ジェラシーを情熱に変えて 6

この話も今日で6話目になりました。

予定では10話。

う~ん・・・(;^ω^)

終わるだろうか・・・。

 *

「あっ、すいません」

会場中央、立食のテーブルを見渡しように首を伸ばした桃井さん。

「ちょっと離れますね」

少なくなったテーブルの上の料理を指さしながらウェーターに指示を出してる。

取り分けた料理を隣の紳士に渡す。

満面の笑みを作るのは忘れてないのはさすが。

「しっかり、仕事してるんだ」

ちょっと見直した気持ちはそのまま小さく声に出る。

神がかり的に見える。

顔は前を見てるのに視線は左右に走らせて、笑顔を振りまいてそつなく対応。

「下心丸見えなのがすごいけどな」

「したごころ・・・」

私の独り言を聞き逃さなかったのは西門さん。

「さっきから気配り万全って感じで動きまわってけどさ、その相手がな・・・」

「相手?」

「ああ、ほとんど金持ちの独身、年配者は息子がいる相手だからな」

西門さんの言葉に相槌を打つように美作さんが私のそばに寄ってきた。

「玉の輿狙いがミエミエだろう」

今日の招待客の中でそれを見きわけられるのもすごい。

だってさ、それならF4の周りを離れないほうがいいと思うんだけど。

高校生の事の我が家の合言葉「玉の輿」

道明寺と付き合い始めたころ家族のハイテンションだったことを思いだす。

「こいつは、玉の輿狙いじゃねぇからな」

不機嫌につぶやいたのは道明寺。

ジロリトと私を見下ろす道明寺はなぜか私を睨みつける。

「あのね、私は条件で好きになんてならないから」

日本一のお金持ちでも道明寺は扱いにくいひねくれかたも天下一品なんだから。

玉の輿狙いでいけば花沢類とか美作さんとか西門さんのほうが楽だって思う。

息を切らせて舞い戻ってきた桃井さん。

上下に動く胸元を手のひらで抑えながら息を整えるようにふっーと吐く。

私すごいでしょ。

褒めて。

そんな期待を込めた瞳はもちろん私以外の4人に向けられている。

「あっ、お飲み物お持ちしますね」

空になりかけのグラスを目ざとく見つけて、通りかかったウエーターの運ぶグラスをにっこりと二つつかむ。

一つは西門さん。

もうひとつのグラスは自分が手に取り二人でグラスを合わせて乾杯。

そして一気に自分の喉に流し込んだ。

「すいません、喉乾いちゃって、我慢できませんでした。

お酒が弱いのにぃ~どうしよう」

いや・・・

顔色は変わってないから。

「酔ったら介抱しようか?」

いつもの調子で軽く相手にしてる西門さん。

「ほんとですか?」

飛び上がるような素振りの桃井さん。

「その様子だと大丈夫そうだね。

それに勤務中に誘うのはルール違反だからね」

微笑んだそのあとは何事もなかったように桃井さんを置いて西門さんは私たちに話しかけてきた。

たぶん、桃井さんはフラれたことに気が付かないんじゃないのだろうか。

「さぁ、次はあきらかな?」

西門さんが後ろにかるく目をやる。

その視線を追うとターゲットは確かに美作さんに代わってる。

二人の身長さ20㎝。

少し腰を屈めて桃井さんの耳元に近づく整った顔立ち。

横顔のシルエットは艶を纏う。

桃井さんが動かなくなった間に美作さんも私たちのところに集結。

「どうしたの?」

「人妻が好みだからって教えてだけ」

それだけじゃないと思う。

これ以上はシークレッドだというように西門さんは唇の前に人差し指を立てて微笑む。

「あとは、類と司だな・・・」

西門さんのつぶやきに無関心な花沢類が「なに?」と、表情だけで見せる。

立て続けにアタックする勇気があるかな?

だんだんとその姿が大きくなる桃井さん。

勇気というよりは無謀。

桃井さんが声をかけようとした瞬間に花沢類はそこに桃井さんがいないような態度で私の前に。

「牧野、何か食べなきゃ」

そう言って料理の並ぶテーブルへと私を誘う。

それは見事なまでのスルー。

花沢類に連れ添われてる私に道明寺はいつも見せる嫉妬は見られずなぜか楽しそうに笑ってる。

そしてそのまま私と花沢類の間に割りこむようにやってきた。

「確かに、今日はお前、なんも食べてねぇよな?」

手のひらの上にのっかったお皿に道明寺が次々と料理を山盛りに積む。

「もういいって」

花沢類がのせればその上に道明寺がのせる。

エビの上にホタテが乗っけられた。

変なところで対抗しないでよ。

花沢類は笑ってるし、道明寺は闘争心ががっつり顔に出ちゃってる。

落ちそう・・・

安定を図るために私は皿を持ったままバランスをとる羽目になった。

これじゃ食べることもできない。

いつもの食べ放題のランチでもここまで取らないよ。

「もう、いい加減に・・・」

拒否感満載の感情が唇を動かす。

それを遮ったのは背中になんとなく痛い視線を感じたから・・・・

ゆっくりと機械仕掛けの人形の動きで身体を反転。

睨まれてる・・・。

私と視線があった途端、私が見たのは幻と思うような微笑みを浮かべた桃井さんに変わっていた。