white day (司 20years) 1
*カレンダーにつけた赤い印。
3月14日。
ガキか?俺ッ。
溜息ついてほころぶ口元。
「ホワイトデーのお返しは・・・
道明寺がいい」
予想もしなかった牧野のセリフに踊らされてしまってる。
約束の日までまだ約1カ月。
2月は28日で終わるし・・・
48時間は得をする!
言い聞かせてる俺はやるせない。
バカみてぇッ。
それより早くと押し倒せばいいだけじゃないのか?
ひなまつりはイベントじゃ使えないか?
ホワイトデーの為の練習!
そんな理由を付けてって・・・
納得しねぇかな?
しねぇよな。
そしてまたやるせなくなる。
男の気持ち・・・
本能!生体!分かってのかぁぁぁぁぁ。
グッ・・・
心の中のドロドロとしたものを押し込めたままベットに身体を投げ出す。
1カ月は長げ~よ。
俺の部屋にのこのこ付いて来てソファーで紅茶を飲んでくつろいでるやつ。
自分の部屋でくつろげねェ俺。
対照的だ。
「なぁ・・・」
「なに?」
おいしいと機嫌いい顔でケーキを頬張る無邪気な顔がにっこりとほほ笑む。
「もう・・・終わったのか?」
「終わったって、何?」
「だから、ほら、あの、生理つーの?」
言いにくいことを言わせられて少し照れる。
「後少しかな・・・」
相変わらずのあどけない顔を向けられた。
「少しって?」
「もうそろそろ終わると思うけど・・・」
わずかに言いにくそうに声が小さくなる。
「なあ、練習ってねえのか?」
「練習・・・って?」
「だから、ホワイトデーの練習」
「俺が欲しいんだろう?」
「えっ?あ・・・えーーーッ」
手に持ったカップがそのままガチャッと音を立ててテーブルに置かれた。
「練習なんて出来るもんじゃないでしょう!」
焦る様にガチャガチャと音を立てるティーカップ。
「他の女で練習出来るわけもねぇし・・・」
「したくもないし・・・」
「つまり・・・牧野しかいない」
「練習しなくていい!」
「俺がしたい」
露骨すぎたか。
自分の言った言葉が次の言葉に蓋をする。
シーンと静まり返って見つめ合う。
つーより・・・
睨まれた。
「無理!」
ガタッと椅子から飛びのく牧野
俺から身体二つ分遠くなる距離。
「まだ生理だからねっ」
「だから最後までじゃなくてもいい」
最後までじゃなければどこまでだ?
分かんないまま口にする。
それはそれで我慢できんのかよッ!俺。
「いろいろあるだろう」
「そんなの知らないもん」
知らないって言いながら耳まで真っ赤に染まってる。
キスだけで甘くなる吐息。
力が抜けた身体を頼りなく俺に預けた記憶。
全く感じてないわけじゃないよな?
指先に触れた素肌の感触。
胸からその下・・・
まだ知らない。
「バカッ」
ソファーの上のクッションが顔面に命中。
キスできたのは牧野の柔らかい唇じゃなくて弾力のあるクッション。
「テッ」
玉砕。
ホワイトデーはまだまだ遠い司クン。
奮闘記はいつまで続く?
拍手コメント返礼
久々の切り口で書いてみました。
もうほとんどギャグですよね。
1発勝負で頑張るものだよ司クン♪