愛されるより愛したい(あきら編)

* 恋は駆け引きを楽しむものそう思っていた。
10代のガキの頃から・・・・。
口づけをするのも相手の求めるまま・・・
自分から求めてきたものって今まであったのだろうか・・・。
司と牧野の関係を、からかいながら羨ましく思う俺がいる。
今日もいつものように司と牧野はたわいない口喧嘩を俺の目の前で繰り広げる。
今日の喧嘩の元は・・・
司が牧野の飲み物を横からちょっと飲んだ事が発端らしい。
「飲まないでよ」
「いじゃん、味見させるぐらい」
「オレンジジュースで何が味見よ!」
「間接キッスしたかった」
間接キッスて・・・
さすがにこれが言えるのは司だけだと妙に俺は感心する。
牧野もこれには返す言葉がないらしい。
うつむき加減の顔が紅葉しているのが判るそしてそれ以上は言葉が続かない。
あ~あ やってられねえ。
こいつらの二人の時間にはムードというものがないのだろうかとちょっと心配になる。
だからキスから先の関係に進まねえんだ。
俺には無縁のことだけど。
ちょっと甘い言葉をささやけばベットまで行けないことはない・・・
そう思っていた。
おれの恋愛て・・・・
所詮・・・
体の付き合いだよなと感じさせられる。
結局満たされない部分を埋めあってるだけでそこから先は何も生まれない。
情熱はあるが愛情が生まれない関係。
これをむなしく思うのはあいつらのせいだ。
だからと言って、司が牧野を思うほど思える相手が俺に現れるとは思えない。
愛されるより、愛したいと思うのは俺のエゴだろうか・・・
自分を見失くなるぐらい相手のことを思いたい。
そう思いなが一人ベットに体を沈めた。