木漏れ日の下で 12
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仕事を終えて迎えの車に乗り込む。
車の窓から見える魔天楼の明かりがゆっくりと揺れて動く様に俺を見送っている。
車の中は心地よい温度を保っているが、吐く息が白く車の窓を曇らせた。
雪でも降りそうな冷たさ。
あいつに見送られて飛び立った日からそろそろ1カ月か・・・。
吐く息がまた車の窓を曇らせる。
こんなに会わずにいるって記録更新だよな。
時差14時間が距離以上に遠く感じる。
「そろそろ司法修習が終わるころですね」
何気に俺に告げる西田。
こいつの言いたいことは分かってる。
早く仕事を終わらせないと帰れませんよとせかされている。
分刻みで仕事入れてるお前に言われたくねぇよと苦笑した。
「明日の予定は・・・」と告げる西田の声がBGMじゃ味気ない。
明日も相変わらずの忙しさってことしか覚えてない。
そろそろ恋しくなってきたみたいだ。
お前のぬくもり。
俺としたら良くもったもんだ。
数十分で帰り着いたNYの自宅前。
「明日は10時にお迎えにあがります」
「いつもより遅くねぇか?」
俺に仕事させたいんじゃねえのかよと訝しげに視線を投げた。
いつもなら数分でも早くなんて口癖みたいに言ってる剛腕秘書。
こいつに言われるままに操られて仕事してると感じる日々。
まさかわざと俺を日本に帰さないとか考えてねえよな?
「朝一番の会合が中止になりましたから、ゆっくりと御休み下さい」
今俺に必要なのは睡眠より人肌の暖かさだ。
なんて言えるわけねぇ。
別な人肌準備されたら困るもんな。
「じゃ、明日な」
頭を下げる西田に背を向けて屋敷に中に入っていく。
日本の屋敷には比べようがないが、一人には広すぎる大きさ。
しーんと静まり返る廊下に響く足音。
生活音の全くない空間と孤独感が広がる。
帰ってきても落ち着かねぇ。
後はシャワーでも浴びて寝るだけの部屋。
部屋のドアを開けて明かりをつけるためのスイッチ位置に指先を伸ばした。
「だれ~だ」
突然視界を遮る様に目を覆われた。
背伸びをする感じで背中に感じる柔らかな温もり。
今まで恋しくて、欲してた温もりが幻じゃなくそこにある。
これで違うなんて言われたら心臓が持たねぇ。
「なんでお前が居るんだ!」
目を奪う指先を捉えて身体ごと振り返る。
「お帰り」とつぶやいてにっこりとほほ笑むつくしに見惚れて抱きしめることを忘れてしまってた。
うれしすぎてどう動いていいのかわかんなくなっちまってる。
それは・・・
たった数秒の戸惑い。
幻じゃないと確認するように力いっぱいつくしを抱きしめた。
「司法修習終わって屋敷に帰ったら、西田さんがNYに行ける手配してくれてたみたいでね」
「ご褒美だって」
西田!黙ってやがったなッ。
「ったく、手の込んだことしやがって」
西田の意図がようやく頭ん中でつながった。
いったい誰の褒美だってんだ。
俺のやる気は出るし、仕事ははかどり西田も楽になる。
つくしも結構喜んでるみたいだしな。
三人三様の相乗効果あんじゃねえのかよ。
しゃあねぇ!
今は素直に西田の手腕に乗っかってやるよ。
クスクスと胸元で上がるくすぐったい笑い声。
「やっと会えたね」
「やっとなッ」
大事なものを離さないように・・・
胸の中にしまい込むように・・・
抱きしめた。
いきなり残り1カ月の修習はすっ飛ばせてしまいました。
もう何か起こりそうなこと浮かばなくて(^_^;)
書いてしまいつくした感じがしたもので・・・
後は何が残ってる?
妄想お待ちしております。
拍手コメント返礼
annie様
いつも何か起こってばかりだと私の頭の中の引き出しが底をつきそうで(^_^;)
何気ない感じが私も好きです。
すいません(^_^;)このお話の設定結婚後なんです。
婚約後のマスコミ対策は面白そうですね。[emoji:v-391]
別枠で書かせてもらいますね。
RICO様
あけましておめでとうございます。
今年も温かい拍手コメントをいただける様に頑張りますのでよろしくお付き合いを♪
西田さんの観察日記注文承りました♪[emoji:v-398]
これ書いてると本編が進まなくなるんですよね(^_^;)
そこが問題で・・・。[emoji:v-406]