ジェラシーを情熱に変えて 5

おはようございます。

面白くなるところで二日空いちゃいました。

もう週末だ~

F4そろっちゃいましたが、この状況に桃井さん反応は?

本編に行く前の一コマをまずはお届け♪

 

「さすがは道明寺HD主催のパーティーですね」

目の輝きはアイドルを見つけたファンのテンション。

感激してる瞳はきらきらと一点を見つめてる。

それはもちろん勢ぞろいしたF4。

私のお世話係じゃなかったっけ?

すっかり私はお客様じゃなく友達って感覚?

肩をがくがくと揺らす度合いで桃井さんの興奮度が測定できそう。

「紹介してほしいなぁ」

独り言のように聞こえた声。

それなのに私を哀願するように瞳は見つめてくる。

「紹介する」

そんな私の返事を待ってるのは明か。

甘える子犬の瞳。

そんな瞳で見られても、女性に通じない。

なに、この人?

そんな嫌悪感を100%も持たれる気がする。

それは私も例外じゃなくて・・・

これ以上つきあいたくないっていうのが本音。

これは嫉妬とかじゃないからッ

たぶん・・・・

いっそ紹介しちゃう?

あの4人の反応なら想像できる。

不機嫌さをすぐに顔にだすのは道明寺。

まず無関心で視野にもいれない花沢類。

「君、可愛いね」くらいなら西門さんはいいそうだがたぶん女性のあしらいは天下一品。

この場をスマートに抑えて桃井さんを退場させてくれそうな美作さん。

この二人に任せればこの場はすべてうまく収まりそうな気がする。

道明寺がキレる確率が低ければそうするけど・・・

私の隣に立つ道明寺は なんだ?こいつ?的な嫌悪感をすぐさま表情に貼り付けてる。

その中での最初のセリフ。

たぶん今の桃井さんには道明寺の表情なんて見えてないんだと思った。

接客業がこれでいいのか?

道明寺系列のホテルが採用してる従業員なんだよね?

それも今日の私の担当。

優秀だって上司の人の判断大丈夫?

思わずそっちのほうが心配になってきた。

 *

動いたのはあいつら。

3人が歩きやすいように道を開ける招待客。

ザワツク会場がその瞬間だけ静けさを取り戻す。

片手に持ったワイングラス。

そのグラスの先を通り越して見つめる視線はプラズマのように俺たちに注がれる。

「見て」

そんなつぶやきで集中度は俺たちに密着中。

その場にいるだけ。

派手な演出は必要なし。

人目につくのは俺たちのせいじゃねぇよ。

落ち着かず、縋るような瞳で牧野が俺を見上げる。

自尊心をくすぐられる感情が気持ちいい。

慣れてねぇとこに連れていくと俺を頼ろうとすり寄るこいつには今すぐにでも頬づりしたくなる。

そうなると逃げようとするだろうがな。

「牧野可愛いよ」

ほとんど、牧野以外は興味を示さない類が今日一番の微笑みを浮かべる。

それには照れ臭そうに頬を染める牧野も想定内。

かわいいに決まってんだろう。

軽く自然と上がった口角から漏れる笑み。

「おい、司、今日は言わねぇのか?」

「いつもなら類の言葉直ぐ否定するよな?」

総二郎とあきらが互いに顔を見合わせて俺に視線を向ける。

「牧野は可愛いだよとか。

彼氏の前で褒めるなとか。

これ以上見るな。近づくな、触るなとか・・・」

「極めつけは誰に牧野を渡さないって感じで牧野は羽交い絞めになるよな?」

最後に二人が同意を求めたのは牧野。

お前もコクコクうなずくんじゃねぇよ。

俺がすべて選んでコーディネートして作りあげた一品もの。

見せるための芸術品の仕上がり。

牧野はもとはいいんだよ。

素の牧野をすべてを知ってるのは俺だけでいい。

もうこいつらにも見せるつもりもねぇし。

作り上げた牧野を褒められても俺の優越度は変わらない。

今日はどんどん褒めてもいいぞ。

つーかー

そこで類ッ!

牧野の肩に触れるな。

頭にまでぽんぽんと・・・

撫でんじゃねぇよ。

ダメだ・・・

ここは嫉妬してねぇように見せないとな。

今日の俺は冷静沈着に牧野に対応する。

いつもいつも俺だけ嫉妬してるように見せるのは割に合わねぇし。

今日は本気でこいつが俺に嫉妬を見せるまで粘るつもり。

「仕上げはこれな」

牧野の後ろに回っていつも牧野が身につけてる土星のペンダントを外す。

「無くしたらぶっ殺す」

そんなセリフをつけて俺が女性に贈った初めてのプレゼント。

えっ?

そんな表情は首をひねって俺を見上げる。

外した土星の行方を追うように牧野の視線が俺の指先を追う。

胸の内ポケットにしまいこんだのを確かめて牧野が俺を再度見上げた。

そして外したネックレスの代わりに首につけたダイヤのちりばめられたブランドのネックレス。

その中央にはめられたルビーの朱い輝きが光に反射する。

今日の藍色のドレスに合わせて作らせたもの。

「これって・・・」

「遠慮するな」

「肩が凝りそう・・・」

牧野の指先がルビーに触れながらつぶやいた声。

綺麗とか素敵とかじゃねぇのかよ。

お礼の言葉が出てくるとは俺も思ってねぇけど。

総二郎とあきらそれに類まで楽しそうに笑い声を吹きだしやがった。

今日は負けねぇよ。

「知ってるか?」

「何を?」

ルビーから目が離せない状況の牧野。

「ルビーの効果は情熱性を高め、恋愛に対する積極性を高めるんだと・・・」

目の前に見えるのは髪を結いあげてあらわになる白いうなじ。

その肌に触れた唇は軽く吸い付くようにキスを落とす。

「ひっ」

周りに聞こえないような小さな悲鳴。

吸い付かれ首筋を牧野の右手が抑えながら俺を見あげる。

何するの!?

驚くというよりは少し怒ったような瞳が俺を見上げた。

「どうした?」

「どうしたって・・・

いきなりッ、キ、キ、キ、」

「どこかにキツツキがいるか?」

「そうじゃなくてっ」

いまにも突っかかってきそうな勢いを牧野が見せる。

「悪い、痕・・・ついたかも・・・」

「えっ?」

驚く表情は確かめるように首筋を触りだす。

周りにわからないようにわざわざ小声で言ったのに、牧野の行動は全部あいつらにも筒抜けの状態。

俺らを見て楽しんでるのはまるわかり。

「嘘だよ、つけてねぇよ」

俺の言葉に牧野の羞恥心は最高値達したように顔色を赤く変わる。

そして俺にはまだ怒りを見せつけるように唇はわなわなとふるえながらつぶやく「道明寺ッ」。

「わ~素敵~

すごいですね。

そんなネックレスをプレゼントされたうれしくて眠れなくなりそう。

二度ぼれしちゃいますね」

俺が牧野から聞きたかった言葉を興味もねぇ女が飛びあがっているテンションで叫ぶ。

「誰だ、お前?」

「いや~、さっき言いましたよね。

今日牧野様の担当をさせていただいてます。

今日一日精一杯お世話させていただきます桃井あずさで~す」

唇をすぼめて今にも投げキッスが飛んできそうな状態。

極めつけは片目をつぶってのウインク。

寒気がした。

「おい・・・

本当にこいつがお前の今日の担当なのか?」

小さくコクリとうなずく牧野が見えた。

嘘だろう・・・。