wedding band 3

おはようございます。

このお話いつもの一人称の書き方から三人称で書こうと取り組んでいますが・・・

気が付くと一人称ぽくなってしまいます。

このくせはなかなか抜けない。

一人称だと主人公主体ですから主人公の捉えた映像や心情を読み手さんが追う状態となり共感性をとらえやすくなるという利点がりますが、他の登場人物の心理描写は描けないという欠点があります。

だからこそ番外編で西田さんが出てきたり、葉っぱコンビが登場したりする楽しみも生まれるんですよね。

日常生活の中でも人の気持ちを考えることはあっても人の気持ちを読むことは超能力でもない限り不可能なことです。

一人称だと他の登場人物の視点の切りかえがなかなか難しく、主人公の思いこみでお話が進んじゃうこともしばしば。

ということは・・・

このお話もいつもの一人称で書いたほうが面白くなるんじゃないかなと思えてきました。

さてここから司君の思いこみ爆裂で行きたいと思います。

「着いたぞ」

実家からそんなに離れてない住宅地の一角。

道明寺が私を連れてきたのは5階建ての建物。

新築ぽくはあるけど道明寺が選んだにしては高級感は皆無のありふれたマンション。

「ここって・・・?」

「俺とお前の家」

期待感満載の輝く少年の瞳で道明寺が私を見つめる。

「俺と、お前の原点って、あの今にも崩れそうなぼろいアパートだって気が付いたんだよ」

高校の時、夜逃げ同然で両親から離れて家賃がただ同然の取り壊し前のアパートに進と引っ越した。

そのアパートをわざわぜ買い取って引っ越してきた道明寺。

あの時のアパートは今までで一番最悪だったよね。

床抜けちゃって道明寺と二人で落っこちた。

良く怪我しなかったよ。

あの後、道明寺の家に住みこみになったって流れもあった。

あのアパートより断然、数十倍は良い部屋。

「道明寺 司・・・

つくし・・・」

入り口のドアにかけられた表札の文字を唇が小さく読み上げる。

「いかにも新婚って感じだろ?」

道明寺が自慢気な顔で私を見下ろす。

表札は花で縁取られ名前の横にはハートマーク入り。

メルヘンチックと乙女チックを足して二で割ったような表札。

いまだにこんなの売ってるんだ・・・。

どこで買ってきた?と、いいたいのを我慢している。

「最近、防犯のために表札を出してるのは少ないけどね」

「心配するな、この五階は全部買い取ってる。

この部屋が気に食わなければ隣の部屋でもいいぞ」

買い取ったって・・・

本当にこの男はッ!

お菓子を買ってきたような軽いノリで言い放つ。

賃貸じゃないんだ・・・。

「さあ入るぞ」

えっ!

おっ!

視界が揺れて真正面から斜め上に道明寺の顔を眺めてる。

「家に入るとき抱きあげているんだよな」

お姫様だっこ状態は初めてじゃないけど・・・

私をいつも慌てさせる。

玄関を抜けると直ぐに行きついたリビング。

そこから見える部屋は二つ。

一般の新婚家庭なら贅沢だと思える2LDK。

「この狭さだといつもお前を感じられる」

床に降りた私をしっかりと道明寺の腕が抱きよせてる。

「ちょっと、待った」

窓に映りこんだ私がしっかりと道明寺から距離を置こうと腕をがっつり伸ばす。

「窓っ」

「は?」

不満そうな道明寺が口角を吊り上げる。

これ以上近づくな!

「カーテンないから、外から丸み見え!」

私の先には窓から見える隣の建物の窓。

昼間の時間帯なのだから窓を開けてる部屋は洗濯物が干してあるベランダも見える。

「俺は構わなけどな」

「私がかまうッ」

家具と電気製品はそろっているみたいだけどよく見れば足りないものがいくつかある。

カーテンもその一つ。

一番いるものだよ。

「部屋で、いちゃつくよりすることあるでしょう。

道明寺のお母さんにもまだあいさつしてないのに」

私の両親に許可をもらったからって安心できない。

最難関は道明寺のお母さまなんだから。

「よかったわね」なんて絶対言ってくれなと思う。

まだ早いとか・・・

別れなさいとか・・・

言われちゃったらどうするのよ!

「ババァはしばらく日本にいないから安心しろ。

既成事実を作って落ち着いたころ帰ってくる予定だ

すべてが終わった状態のはずだからお袋も何もできないはずだ」

確信犯的余裕の微笑みを浮かべる道明寺。

「だから・・・・」

道明寺が私との距離を詰めるように動いた。

怪しく光る道明寺の瞳にドクンと心臓が跳ねる。

「だから?」

「俺の優先順位はお前だろ?」

だろ?じゃない。

外に丸見え状態で道明寺に触れられたらたまったものじゃない。

「もうッ!

私の最優先は買い物だから」

道明寺の手を逃れてソファーの後ろに回りこむ。

しぶしぶな道明寺を納得させて部屋を出たのはそれから数分後。

近くのホームセンターに出かけてショッピング。

カーテンを最初に選んだのは言うまでもない。

二人で使う食器。

可愛いとか便利とか道明寺と相談しながら選んだ品物が増える買い物カート。

カートを押しながら勢いつけて床から足を離して道明寺がカートの上に身体を載せる。

はしゃぎすぎじゃないのと思いながらも私も十分に楽しんじゃってる。

道明寺と一緒にこんな買い物ができるなんて思いもよらなかった。

支払いは道明寺。

ブラックカードで払うには目を引く安さ。

「ほら、これお前の」

支払うついでのように渡されたのは道明寺のカードと同じ色のカード。

「これから、いろいろ必要になるものたくさんあると思うから、遠慮せず使え」

印字されたローマ字は、tukusi doumyouji と読める。

「すでに私の用意してたんだ・・・。

これって・・・限度額・・・」

「ねぇよ」

「だよね・・・」

もう、何も言えない。

このカードを使うことができるかどうかははなはだ疑問だ。

手が震えそう。

夕食の買い物まで済ませて部屋に戻る。

たぶんこれで一通りはそろえられたって思う。

すでに道明寺はカーテンを取りつけにかかってる。

もっ。

鼻歌交じりで機嫌よくいそいそとカーテンを取りつけてる、その意味が渡りすぎて笑っちゃうよ。

ところで・・・

寝室はどうなってる?

そこを気にする私もそれなりに期待してしまってるのかな?

ガチャリと回したドアノブ。

その先には道明寺邸の道明寺の部屋のキングサイズのベッドに負けない大きさのベッドが部屋を占領していた。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

おはようございます。

おっしゃる通り、お話のノリは「門前の虎後門の狼」と同じ系列だと思います。

そうなのですよ、婚姻届けもつくしに記憶がないだけで受理されちゃってるの。

どうやって書いたのか!そこはこれからつくしちゃんが必死で思いだす予定となってます。