2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

幸せの1歩手前 11

* 目的があれば人間は頑張れる。 誰が言った? 俺じゃねのは確かだよな? つくしか? 「つくし様がかかわると仕事がはかどります」 こいつか・・・。 満足げな表情で書類をもうひと束、目の前に積み上げる。 ゲーーーッ。 まだあるのか!? 心の中をそのまま顔…

秘書西田の坊ちゃん観察日記 23(幸せの1歩手前 )

この物語は 幸せの1歩手前9 のside storyとなります。

幸せの1歩手前 10

* 「何喜んでるんだ」 「いや・・・別に喜んでるわじゃないんだけど・・・」 道明寺の顔色をうかがいながら下からそっと上へと視線を移す。 不機嫌そうに引きつる頬。 「ったく」 吐き捨てる様に言葉を吐いて強引気味に腰に回して来た長い腕が私を引き寄せた…

幸せの1歩手前 9

* 目の前で湯気を上げている。 怒りの色の中に見付ける不安げな表情。 まだ本気じゃ怒っちゃいない。 「遅かったな」 「いつもより30分は早いわよ」 俺からは行けねえからつくしから来るように仕向けるのも一つの手だ。 西田! 文句はねえよなとニンマリとな…

下弦の月が浮かぶ夜23

* 3日ぶりに仕事を終えて帰宅のマンション。 この三日間仕事に没頭することで無意味なことを考えずに済んだ。 今は心の落ち着きを取り戻している。 ふと思い浮かぶ寂しさも一瞬だけの淡い思い。 昇華出来ないはずはない。 きっと・・・。 たぶん・・・。 今…

幸せの1歩手前 8

* 目覚めのいい朝。 思い切り体を伸ばして開いた瞼。 薄ぼんやりと見えるのは真っ白いシーツ。 さっきまで側に寝ていたはずの住人を探す。 いない? なんで? 別に私より起きても不思議じゃないんだけど・・・ って! 十分不思議なんだよ道明寺の場合はッ。 …

下弦の月が浮かぶ夜22

* 「何がどうなってるの?」 納得できてない感じに牧野が首をかしげてる。 なんとなくあきらの気持ちを思ったら自分の嫉妬が子供じみたものに感じてきた。 あいつは今まで自分の気持ちを胸の奥にしまいこんでいたんだと分かってる。 俺達の中でもいちばんや…

幸せの1歩手前 7

* 「そんなに俺が迎えに来たのが気に食わないのか」 じろり。 気の強い怒りを秘めた瞳が俺を見据える。 俺にそんな不機嫌な顔を向けるのはお前くらいのもんだ。 「だってまだ9時にもなってないじゃない」 「仕事どうしたの。まさか西田さんを振り払って飛び…