Happy Valentine(boys編 3-1)

先日まで拍手がエラー表示になっていたようでご心配おかけしました。

現在は表示されてるようです。

時々何かしらのエラーに見舞われることがあるのですが、ほとんどはFC2サイドの問題なようです。

時間が経てばほぼ解決してますが、何かありましたらお知らせいただけると助かります。

トリをしめるのは道明寺の跡取り息子の駿坊ちゃん。

大学生の駿君が見たいとのリクエストをいただきまして、大人な駿君で今回は行きたいと思います。

現在進行形のお話の中の高校生の駿君はバレンタインどころじゃないだろなぁ・・・(;^ω^)

バレンタインのお話2月中に終わる?

はぴまりが~。

 *

胸元に抱え込んだ紙袋。

中から少しはみだして揺れるピンクのリボンが見える。

大学の構内ですれ違ういつもとは違う景色。

「ごめん、待った?」

わずかに乱した息を整えながら菜花が微笑みを浮かべる。

「どうしたのそれ?」

明らかに種類の違うバレンタイン包装の小箱。

菜花は友チョコを贈るようなタイプじゃない。

毎年買うチョコの数を上回る量の紙袋を抱え込んでる。

「もらったんだよね。

後輩とかも私に渡すんだもの」

ちらりと上目使い気味に僕を見上げた菜花の瞳は悪戯ぽく僕を見つめてくる。

まさか、僕に?

預かってきたとか?

高校の時は靴箱とか、机の上に勝手に置かれて、返すこともできなかったけど。

靴箱からこぼれ落ちるチョコの箱を素早く蒼が自分のポケットに入れこんだりしていたっけ。

「間違っても駿に渡すように頼まれたものは受け取ってないけど」

僕の考えをさらりと菜花は拒否してみせる。

「てことは、僕の許可もなく断ったってこと?」

「さぁね」

くすっと小さく笑みをこぼす唇。

嫌で断ったなんて絶対聞けないだろう菜花の本音。

「女子同士でチョコ贈るの主流だからね。

手作りチョコとか・・・

ケーキとか・・・

クッキーとか・・・

彼氏に贈る前に練習とか・・・」

「それ、全部食べたら太るぞ。この辺」

紙袋を抱え込んだままの上腕を軽くつまむ。

触れてわかるしなやかな筋肉質。

無駄な贅肉なんてついてないんだよな、ホントは。

「気にしてること言わないでよ」

ブンと横に振った振動で僕の手から逃れようとする菜花を引きよせる。

「逃げるなよ」

「逃げてないわよ。肉のあるとこつかまれるのが嫌なの」

「僕は好きだけど」

わざと視線を落とした菜花の胸元。

僕の意図を察知した菜花の目元に浮かんだ羞恥の色合い。

「後で迎えに行くから連絡して」

バレンタインの日だというのに蒼に泣きつかれてこれから会わなきゃならなくなった。

菜花は菜花でこっちもどうしても断れなかった女子会。

どっちも彼女や彼氏がいるやつはいいよなとか、良いねとか。

高校からつきあってるのに今更バレンタインにかこつけなくてもいいだろうとすごんできたのは蒼。

・・・で、何でも独り身が集まる飲み会。

僕が行けば盛り上がるって言ったのは・・・・

女子大生を集める餌だと知ったのは店についてからの事。

男女比相対の合コン。

「蒼ッ!」

「んっ?」

参加したらこっちのものみたいにお気楽さで蒼が僕の背中を席の中央に押し込んだ。

「きゃー、本物!」

僕を見てザワツク女子。

「こっちにどうぞ」

自分の隣をさす腕は僕一人の身体じゃ足らない。

「あっ、ごめんこいつこの後彼女と待ち合わせだから」

帰ると言いかけた僕の肩をギュッと抑え込む蒼。

座りこませた末端の席。

「それじゃ、彼女の待ち合わせの時間までは話せるんですよね」

蒼を押しのける圧は、帰さないというように僕の左右から迫る。

サンドイッチの状態から今すぐは解放されそうもない。

菜花との約束の時間までは約3時間。

時間の経過を気にしながらグラスを持ちあげ乾杯にはしょうがなく参加。

「あの・・・どうぞ・・・」

真正面に座る彼女が遠慮がちに取り分けた料理を皿にのせ僕に進める。

さっきからほとんどしゃべらず無口な彼女。

名前なんだっけ?

「え?」

戸惑った表情がきょとんと僕を見つめる。

ヤバイッ

心の声がもれてた・・・。

さすがにいくら気のない合コンでも名前の印象も残ってないって態度は失礼だと思う。

そうじゃなくても一度会った相手はしっかり覚えておくようにと道明寺の後継者として教育されてきた。

「ごめん・・・記憶がなくて・・・」

「いえ・・・大丈夫です」

慣れてますからと小さく動いた唇。

全く僕に興味を示さないような静かな態度はこの席では一番落ち着く。

「改めて、よろしく。道明寺駿です」

軽く会釈をした僕に慌てたように「立花 紗季です」と名前を言って彼女は頭を勢い良く下げる。

ごつんと響いたテーブルに倒れそうになった彼女のグラスを間一髪で僕は受け止めた。

「大丈夫?」

「大丈夫です」

真っ赤になった彼女がグラスを僕から受け止めようと伸ばした伸ばした指先。

一瞬触れた指先はビクッとなって彼女の胸元まで戻っていった。

「すいません・・・」

そのままうつむいてしまった彼女は貝のように口をつぐむ。

このまま彼女を無視して過ごせるわけがないと僕は必死に話しかける羽目になってしまった。

え・・・と・・・

一話じゃ終わりませんでした(;^ω^)