野獣は素肌で戯れる 2

おはようございます。

さて今回のお話久々にちびっ子たちを盛り込んだお話にしようかなと思ってます。

まだ長男坊出てきたませんけどね。

次女の澪ちゃんはいつ出てくることやら~

今回もいつものごとく題名に悩みました。

最初に浮かんだのは野獣。

これを活かした題名・・・

野獣死すべし

美女と野獣

なんか違うし・・・(^-^;

どんな戯れなお話になりますことか、こうご期待!

早すぎッ!

帰ってくるであろう時間から逆算して子供たちをお風呂に入れたのに。

「早かったのね」

早くなるなら連絡してほしいと不満を少し混ぜてつぶやく。

「こいつらと少し遊びたかったしな」

漆黒の上品な色合いが長身の身体を包み込みあでやかさはいつもより倍増してる司のタキシード姿。

その両腕にはまだ少し髪が渇いてない舞と翼がニコニコと抱かれてる。

司のタキシード姿は見慣れてるけど、細くすぼめた瞳がいとおしそうに子供たちを眺めてる。

何か話しかけながらあやしたり、頬を摺り寄せたりと穏やかなオーラー全開の道明寺HD代表。

この組み合わせはずるい。

得したような気分は胸をキュンとさせる。

普段帰りの遅い司はほとんどの確率で子供たちの寝顔を見ることしかできない。

今日初めて翼が「ちくし」って、いったんだよ。

それも司の口調を真似てね。

その口調からつくしって私の名前を言ったんだと推測できたんだけど。

すごくおかしくて、しばらくは笑いが止まんなかったんだから。

これから月に数回はある仕事上の付き合いのパーティー。

子供たちを置いていくのは気が引けるけどしょうがない。

子供たちを司に任せて私は準備ができるから、それはそれでうれしんだけどね。

「駿は?」

姿の見えない長男坊の存在にようやく気が付いたパパ。

「言わなくていい・・・

おふくろだよな?」

渋い顔は駿に会えないかった寂しさか嫉妬心?

お母さまが日本に帰国すると必ず駿を連れて行っちゃうんだよね。

仕事では世界のTOP企業をぴしゃりとしきれる鉄の女も孫3人の相手は骨が折れるらしい。

まだ聞き分けのないやんちゃなチビたちの相手は30分と持たなかったお母さま。

ほつれた髪にところどころに汚れの付いた服。

両脇に抱え込んだ舞と翼。

それはパパがいつもやってくれる飛行機じゃないから手足をばたつかせて喜ばないの!

と・・・

心の中で叫んでた私。

あんなにへとへとにやつれた楓さんの姿を私はいまだに見たことがない。

1度の体験で懲りたのかそれ以来、もうすぐ5歳になる聞き分けのいい駿がお母さまの話し相手になってる。

今頃きっとお母さまの膝の上で駿は絵本を読んでもらってる時間かな。

司でも邪魔したらダメだからね。

駿を返してもらっても遊ぶ時間はないんだから。

そんなこと関係なく「返せ」「駿はおばあさまがパパより好きなのよね」なんて親子喧嘩が勃発したら困るのは私なんだから。

それこそパーティーに間に合わなくなる。

「子供たちは、もうすぐシッター来るからそれまでお願い。

私は準備するから」

自室の奥にバタバタと駆け込む私。

ドレスに着替えてドレッサーの前に座る。

化粧する私を映し出す鏡。

その後ろに移りこんできた司。

どうやら子供たちは司の手を離れたみたいだ。

ソファーにでも座ってくつろいでいればいいのに。

化粧の最中を見られるのすごく恥ずかしいだけど。

私の後ろから覗き込む司は中腰のままで身体を寄せる。

首筋に触れる唇。

吸いつかれるその感覚にびくっと肌が反応してしまう。

「跡を付けないでよね」

「べつについたってかまわないだろう」

「私がかまう」

淡いピンクのプリーツシフォンワンピースドレス。

透けるオーガンディーの柔らかい素材の上に施された刺繍。

紅い跡がつけられたらボレロで隠さなきゃいけなくなる。

上品な煌めきって装いのドレスなのにッ!

私の心配などよそに首元にまわされた腕。

眉を書く手元の邪魔にしかならない。

襟足に触れるやわらかい感触。

なぞるだけですいつかれていないけど・・・。

くすぐったさと熱が籠る。

「邪魔しないで」

迷惑だと思う気持ちと心地よい感触が入り乱れて私の声も甘くなる。

「5分で済ますけど?」

耳元で聞こえる済ました声。

5分で終われるはずがないのは司も私も知ってるはずなのに。

誘惑じみた指先の動きはしっかりと私の胸のふくらみにまで伸ばしてきてる。

「ダメだって」

パーティは欠席でもいいかな?

なんて・・・

悪魔の囁き。

甘い誘惑。

今日はどこの主催だったっけ?

今日はお母さまもいるのにッ!

二人で部屋にこもったまま予定をキャンセルしたら何言われるか分かったものじゃない。

それだけは阻止しなきゃいけないよ。

私を責めるお母さまの威圧感満載の表情が悪魔の囁きを私の頭から追い出してくれた。

ダメっ!

司の腕を掴んで私の胸から引きは剥がす。

「残念」

余裕のある笑みを残して私に背中を向けた司はコツコツと靴音を鳴らして部屋か出ていく。

どっと倦怠感が私の両肩にのしかかる。

もっ!

忙しい時にちょっかい出して、からかわないでよッ!

大きく息を吐いて肩の力を思い切り抜いた。

パーティーに行く前に体力を使い果たしそう。