最上階の恋人 32
久々に更新2か月近く進んでなかったこの話。
西田さんサイドで終わったままでした。
船上の一夜はしっかりと甘く演出できたと思ってますが、一晩じゃ足りなかったかもしれません。
でも忘れちゃならないこの題名。
『最上階の恋人』なのよ~
まだ最上階に行きついてないんですつくしちゃん。
最上階に話を戻さないといけないのよ~
最上階までの攻防はどう進むのか!
どう進めるつもりだったのか・・・
すっかり忘れてしまってる私の記憶・・・
きっと最初の話と変わる最終話をこの話も迎えそうです。(;^ω^)
朝日を反射させていたコバルトブルーの海上から飛び立ったのはほんの1時間ほど前。
遠くに見える街並みは普段見慣れた角度とは違う表情で近づいてくる。
私の隣に座っている道明寺はヘリに乗る前から眉間にしわを刻んだまま西田さんからの報告を聞いている。
「すぐに仕事を片付けるから待ってろ」
そう言い残したまま道明寺の道明寺。
横に座ってるはずなのに私には無関心な感じは距離感を半端なく私に感じさせる。
西田さんが表れる現れるまでの密着感が恋しく思えるほどの疎外感。
私はいりこむことのできない空気感がヘリの中に立ち込めてる。
私はその疎外感を受けるためにぼんやりとヘリの窓から外を眺める。
手のひらの上に載せれる大きさから徐々に原型にの大きさに近づく街並み。
真下に見えてきた高層ビルめがけて高度を下げていく機体。
着陸地点は道明寺HD本社ビルの屋上ヘリポート。
「ついたぞ」
一時間ぶりに聞いた道明寺の声。
ムカつくよりうれしく思えるのはなぜだろう。
そっけない一言でも私のこと忘れてなかったんだと喜んでしまってる。
今までの私なら「私のこと忘れてると思ってた」なんて可愛くない態度にでてしっていたって思う。
私の肩にまわしてきた道明寺の腕も振り払って、さっさと一人で歩いて行っちゃってるはずだもの。
今の私は・・・
そんな態度なんてとれるはずなくて・・・
私の肩を抱く道明寺に身体を預けたまま歩く。
私の歩調に合わせて歩く道明寺のやさしさもいつもの強引な道明寺の持ち味とは一つ違う。
「悪かったな、相手できなくて」
まっすぐに視線を向けたまま道明寺が小さくつぶやく。
ちらりと私に視線を落とした道明寺。
私と目が合ったら戸惑いを残したまま視線が私から別なところに動いてる。
定まらないよ視線は前を歩く西田さんの背中を睨むようにして動かなくなった。
私の肩を抱く指先がギュッと動いて私を引き寄せる。
その強さに身体が傾いて胸元に引き寄せられて歩きずらくなってしまった。
すっぽりと道明寺の脇の下に頭が入りこんじゃったよ。
「あのさ・・・
仕事忙しかったら・・・
私・・・
帰ろうかッ」
言葉が終わる前に道明寺が急ブレーキをかけるように歩くのをやめた。
いきなり止まるから舌を噛みそうになった。
肩から腰に落ちてきた道明寺の腕が私を持ち上げるように絡みつく。
確かに私の身体は地上から10センチは持ち上がってしまって、道明寺の鼻先に私の鼻先が触れそうな距離感。
「俺から、離れるつもりなのかよ?」
「えっ?」
目の前の道明寺は私の言葉で感情を害したのはわかりすぎる表情で私を見下ろす。
「仕事あるんでしょ?」
「すぐに終わらせる」
仕事に向き合う道明寺のそばで私は邪魔だろうなと思った。
だから帰ろうかって言っただけだ。
本音を言えばもうしばらく道明寺と二人で過ごせると思っていた。
このまま分かれるのは寂しいに決まってる。
「俺から、離れられるのかよ」
怒った表情が切なそうに私を見つめる。
「俺は、もうしばらくお前といるつもりだった。
お前は違うのかよ」
「私も・・・もうしばらく・・・一緒にいたいって思ってたけど・・・」
そういいながら西田さんを気にするように視線を送った。
私たちのそばには西田さんだけじゃなくSPが数名が周りの状況に視線を走らせる。
私と道明寺の会話も聞かれちゃってるのかと思うといつもの羞恥心が私の感情の大半を占めてきた。
さっさとここから立ち去った方が身のためって思える。
「決まりだな」
にやりと道明寺の唇が動いたのが見えた。
おっ!
しっかりと私の右手首は道明寺につかまれてしまってる。
手錠をかけられたような頑丈さで離れそうにない。
その手首を支点としてくわえられた力は、私をグイっと引っ張る。
大股で歩く道明寺に引っ張られる私は引き網の状態。
網の中で逃げようともがいても、跳ねても逃げられない魚。
道明寺に手首をつかまれた時点で逃げようなんて気持ちはなくなってしまってる。
道明寺のそばにいたいって・・・
離れたくないって・・・
思う気持ちはたぶん道明寺に負けないくらいにあるって思う。
で・・・・
どこに行くんだろう?
どこに私を連れていくの?
見つめる道明寺の背中。
見つめてた道明寺の背中が楽しそうに笑ってるように見えてきた。
道明寺の仕事は手伝えないけど、そばにいれるならそれだけで満足かも。