ジェラシーを情熱に変えて 13
ぐずぐずしてたらクリスマスが来ちゃうよ~
今週中にはこのお話を終わらせて、
止まっちゃってる連載分をちょいと更新してクリスマスのお話の構想を作ろうかなと思っています。
ぐずぐずしてると誕生日が来ちゃうんですよね。つくしちゃんと坊ちゃん。
毎年の冬の恒例行事になっちゃってるなぁ・・・(;^ω^)
*「お部屋にはいらっしゃいませんでしたが・・・」
牧野を呼びに行かせた従業員が俺にそうつげたのは、あのどうしようもねぇバカ女を追い払ってそう時間が経ってねぇ直ぐ後。
俺の後をすぐに追いかけてくると思っていた牧野がなかなか現れねぇから呼びに行かせた。
「隠れたんじゃねぇ?」
今更なんの理由で俺から隠れる。
逃げる必要もねぇし。
逃げても直ぐに見つけるし・・・
総二郎、冗談ならもっと面白いもの頼む。
「疲れたとか?」
あいつはまだ大した料理くってねぇよ。
お腹を満たす前にあいつが疲れるはずがない。
それはあきら、お前も知ってんよな?
色気より食い気の牧野。
「迷子になってるとか?
探しに行こうか?」
一番的確な予想。
ついでに誰が類!お前に探しに行かせるか。
迷ってるあいつを見つけて、俺のそばに「助かった」った嬉しそうに微笑んで駈け出してくるのを抱きしめる役得は俺のもんだ。
「たく、めんどくせぇ、お前らはここにいろ」
類たちを置いて俺は会場の出口の扉に向かう。
「あれが、めんどくせぇって思ってるやつの顔かな?」
「たぶん、牧野を見つけたら司は帰ってこないね」
「賭けるか?」
「賭けになんねぇよ」
聞こえたくすっとした笑いの混じる声。
俺で遊ぶんじゃねぇよ。
勝手に想像しとけ。
まぁ、状況によっちゃそうなる可能性もあるわけだ。
否定はしねぇ。
部屋から会場までのコース。
どこをどう探しても牧野の姿は見つからない。
「おい、このくらいの背丈の若い女を見なかったか?」
頭を下げて立ち止まる従業員に俺の肩の高さくらいの身長を示して聞いてみた。
しばらく考えた表情がハタと気が付いたように輝く。
「探し物があるとゴミ箱の中を見て回ってる1高校生くらいの女の子は見ましたが・・・」
「そいつだ」
20過ぎても高校生に間違えられるのは今日来てる招待客の中にもいない。
着飾ってる分年より上に見えるほうが普通。
「どこに行った?」
「あちらに」
従業員が指をさした方向に歩く。
なんであいつがゴミ箱あせってる?
考えらえるのは俺の上着・・・
でも牧野は桃井が俺の上着をゴミ箱に捨てたのは見てなかったぞ?
・・・
・・・・・?
まさか、俺が桃井を追い返したあとで牧野はあいつにあったのか?
ネックレスを捨てられたと思った牧野は必死でいまだに俺の上着を探してるってことか?
たちどまった俺の横を足早に通り過ぎる影。
「待て」
ピクリと身体を止めて振り買える桃井。
「お前、今日は牧野担当だったよな。
仕事放棄か?」
「はぐれちゃって、私も探してるところです」
「へぇ・・・」
にっこりとほほ笑む表情が壁に押しやられてわずかに引き攣るのを俺は冷ややかに見下ろす。
桃井の頭の上にたたきつけた拳は壁に振動を伝えて揺らす。
「嘘つくな」
口元からこぼす声は一筋の容赦のない冷気じみた声。
あいつのこととなると俺はどれだけの怒りを冷酷なまでに相手に向けられるのか自分でもわからなくなる。
「どうしてですか?
あんな子・・・
何の努力もせず運がよかっただけですよね?
セレブの集まることで有名な学校に入学したってことは、最初から玉の輿狙いじゃないんですか?」
必死で顎を持ちあげて俺を睨みつける表情。
あいつなら、強気な大きな瞳がきらきらと俺を見上げた瞬間に甘い感情がくすぐる。
牧野以外のやつに見上げらるとこうも胸糞が悪くなる物なのだろうか。
「お前に、あいつの良さを話しても無駄だろうな。
一言じゃ話せねぇし。
運だけじゃねぇよ。
俺が牧野を好きになったのは運命だから。
誰にも邪魔させるつもりはない」
「道明寺の御曹司も簡単に騙されちゃうんですね」
どう説明しても勝手に解釈してしまう態度。
わずかに高くなった声が桃井も冷静じゃないってことを感じる。
「お前にどう思われようと俺には関係ねぇよ」
もう一度逃げ場のないように壁際に桃井を押し込んだ。
「素直に応えろ。
次は手元が狂って壁じゃねぇとこぶち破るかもしれねぇし」
言い終わったと同時に壁に拳の跡を残す。
桃井がへなへなと壁をつたって床にしりもちをついて俺の視線から下に外れた。
「外に・・・」
桃井が指さしたのは天候が変わって雪が吹雪きだした凍り付く寒空の下。
数メートル先が確認できない。
天候不良のためホテルにとどまるように館内放送も流れてる。
「牧野ッ!」
叫んだ声は吹雪に音にかき消されて暗闇に消えていた。