Fools Rush In 8

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妊娠かもと思って内緒で都内の産婦人科を訪れたのは三か月前。

道明寺指定の病院はすぐに司に報告がいくからと遠慮させてもらった。

エコーに映る小さな袋が2つ。

その中で小さく脈打つ心臓。

「あら??これはもしかして双子?」ドクターの言葉に最初に出た言葉は「えっ?」

一度に二人も産めるのか?

なんてことを思ってしまった。

「双子は珍しいことではないですから、大丈夫ですよ」

看護師さんの言葉に私はそんなに不安な表情を作ってたのかと慌てて笑顔を作った。

2度の苦労が一度で済む!

なんて考えれば得した様なもの。

ホントか?

双子の育成には何ら不安なはない。

子供の世話には事欠かない道明寺邸。

十人生んでも大丈夫みたいな勢いで駿の相手をしたがる使用人。

司の世話をするよりは楽だと思う。

「つくしさまに来ていただいて・・・」

涙ながらに礼を言われた新婚当時。

この人はどこまで世話を焼かせていたのだろうと駿と積み木を積み上げる道明寺総帥を見て思う。

今でも子供二人を相手にしてるみたいで大変なんだけどな。

「フー」ため息交じりの声が漏れる。

最近自我に目覚めた我が息子。

覚えたての言葉で「ヤダ」を連発。

息子に「ヤダ」と言われて・・・

「なにがヤダッ」

「俺にタテつくな」って本気で言い合ってるもの、あの親子。

遊んでるのか、遊ばれてるのか・・・。

駿に取られないように駿が背伸びして手を伸ばしても届かない位置でゆらゆらさせる木製の四角い積み木。

怒った駿は司の膝に乗っかって胸に足かけて、手で頭を抑え込む。

絨毯の上に倒れ込んだ司は顔を踏まれて駿に積み木を取られてた。

双子が生まれて数年後はどうなるのか?

きっと今よりにぎやかになるね。

幸せなことももっと多くなる。

思い出もいっぱい増やそう。

眺めてるだけで幸せを感じる時間が今も緩やかに時を刻む。

「おい、お前食いすぎじゃねぇの?」

「さっきから食ってばっかだぞ」

司の胡坐の上でちょこんと座る駿。

上下に並ぶそっくりな顔。

「だって、いっぱいお祝いって贈ってくるんだもん」

「メロンでしょ、桃でしょ、イチゴに、マンゴ・・・」

「クッキーもある。これって高いのよね」

「あいつらが贈ってきたものならそれなりの値はするやつだろう」

花沢類と西門さんと美作さん、交互に贈ってくる食品。

どんだけ私が食べると思ってるのか、食べきれる訳がない。

「体重管理はしっかりしてるから大丈夫よ」

「それに駿の時とは違って双子だからかなお腹が空くんだよね」

「だからって、もったいないとかって全部食うなよ」

「食べないわよ」

駿を抱いて側にやってきた司が籠の中のクッキーを一つ摘まんで駿の手に握らせる。

おいしそうにぱくつく駿。

「食べてる時は誰かと一緒で大人しい」

「失礼だね」

「双子の性別分かったけど聞きたくないんだ」

「ばか、早く教えろ」

キョトンとなった司が焦ったように口調を強めた。

「男の子・・・」

「また男?」

「・・・と女の子だって」

「男と女か・・・」

「すげー楽しみ」

満面の笑みで私を司が抱きしめる。

クッキーを握り絞めたままキョトンとした駿が見えた。

その顔がさっきの司とそっくりで・・・。

「駿」

呼んだらニコリ笑顔を作って膝に抱きついて甘えるように擦り寄る。

その顔もやっぱりパパにそっくりだった。

久々の更新です。

六月になってまだ更新してませんでしたね。

すっかりこっちのお話はのんびりペースになってます。

もうそろそろつくしちゃんのお腹も目立ってくる頃でしょうか?

双子の性別だけ先に発表♪

名前はもうしばらくお待ちくださいませ~。