Troublemaker 番外編 1

*この番外編は、Troublemakerのお話を軸にリエストをヒントに書いてみました。

本当につくしが桜井会長の孫だった!という設定です。

このブログのコンセプトであるTVの延長線上とは離れますが、番外編として楽しんで頂けたらと思います。

-From 1-

「つくし、よく聞いてね」

珍しく真面目な顔をした両親が正座をして私の前に座っている。

「なっ・・なに?」

パパがクビになった時もこんな真剣な顔はしてなかったと記憶にある。

それ以上に事が難しくなるような問題が我が家にある訳はないはずだ。

もしあるとしたら私と道明寺が別れるというぐらいのものではないのだろうか。

今のところそれも問題ない。

先週桜井の会長の企みに利用された私たちは、そのお詫びにと道明寺との婚約披露パーティーを開いてもらってた。

そこまでの展開は紆余曲折、波乱万丈で私の寿命は10年は短くなったと思っている。

終わりよければすべてよしの感覚の道明寺はすこぶる機嫌よく私達には珍しく、いい雰囲気が続いている。

「パパとママ・・・つくしの本当の親じゃないんだ」

「桜井物産の会長さん本当につくしのおじいちゃんなの」

「ふ~ん~、そう」

・・・・・

・・・

パパとママと私・・・

3人で見つめ合う。

・・・・

少しの沈黙を蹴破って「えっーーーーーー」と私は大声を上げてしまった。

いったいどこからの発想だ!

今さら本当の両親じゃないと聞かされてもぐれることもないだろが、冗談にしか思えない。

ここでまたなんで桜井の会長が出てくるんだ!

どちらかと言うとそちらの方がショックなのはなぜだろう。

パーティーが終わってあの後、桜井会長には養女にこないかと言われたがきっぱりと断っている。

会長夫妻は好きだけど、また変な企てに巻き込まれてはかなわない。

それでなくても「牧野つくしと書いて、Troublemakerと呼ぶ」なんて西門さんに笑われているのだから。

これ以上のもめごとはごめんだと思っていたのにーーーー

今度はうちの両親かよ!

と、がっくり肩が落ちる気分になった。

「どういうこと?」

思わず正座に座りなおしてピクピクとひきつる顔を抑えながら聞きなおしてみた。

話しは私の生まれるちょっと前までさかのぼるらしかった。

桜井会長の娘、香澄さんはパパ達と同じアパートに住んでいた。

当時は結婚を反対され駆け落ち同然で身寄りもいないとパパ達は聞いていたという。

まさか大金持ちのお嬢さんだとは全く知らなかったとパパが早口にしゃべった。

お隣さん同士でちょうど出産時期も同じという偶然が二家族を結びつけ仲良く付き合いが始まりだした。

香澄の旦那さんは楽しみにしていた子供の誕生を見ることなく事故で亡くなったのだそうだ。

ママと、香澄さんは偶然にも同じ日に同じ病院で女の子を出産した。

香澄さんは体調が戻らないまま赤ちゃんをパパ達に頼んで亡くなったんだとパパが当時を思い出したのか目頭をハンカチで抑えだしている。

昔から涙腺弱いんだよな・・・パパは・・・

私は自分の話じゃなくまるで他人の話を聞いているような感覚だ。

それが私ってこと・・・

じゃあママの産んだ子はどうなってるの?

こちらは悲しくも声を上げることなく生まれてきたのだという。

早く言えば母の亡くなった赤ちゃんと子供を亡くした母親が同じ産院にいた。

二人の仲のよさを知っていた病院のお医者さんは哀れに思ったのか香澄さんの子供をママが産んだ子として出生証明書を書いてくれたそうだ。

「幸いにも血液型はパパはB型、ママはA型。どの血液型でも大丈夫だしな。アハハハ」

アハハハハて・・・そこは笑えるところではないでしょう。

「あなたを他人の子だって思ったことは一度もないからね」

ママがギュッと私を抱きしめた。

解かってる、ママの愛情を一度も疑ったことなんてないからと思いながらギュッと抱き返す。

ママと抱き合うなんて何年振りだろう。

なんて・・・

感情に浸ってる場合じゃない!

確かに・・・

話しは泣ける話で・・・

お医者さんも粋なはからいするじゃん。なんてドラマなら言えるところだけど、それがなんで私なのよーーー

昼間のメロドラマみたいなドロドロな展開だけは勘弁してほしい。

このまま黙っていてくれてもいいんじゃないのってパパ達を怨みたくなってきた。

「なんでそんなこと今言うの?別に今さらナイショでも構わないでしょう?」

「実は・・・お前が香澄さんの子供だということが桜井会長にばれてしまってな・・・」

「もう一度お前に会いたいと言ってきた」

戸籍上もパパ達の子で私も全く考えもしなかったこの事実。

桜井会長はどこからその事実を引っ張り出してきたのだろうか。

「今のままでよかったのに!」

なにを企んでいるか解からない会長の顔が頭の中に浮かんで離れない。

今の生活を守ってやる!

そう私は心に決めていた。

-From 2-

一週間前までは寝起きしていた桜井会長のお屋敷。

会長の奥様美鈴さんからは時々でいいから顔見せてね、なんてお願されていた。

が・・・

ここのところ学業が忙しくそのまま疎遠になる可能性が高いと私はふんでいた。

美鈴さんというよりも会長のこと結構根に持っていたんだよね。私・・・

それと言うのも私はこの前のパーティーでは殺されかけたんだから!

今考えたら実の孫をオトリにしたということだ。

この時私が孫だと解かっていたとは思えないけれども、やっぱり何かしら意識してしまっても仕方がないだろう。

目的の為なら手段を選ばない人種だと会長の事は私の頭にインプットされている。

突然宣言されたパパ達の本当の親じゃない発言。

そして今日私は一人でこのお屋敷を訪れていた。

会長夫妻はいままで見たことのない上機嫌の笑顔で出迎えてくれていた。

廊下の左右に勢ぞろいした使用人達が「おめでとうございます」と一斉に笑顔で頭を下げる。

周りからクラッカーの音でも聞こえだすんじゃないか思うような歓迎ぶりに思わず萎縮してしまった。

こんな歓迎受けるのは私にとっては、はなはだ迷惑な話なのだが、この家の人にとっては間違いなく盆と正月がいっぺんに来たようなもんだろう。

「つくしちゃんとはなにか縁があると思ってのよ。あなたのような子が孫でうれしいの」

そう言いながら両手を広げて美鈴さんが私を抱きしめた。

「私も満足してる」会長もやさしい笑顔を私に向ける。

この笑顔は信用できないんだよな・・・・。

なんてやっぱり会長には疑心暗鬼気味だ。

感動の孫と祖父母との対面は、静かな中庭に面した部屋に場を移して続けられた。

私はソファーに腰を下ろす。

目の前の二人とは対照的に私は八の字眉で困った表情をしているに違いない。

テーブルの上に出された紅茶のカップが目に入る。

そのカップを持って私はグッと一気に茶色の液体を喉の奥に流し込んだ。

「ハーッ」と大きく息を吐くと思っていた疑問を投げかけた。

「どうして私がお二人の孫だと解かったんですか?」

会長の顔から目をそらさないようにじっと見入る。

「娘の死んだときの事を調べていたら子供を産んですぐに産院で死んだことをつきとめた」

「孫も死産だったと聞かされたのだが・・・その時君が同じ日にこの産院で生まれた記録が残っていてね。

娘にそっくりな君の容姿の事を考えてみたら調べて見る価値はあると思って調べさせたんだ」

「当時の助産婦さんから証言をもらって君の両親と話をさせてもらった」

「最初はご両親も否定されていたんだが、私達の気持ちを解かってくれて、君の事をようやく私達の孫だと認めてくれたよ」

まあ最終的にはDNA鑑定でもしてつきとめるつもりだったがねと、会長はけろりと告白した。

「やっぱり・・・事実なんですね」

「私達はあなたが孫だと解かっただけ幸せなの」

美鈴さん・・・いやおばあちゃんが涙でハンカチぬらしている。

こういう涙には典型的に弱い私はやっぱりグッときてしまう。

「私・・・牧野の家を出るつもりありませんから」

その場の雰囲気に流されないように下腹にぐっと力を込めた。

「別にかまわんよ」

拍子抜けのような返事がおじいちゃんから返ってきた。

思わず肩の力がす~と抜けてソファーの上で溶けてしまいそうな感覚に陥る。

「それよりも、ものは相談なんだが・・・」

「どうだつくし、道明寺君の事白紙にしてみないか?私の孫なら引く手あまただぞ」

「はっ・・・白紙!?」

あんぐりと大きく開いた私の口は顎が外れたみたいになって閉じることを忘れてしまっていた。

-From 3-

あのじーさまとんでもないこと言いだした。

「お前はまだ若い、別に慌てて一生の相手を決めることはないだろう」

なんて今さら言われても困る。

結局は道明寺とのことをもう一度考えてみろて言ってるわけだ。

ようはゆっくり時間をかけて相手を見極めることが大切だともっともらしいことを言っていたけど、それをそのまま鵜呑みに出来るほどあのじーさんを私が信頼できるわけはないのだ。

御蔭で私は自分の本当の両親に会うことのできない悲しさなんてブッ飛んでしまっている。

パパとママと私との関係は今さら変わりようもなく、進に至ってはまったく私が本当は他人なんだて関係に気がついてない状況だ。

進には教える必要ないよねとの意見で私達3人の意見は一致している。

家族の中でこの事実にショックを一番受けるのは進だと考えたからだ。

桜井の屋敷から帰っても「ここで暮らしていいって・・・」とだけ両親に話して、それ以外の事は私もしゃべらなかったし両親も全く触れようとはせず、我が家の間では何事もなかったような時間が戻っている。

「フッー」

大学に行ってもため息しか出ない。

今のところ道明寺サイドに白紙の件が漏れていないのだけは救いだ。

「絶対白紙なんてイヤだ!なんかしたら香澄さんの二の舞になるからね」なんて脅してはおいたけども、

私の頭の隅にあるのは、あのじーさまが今にも何か仕掛けてくるのではないかという不安で、それが徐々にどんよりと広がってきてる感じなのだ。

「牧野、悩んでいる?」

私の目の前ににっこりとほほ笑んで花沢類が空いている席に腰を下ろした。

「桜井の会長さんから聞いたよ。本当の孫だったんだって?」

一瞬言葉に詰まったがコクリとだけ頷いた。

いつもは無関心この上ないのに、どうしてこんな時だけ花沢類は情報通になるのだろう。

「ショックだった?」

「まあ・・・びっくりはしたけど・・・今さらて感じかな」

「そう・・・」軽く相槌を打つ感じで花沢類はつぶやく。

「知ってるの花沢類だけ?」

「今のところそうだけど、こういう話は伝わるの速いからね」

「司にはまだ言ってないの?」

「まだ・・・言ってない・・・」

花沢類の瞳に『どうして?』みたいに疑問の色が浮かんでフッと消えていく。

「道明寺財閥と桜井物産の結婚話なんて万々歳じゃないの?反対される理由もない訳だしね」

確かに道明寺のお母さんから妨害受けていた時はそう思えたかもしれないが、結婚を許された後に解かっても私の方のメリットはあんまり感じないわけで・・・

それより問題は白紙の事を持ち出してるじーさんなんだよーーーー

なんだか花沢類の顔を見ていたら泣きたくなってきた。

そして、花沢類ならなんとかしてくれるかも・・・なんて気分になってきた。

「あの・・・相談があるんだけど・・・」

涙を流さない様にキッと目頭に力を込める。

私の話を聞いた花沢類も一瞬ポカンと口をあけて固まった。

さすがに私みたいに大口は開けてないけれども・・・。

次にプッと笑って「牧野、反抗はしたんでしょ?」て聞いてきた。

「まあ・・・一応は・・・」と曖昧に答える。

「あの会長だからな・・・牧野が考えるのも解かるけど・・・」

「桜井会長の孫娘なんて肩書きは金持ち連中には魅力的だろうけど道明寺のブランドには対抗できないと思うよ」

「そ・・・そうかな?でもあの言い方て、冗談にしては悪ふざけすぎだと思うけど」

「まあ、確かにそれはあるかもな・・・あの人なにしでかすか解かんないところあるから予防線は張っておく必要あるかもね」

花沢類が少し考える仕草を見せた。

「えっ?」

予防線て・・・何の予防線だ?

私は思いっきり考え込んでしまった。

「こっちにもなにしでかすか解からない奴、一人いるでしょう」

そう言って花沢類はにっこりとほほ笑んだ。

-From 4-

「司、もうすぐ顔出せるって」

花沢類の提案で私とF4みんなが花沢邸に集合をかけられた。

道明寺の屋敷だとなんか手配されていたら筒抜けだからというのが花沢邸に召集かけた理由らしい。

「大げさにしないで」なんて言ってみたが「これが一番手っ取り早から」なんて花沢類は涼しい顔だ。

「思わぬ問題起きたな」と西門さんと美作さんは全然心配してない感じに面白がっている。

この前の事件では二人を見直していたのに、この二人の根本では私はおもちゃにされるのだろうか。

「なあ、あの爺さん牧野にどんな婿さん候補探してくるんだろう?」

「道明寺と対抗できるって言ったらアラブの王族とか・・・」

「「ありえねぇーっ」」

やっぱりこの二人・・・トラブル期待してるのミエミエだよーーーーー。

「牧野、よく考えてみろ。俺達がこんなに呑気に構えているのは司とお前が絶対別れるなんてありえないと思っているからだ」

「そうそう、だから俺達を信用して、そんな顔で睨みつけるのはよせ」

本当にそう思っているのか疑問は残るが、最終的にはこの二人も私たちの力強い味方であることは間違いない。

でも、私が素直には喜べない態度をどうしてこの二人はとるのだろうか。

「この顔は生まれつきですよ」

顔をしかめて舌を出してやった。

「やっぱ、牧野は令嬢にはなれねえな」

「「プハハハハハハ」」

「牧野、元気でたじゃん」

花沢類が高笑いの二人を視線で軽く諭して笑顔を私に向けた。

しばらくして道明寺の訪問を告げる知らせが届く。

知らせにきた使用人をぶっ飛ばす様な勢いで道明寺が現れた。

ズンズンと大股で歩く道明寺にキングコングほどに巨大化した威圧感を感じて私はゴクリと生唾を飲んだ。

な・・・なにが・・・そんなに機嫌悪いんだろう・・・

白紙の件はさっき花沢類が美作さんと西門さんに言ったばかりで、道明寺には私が桜井の会長の本当の孫だとしか言ってないはずだ。

「牧野っーーーーどういうことだ!説明してもらおうか!」

首を絞められそうな勢いで道明寺の顔が私の頭の上から数センチ近くに詰め寄ってきた。

「説明て・・・」

「桜井の会長が本当におじいちゃんで、その娘が私の本当の母親だったってことみたい・・・」

思わず言葉尻が小さくなる。

「お前がなにも聞いてないてことはないよな!」

「何にもなかったら別にここでお前を交えて4人がガン首揃える必要はないだろうしな!」

鼓膜が破れそうな道明寺の声に思わず両手で耳を塞ぐ。

こんな時の道明寺はなんて感がいいんだろう。

いつもの鈍感さでいいのになんて思えてきた。

「もしかして・・・桜井の方から道明寺の方になんか言ってきた?」

それしか考えられないよねって諦めの気分で聞いてみる。

「さっきうちのばばあに呼ばれて会ってきた」

「牧野が桜井会長の孫だと聞いたばかりだったから、そのことだろうと機嫌よく行ったんだ」

「これで俺達の結婚に何の支障もなくなったと思ったからなっ!」

道明寺が一息、間を置いて吐き出すようにしゃべり続けた。

「そうしたらそこにお前のじーさんも来ていて、以前と状況が変わったから婚約の事はもう一度考えさせてくれって、ぬけぬけと言って帰りやがった」

「俺達の婚約パーティーまで取り仕切っておいて、なんて変わり身の早い爺さんなんだよ」

「お前にも了解とったと言ってたぞ!あのじじいーーーっ!」

今にも暴れ出しそうな道明寺の雰囲気にみんなの中に緊張が走る。

「それは嘘!絶対言ってない!」

イヌが濡れた毛を振るように私は必死にブルブルと首を振った。

「司、落ち着けよ」

「牧野はそんなこと全然思ってないし、桜井の爺さんが一人で勝手にやってることだ」

美作さんの言葉に私は必死で頷いて見せる。

「でも・・・予防線張るの遅れたな・・・」

「やっぱりあの爺さんは、やること早いわ」

二人顔を見合わせる美作さんと西門さん。

てっ・・・

感心している場合じゃないでしょう!?

二人を締めあげたくなってきた。

「牧野、心配しないで。今度は4人で完璧にタックを組んで防衛線張り巡らしてあげるから」

百万馬力がもらえたような頬笑みが花沢類から私に返ってきた。

-From 5 -

牧野の奴・・・

俺が止めるのも聞かず、爺さんに文句の一つも言わないと腹のムシが収まらないと飛び出して行ってしまった。

類に総二郎、あきら達3人は別にいいんじゃないって雰囲気で見送りやがった。

牧野を爺さんの元の送るのは危険じゃねえのかよ。

あの爺さんの場合、牧野をどこかに隠しちまう可能性も否定はできない。

「牧野は柵を蹴破って脱走できる」

総二郎・・・

それってどこからの発想だ!

「そんな無駄なことあの爺さんがするはずない」

いつも俺を落ち着かせてくれるのはやっぱりあきらの役目らしい。

「食ったりしないでしょ」て・・・

それて・・・

普通は牧野を前にした俺の場合の心配だろうが。

いたって冷静な類の態度が無性に俺の気持ちを逆なでしてしまう。

「類、お前・・・なに考えてる?」

防衛線を張るなんて言い出してなにをする気だ。

もしかしてこの状況利用して自分が牧野の・・・なんて思ってねえよな・・・

類はまだ牧野の事が好きだと俺は思っている。

俺に譲りはしたが、そうそう自分の感情を変えるなんて無理なことだ。

ましてや自分の愛した女はすぐにでも抱きしめることのできる場所にいるのだから。

牧野はそんな類の気持ちなんて割り切っているのか、忘れてしまっているのか、類への信頼感はF4随一だ。

嫉妬する俺に花沢類は私の体の一部みたいなもんだからしょうがない、なんてノホホンと俺に言い放つ。

この前の週刊誌の写真にしても、偽の婚約者にしても、類じゃなかったら俺はこんなに心に波を立てることはないと言い切れる。

類だから必要以上に心の中は嫉妬の嵐が吹き荒れて、無駄なことばかり考えてしまうのだろう。

こんな俺の気持ちなんて知ってるくせに、自然な態度で類は俺の痛いところを正確についてくる。

「・・・なにって・・・・牧野の事に決まってるでしょう」

相変わらず俺がムッとくるような答えをさらりと返してきやがった。

「司・・・本当に解かんない?」

「俺たちなんて類が言いだす前に割とピンときたけどな」

「なんなんだ、いったい」

総二郎とあきらが呆れたような顔しやがった。

「つまりは・・・牧野にお婿さん候補が現れなければいいわけだ」

「天下の道明寺に花沢物産の御曹司、西門の次期家元、美作家が揃って候補に立って、それに加わろうとするやつが

どれだけいると思う?」

「・・・・」

それって・・・

俺達・・・

F4全員で牧野の婚約者候補に名乗りを上げるって・・・こと・な・の・か・・・

「これ以上の最強な防衛線どこにあるか教えてほしいよな」

「「あるはずない」」

声をそろえて総二郎とあきらがにんまりしやがった。

確かに・・・

言われてみればこれほどの贅沢どこにある?

それもあの牧野にだ・・・

でも・・・でも・・・・でも!

「ありえねえっーーーーー」

思わず全身で叫んでいた。

「これはあくまでも防衛のための石垣みたいなもんだから楽観はできないけどね」

「あの会長だから、ここまでは読んでると思うしね」

ソファーに寝そべって類があくびを一つかみ殺す。

「後はどう実戦に持ち込むか・・・牧野次第てところかな」

今にも寝てしまいそうな雰囲気で類が本を開いたまま顔の上にかぶせた。

ここまでの計画は俺もなんとか理解できた。

でも・・・

お前ら本気で牧野を俺と取りあう気はねえよな?

総二郎とあきらは牧野をおもちゃぐらいにしか思ってないはずだ。

でも・・・

こいつらは、こと女の事に関しちゃあ信用できねえ。

俺が気になるのはやっぱり類で・・・

一番心配なんだ。

お前らより親の方が本気になったらどうする?

貧乏人の牧野じゃなく、桜井物産の跡取り孫娘という肩書持ってるんだぞ!

俺らの親が魅力を感じねえはずはねだろうがぁぁぁぁぁっ!

現に俺んちのくそばばあに「つくしさんに振られるなんて許しません!」て、睨まれて来てるんだからなっ!

お前らみたいに単純にこの作戦にのれるはずがない!

「お前ら牧野に本気になることないよなっ!?」

睨みを利かせながら威圧するつもりで言い放つ

「「「ない」」」

一斉に声が返ってきた。

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贅沢過ぎるF4の防衛線・・・

「うらやましい」の一言です。

羨ましがってどうするのだろう・・・・。

とち狂ってつくしを苦しめるなんてーっーーー発想は今のところ私にはありません。(^_^;)

さてさてこの次の展開は・・・