野獣は素肌で戯れる 8(完)

え~ん

予定通りに進まない。

予定表ではそろそろクリスマスのお話に取り掛かるつもりだったのに・・・

予定より割愛して終わらせてしまいました。

時間があれば限定記事番外編もあるかもしれません。

焦りまくっています。( ;∀;)

サンタさんにお願い。

私に書く時間をください。

「帰りつくまでどうして待てないのッ!」

とろけそうな感覚に陥る一歩手前で必死で抗う。

引き離すのは無理だから唇の触れる感覚は薄れたところで胸倉をつかんで引き寄せるしかなかった。

きれいにすらりと通った鼻筋しか見えないがそこだけで司だと認識で来てしまう親密さ。

ついさっきまで自分の唇と重なっていた形のいい唇。

つややかな色合いはなまめかしいキスの味を思い起こさせてしまう。

「待てばいいのか?」

ニンマリと形を変えた。

いや・・・

そうじゃなくて!

言い訳は聞かないって感じの意思が読み取れる表情を見せる司に言葉が出てこない。

だから・・・

ねっ・・・

ここは私には珍しく媚びる声で・・・

なんて思う私をじっと見つめる熱視線。

そんな態度見せればそれこそこの後部席で押し倒されてしまいそうだと媚びる考えを捨てた。

いまだに私を欲しがる司を拒むすべを見つけられないでいる。

「もう、疲れてるんだから」

ベビーシッターがいるとは言っても時間が許す限りは子供たちの世話はしている。

幼児に3時間も付き合えばくたくたになるんだから。

それからの仕事がらみのパティー。

緊張感が解けたそのあとでまた別の緊張感を植え付けられる。

「疲れなんか吹っ飛ばしてやるよ」

くるりと背中からまわされた腕は私の肩をやさしく抱きよせる。

疲れを忘れて夢中にはなっちゃうのは言われなくても知ってる。

その後に襲ってくるけだるさは、朝のベットから抜け出す気力を奪うんだから!

それが一番問題なのッ!

「あのさ・・・

一回で終わってくれる?」

我ながらなんちゅうことを哀願してるのか。

やっちゃうこと前提での取引を持ち掛けてる。

「一度で足りるのか?」

甘く低い声が耳元で小さく響く。

くすぐったい感覚に混じって熱い吐息が耳の奥を刺激する。

そんな約束流れ次第でどうなるか分かってるのに。

私の学習能力は司の前じゃ最低になってしまうようだ。

「まだ子供たちも起きてるかしれないし・・・」

「起きてねぇよ」

速攻で却下された最後の砦。

そう言い放った司の右手にはスマホが握られて指先が軽く動いて画面を開く。

白いシーツの中で顔を寄せ合う小さな顔。

おでこをくっつけて抱き合って眠る駿と舞。

司と私のミニチュアのようでキュンとしちゃうよ。

その駿の背中から短めの腕を回して抱き付く翼。

親の背中におんぶされてるコアラの可愛さを維持ししてる。

わが子ながら可愛すぎる。

インスタ映えしそうなこの写真を誰が撮ったのッ!

「かわいい」

司の右手からスマホを奪って覗き込む。

「これ、私にも送ってッ!

待ち受けにしちゃおう」

あまりの可愛さに完璧に頬が緩んでニンマリとしちゃう。

「俺は子供たちがの寝てるのを確認するために画像を送らせたんだ。

喜びすぎだろう」

私とは対照的に司の眉は吊り上がって険悪な雰囲気が後部席に立ち込める。

最悪な状況を引き起こしたまま車がゆっくりと止まり、後部席のドアが開いた。

家に着いたのかな・・・

早くつきすぎ!

なんというタイミング。

フォローする暇もない。

「覚悟しろ。

一回じゃ満足できねぇからな」

鼻を突きつけて車を先に降りた司に腕を痛いくらいに引っ張られた私はよろめくように玄関に向かう。

腕を組んで優雅に歩いていきたいのにそんな体勢をとれるはずもない。

出迎えに並ぶ使用人のほうが優雅な立ち姿。

軽く頭を下げたままクスッとした笑みを漏らしてるのわかる。

こんな状況の私たちに慣れているから全く動揺もしない使用人さんたち。

明日の朝「相変わらず仲がいいですね」って言われるんだから。

体裁を整えるってことも覚えてよね。

司の歩調は全くさっきから変わらず一直線を見つめたまま大股で歩く。

司の1歩に2歩必要な私。

子供に嫉妬しないでよね!

帰ったら子供の寝顔を一緒に覗き込んで楽しもうって気分にはならないのかッ!

不機嫌な背中に投げつけたい言葉を我慢して飲み込む。

これ以上不機嫌させたらそれは私に戻ってくる。

少しは手加減してよねッ!

明日は仕事なんだからね!

バタンと大きく音を立てて開いた扉。

その奥にいつもの見慣れたキングサイズのベッドが見えた。

ごくりと大きく唾を飲み込む音とドクンと高鳴る心臓の音が身体の奥から大きく聞こえた。