で叱咤する。

「姫のほうが、皇子よりものわかりが良いようですね」

わずかに見せる微笑みは柔らかい感情を見せたものでないことは司にも司にもわかる。

「今更、東宮妃に認めないといっても俺は納得はしないからな」

震える怒りの声を宥めようとつくしは立ちあがった司の袖に縋り付く。

必死に自分に訴えるつくしの瞳は自分の袖に縋り付く指先よりも自分に縋り付いてくると司は感じてもう一度つくしの横に腰をおとした。

「そのようなことをいって誰に徳があるのです。

欲深い貴族に欲を抱かせるだけではないですか」

「では、なぜ?」

皇后の意図がわからないと司が初めて戸惑いを見せる。

「姫は、私が預かりましょう」

司はもちろん椿の視線まで一気に皇后に引き寄せる。

つくしにしてみれば東宮の宮も皇后の住む宮も後宮の中の一つだと思っているから、二人の驚きの表情の意味を読み取ってはいない。

時には帝でも口だすことのできない独裁的な意味合いを持つ。

皇后としての権限がもっとも生きる場所だ。

「ですが・・・

それでは、お母様の仕事が増えるのでは?

東宮妃としての教育なら慣れた女官もおりますからそちらに任せたほうが良いと思います」

皇后の宮で何が起ころうと誰も咎めるものも口出しできなくなると椿は警戒する。

「元東宮妃としての私が一番の適任だと思っただけですから心配はいりません。

それに私も未来の嫁とは仲良くしたいのです。

心配なら椿が姫のそばにいることは許可しますよ」

椿の心配することはないと母は案に今の言葉で知らしめてるだ。

安心してよいと、心配が無意味だといってる母の言葉をそのまま鵜呑みにできるだろうかと椿は悩む。

母が本気で司の幸せを願うならそれはそれで信じられる気もしてきた。

「もちろん、東宮妃としての教育が終わるまで会うことは禁止ですよ。

皇子も新東宮としての務めもあるのですから、そんな暇もないでしょうけど」

ここで初めて皇后がにっこりとした笑みを見せた。

これは・・・

姫よりも弟宮の方が我慢を強いられる。

母は・・・

姫より皇子に罰を与えてるのだ・・・

皇后の考えを姉宮はやっと飲みこめた気がした。

我慢できるかしら?

ホッと息を吐いてつくし姫を見つめる司を見ながら別な心配が椿の胸のうちに芽生えていた。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

二人の恋路を邪魔する話になると長くなるので今回は応援してるのかな?

いや、やっぱり邪魔はしてるかもしれないですね。(;^ω^)

スリーシスターズ 様のところ受験なんですね。

学校が決まるまでは大変ですよね。

我が家も合格発表があるまで落ち着かなかったものです。

そして高校2年の娘はそろそろ大学進学に向けて情報を集めてるところです。

来年の今頃は進路が決まってるんですよね。

どうなることか~

高校より大学決めるのまた難しい。

yumi 様

結婚は認めるけど、そう簡単にはさせないよという意地悪?

どこまで皇子我慢できるでしょうか?

ひと悶着起きなきゃいいんですけどね。

りり 様

司皇子どこまで我慢できる?

問題はそこなんですよね。(笑)