戯れの恋は愛に揺れる  34

司皇子そっくりの亜門君。

つくし姫は気が付くかしら?

気が付いてほしいような、気が付かないで司皇子からのお仕置きが待ってるとか?

どっちもいいなぁ~

と思ってしまってます。

亜門君いつかは使いたいキャラだったんですよね。

でもドラマのキャストには登場してなかったからなかなか使う気かいがなくて、今回まできてしまいました。

そろそろ最終話に向けてのラストスパートに突入していく予定です。

「変わりはないか?」

静まり返った闇夜の中から静かに響いた足音はつくしの部屋の前で止まる。

人気の感じない部屋の外には見張りがいたことをつくしに感じさせる男の声が低く聞こえて来た。

襖の影からそっと外をのぞいていたつくしは慌てて顔を引っ込めると音をたてないように障子を閉めた。

「あぶない・・・っ」

暗闇に浮かんだ数人の人影。

これじゃこの部屋から逃げだすことなんてできない。

閉めた障子にもたれかかった背中はそのまま力なく床にストンと落ちる。

小袖の裾がはだけたまま伸ばした足先がやけに白く浮かぶ。

「きゃー」

もたれかけていた障子が突然開いたことでバランスを崩しそうになったつくしの口から短く悲鳴が漏れた。

両肩を力強く支える腕。

体勢が崩れたままのつくしは首をのけぞらしたまま自分を助けた相手の顔を眺めていた。

「え・・・っ」

じっと自分を見つめるその顔をつくしが見間違えるはずがない。

「皇・・・子っ」

大きく見開いた瞳の先で静かに自分を見つめるその顔はいたって冷静につくしを見つめてる。

「遅いよ」

腰を回して半回転した自分の身体を向けて、今度はしっかり顔を上げて見つめる。

自然と潤みかけた瞳は整った顔立ちが霞んではっきりと見ることができない。

「怖かったんだから」

胸元に顔を押し付けながらも、つくしは握りしめた拳で幾度となく叩く甘く責める。

「逃げようとしたのか?」

頭の上から聞こえたその声はつくしの想像に反する冷たい声。

確かにその声は皇子のはずなのに何かが違う。

いつもの乱暴な冷たい声でつくしを怒るいつもの皇子の声のはずなのに・・・

感じる違和感に胸元を叩いていた腕を伸ばして押しつけていた顔を外した。

そのまま顔を上げることができないままにつくしの動きが止まる。

「逃げるつもりだったのかと聞いてる?」

クイッと顎を上げる指先がやけに冷たく感じる。

絡みあった視線の先には確かに見慣れた皇子の顔があった。

顔の覗き込んだその表情をつくしの全身を確かめるようにつま先まで動いて口角を軽く上げたその笑みは自分をあざ笑っているようにも思えた。

「あっ・・・」

膝から見えてる足を隠すようにつくしは小袖の裾の中に入れこんだ。

「誰?」

つくしの知ってる皇子なら乱暴な口調の中にもあたたかなものを感じる。

今目の前にいる皇子には全くそれを感じない。

まるで別人とでも言うような温度差がある。

皇子じゃないと感じたのは本能。

言葉では説明できそうもない不確かな確信。

「お前を助けに来たのにその言いぐさか?」

司の口調に似せただけの声にはつくしを思う気持ちは微塵も感じることができない。

「私の知ってる皇子じゃないもの」

つくしの問いかけに一瞬大きく開いた瞳が意外とでもいうようにつくしを見つめる。

「面白いな」

フッと和らいでやさしく笑う目元をつくしに見せる。

皇子じゃ・・・ないよね・・・

別人だとの確信がつくしの中で揺るぎそうになる。

「あいつを陥れるだけのつもりだったんだが・・・」

え・・・っ・・・

グイと引きよせられた身体は抗うこともできず皇子そっくりの男の腕の中に抱きよせられたしまっていた。

拍手コメント返礼

yumi 様

抱きしめられたところで司皇子登場したら・・・

間が悪いとしか言いようがないですが・・・

亜門君もつくしちゃんもただじゃ済まないだろうな・・・(;^ω^)