ジェラシーを情熱に変えて 4
桃井 あずさ。
誰かとかぶるキャラ(^^♪
わかる人にはわかる塚原真美。
つくしの中学時代の同級生設定のオリキャラです。
なぜかアクの強い役だったんですがその苦みが癖になりそうなタイプでした。
ところどころのお話にちょこちょこ登場しております。
詳しいお話は『迷うひつじを迷わすオオカミ』で~
この題名も気に入って連載してたなぁ。
*テーブルに出されたケーキと紅茶。
「どこの有名ケーキ店がお気に入りですか?」
目の前に座り笑顔は首を傾げて目をぱちくりと数度睫毛を動かす。
有名なケーキより私はコンビニのケーキでもおいしいって思う。
「すいません~
どうしようもない話をしていたら10分ほど時間過ぎちゃいました」
ブランド物の腕時計に視線を落として唇を尖らせる。
「ダメですね。私」
コツンと拳で軽く頭のてっぺんを叩いて舌を出す。
いまどきの小学生もやらないって・・・
「でも、男の人を待たせるのも恋の駆け引きですから」
立ち上がって控室の扉を開きながら私の世話係だという桃井さんが腕を右から左にどうぞ振る。
道明寺相手に恋の駆け引きなんて通じるわけない。
その前にあいつを待たせたら文句の一つが私の頭に落ちてくる。
「なんのために、迎えにやったんだ」
たぶん今日の一言目はこれかな。
どんなパーティかわからないままなのに道明寺に会う前に気が滅入る。
私にばっちり準備をさせてるってことはそれなりのパーティーなんだと思う。
婚約者として道明寺の横にいるやつ。
道明寺の婚約者としての興味深々の視線、そして値踏み。
頬が引き攣るまで笑顔を振りまいて神経をすり減らすやつ。
ここに道明寺のお母様までいたら体重5キロは確実に減りそうなストレスが私の神経を襲う。
レベル5のパーティー。
実際はいやなんだよな。
全然楽しくないもん。
以前の私ならおいしい料理が食べられればそれで満足だったけど今は料理を前にしても食欲がわかない。
案内されて踏み入れた会場は100人規模は収容できる大会場。
ステージ上にはスポットライトにも負けてない煌びやかな光をひときわ放つ道明寺HD代表の姿。
道明寺の会社主催のパーティーなのは間違いない。
そして今あいさつの終わったばかりの道明寺はステージから降りるところ。
階段を一歩踏み降りた道明寺が私を捉えた。
「おせぇぞ」
軽く動いた唇はにっこりと笑みを浮かべる。
怒ってない・・・
まずはそこで胸をなでおろす。
「あんな風に微笑まれたらキュンとしちゃいますよね」
私の横にいた桃井さん。
キュンとしたのは私じゃなく桃井さんのほう?
キュンよりホッとした私はどこかおかしいのか?
「心配じゃないですか?
あんな素敵な人が婚約者だなんて、私なら心配で夜も眠れなくなりそうですよ。
もう、パーティーが始まる前からはりついてそばから離れないと思うなぁ。
長身で、顔もよくて、その上日本随一のお金持ちでしょ。
モテないわけないですよね。その気がなくても女性らのアプローチがすごいだろうし・・・」
それを、私に言うの?
今ここで?
「そんなこと、考えたことないな」
「え~それは、女子力落ちちゃいますよ。
婚約破棄なんてざらにありますからね」
面と向かって道明寺に私は不釣り合いだといわれてるみたい。
いくら鈍感な私でもそう思わせる態度。
でもたぶん、この人はわかってないんだよね。
ここでもやっぱり頭に浮かぶのは塚原真美。
もうっ。
このパーティーだけでもストレスなのに気の滅入る方向につられていきそう。
世話係の仕事って、私のテンションを下げるのが仕事なの?
「さすが、俺の見立てだな。お前に似合ってる」
つま先から頭の先まで視線を走らせ私の瞳と道明寺の瞳の中に互いの姿が移りこむ。
道明寺のタキシード姿も見慣れてるはずなのにかっこいい。
道明寺が満足そうに私を見て微笑んでくれるのはうれしいけどくすぐったくてしょうがない。
私より道明寺のほうが素敵だって思われてるって思うよ。
「今日、お嬢様を担当させていただいた桃井あずさで~すぅ」
語尾を伸ばし媚び見せる音程。
これって、男性受けはいいんだよね。
合コンで男性側にちやほやされる一番人気のポジション。
そう悟ったのは中学時代の同級生、塚原真美の存在。
道明寺はその桃井さんには目もくれず私の前に腕を差し出して、すっかりその姿を遮断してる。
桃井さんの不満そうに膨らんだ頬は直ぐに笑顔に隠れた。
道明寺のこの不愛想な態度は今に始まった事じゃないけど、道明寺はそんなやつじゃないとうれしくなる。
恋の駆け引きなんていらないし、まっすぐに私だけを見てくれている。
恋人として私を思う気持ちまっすぐで、最高級なんだから。
さしだされた道明寺の手を取る。
触れ合った指先から身体の中に流れ込む電流にも似た刺激。
絡める指先ジンワリと熱を持つ。
「あいつらも来てるから」
道明寺が視線を向けた方向には、花沢類、西門さん美作さんが軽く手を上げて合図を送る姿が見えた。
豪華・・・すぎる。