0.1% までの恋(すべての恋を終えるまで) 25
おはようございます。
そろそろ寒さも感じ始めた今日この頃。
紅葉もちらほら。
気が付けば秋~
この話も季節を持ち越してしまった・・・(;^ω^)
*犯人確保!
そして後輩の刑事に捕まえた犯人を引き渡す警部。
ぐらりと揺れて私の身体は甲斐さんの前に投げ出された。
「おい」って言葉の出だしから威圧的。
「しょうがねから」
何がしょうがない?
「今回は許す」
完璧上から目線。
道明寺に許される必要なんてない。
「その代わりしっかり監視しとけよ」
その代わりッてなんの代わりよッ。
甲斐さんも硬直気味に「ハイッ」て敬礼でもしそうな感じで返事しちゃってるし。
あのね。
道明寺のほうが甲斐さんより年下なんですからね。
年功序列がここで機能してないのは誰が見て明白。
ただ、西田さんだけは例外かも。
くるりと出口に向けた背中。
その背中はクールで誰も寄せ付けないオーラを纏う。
皇帝のあとにつき従う侍従長。
部屋を一歩出ればそのあとに近衛兵が数名。
道明寺の後ろに西田さんそしてSPの千葉さんと相葉さんの姿がその姿に重なる。
「心臓が縮んだ」
胸元を押さえていた指さきがギュッとシャツをつかんで甲斐さんがふっと息を吐く。
あの・・・
甲斐さん?
縮むのは寿命・・・ですよね?
言い間違いは道明寺で慣れてるから可愛いものだけど。
「心臓が・・・シンドー」
ぽつりとつぶやいた声。
その声の主はにんまりと笑みを浮かべる。
「笑えねぇ」
深山さんの横で公平が軽く突っ込みを入れる。
典型的な親父ギャグに一気に部屋の空気が和んだ。
「それじゃ、僕は失礼します。
また機会があれば一緒に食事でもしましょう」
かるく片手を挙げた鮫島さんは道明寺の後を追うようにその場から立ち去った。
「ここで、つくしちゃんを食事に誘えるなんて馬鹿か大物かどっちだ?」
「さすがにあの状況を見た後で誘わないわよね」
甲斐さんの声に玲子さんが答えてにっこりと私を見た。
あの状況って・・・?
なに?
「男同士で膝の上に座るのもどうかと思うけど・・・」
「座ってませんよ。
玲子さんうまく逃げるから横に座っただけです」
玲子さんと公平の会話に心が焦る。
誰が誰に座った?
道明寺の膝の上に乗っかっていたのは私で・・・
なんで知ってる!?
それもこの場にいた全員が!
ブラインド閉めたよね・・・っ?
えーと・・・
下の方が・・・
少し・・・
開いてる?
見られちゃっていたってこと?
ドキドキしながら皆をゆっくりと見渡す。
玲子さんそんなに楽しそう微笑みを見せないでください。
甲斐さんは気まずそうに眼をそらす。
公平はなんだ?って感じで視線を返してきた。
深山さんは興味がないように私のことは感知しせずデスクの上を覗き込んでる。
「もう、さっさと仕事しよう!」
事務所中央のガラス張りの会議室。
そこに公平と深山さんを引っ張りこんだ。
気分を仕事に切り替えよう。
テーブルを挟んで公平と深山さんと対面で座る。
にこにこと笑みを浮かべる深山さん。
道明寺そっくりのその顔が私をからかって喜んでる道明寺と重なってしょうがない。
もうっ!
その顔をどうにかして!
仕事ができるかと不安になってきた。