玲子さんの婚活物語 17

ここから少しお祭りコンビに遊んでもらおうかと考えています。

司君我慢できるかな(^_^;)

 *

「牧野ッ、結婚相談所に入会する前に一言言ってくれたら良かったのに」

「えっ?」

駿をつくしに渡すあきら。

「司と別れるつもりならそう言ってくれれば・・・」

駿も俺に慣れてるしって俺にわざと見せつけるように駿をあやす総二郎。

「いつでも司の変りは引き受けてやるよ」

類まで調子に乗っている。

どいつもこいつも俺の神経を逆なでする手法は心得てる。

こいつらの前では遠慮するつもりはない。

「お前らぁぁぁぁぁぁ!」

俺は口火を切っただけで、俺の横で「いい加減にして!」と叫んだのはつくしの方だった。

「話を大きくしないでよね。私は玲子さんに付きあっただけで結婚相手を探してたわけじゃないからねッ」

「当たり前だろうがぁ」

「大体どんな理由があろうと俺に対する裏切り行為だぞ」

俺に睨まれてつくしが口を閉ざす。

加川拓斗から聞かされた結構相談所につくしがいた現実。

駿が類の子供って勘違いされただけでも有罪だ。

そこだけでも最初に否定しとけつーんだ。

屋敷に帰るまでよく我慢できたものだと自分でも思える。

俺が車のハンドルを握っていたら、そのまま屋敷に飛び込んでも収まらないくらいに気持ちは高ぶっていた。

そして部屋の中には総二郎にあきら、類まで呑気な顔を並べてる。

「いい加減にして」は、俺のセリフだろうがぁぁぁぁぁぁ。

「これはなんだ」

つくしの目の前に突き付けたのは加川拓斗から奪った相談所で提示されている女性側のプロフィール。

「アッ」と言ってつくしが紙を両手で持って凝視した。

つくしの後ろからは3つの顔も覗き込む。

「牧野つくしに生年月日、ここは正直だな」

あきらッ、牧野じゃねぇだろうがぁぁぁぁぁ。

こいつらは未だに牧野ってつくしの事を呼ぶから違和感がないのだろう。

つくしって呼ばせたくないのは俺の我がままだがムカつく。

「スリーサイズは・・・こんなもんだろうな」

総二郎が納得するように頷く。

なんでお前がつくしのW・H・Bを知ってんだよ。

油断ならねェ。

「職業、年収の希望は特になしだって、司と張り合える奴はそうはいないだろうしね」

「別に職業で選んだ訳じゃないもん」

「それくらい最初から分かってるよ。牧野は最初から俺達自身を見ててくれてたからね」

類と和やかに会話をするつくし。

そこでやさしく見つめ合うから勘違いする奴が出てくるんだろうがァァァァァァ。

「だから俺達も牧野が好きなんだよなぁ」

総二郎!ここでまた混乱する様なネタ入れるなッ。

「男性の身長、体型・・・好みのタイプを記入する欄があるんだ」

「牧野は空白にしたんだ」

「ここで道明寺 司って記入しとけば司の機嫌も少しは良かったかもな」

プロフィールを眺めて好き勝手に言い合ってる総二郎にあきらに類。

確かに好みのタイプに俺の名前が書いてあれば・・・って、そんな単純な問題じゃねーよ。

「離婚歴なしで、子供一人、これも嘘じゃないな」

「これでこいつは類の子供って勘違いした訳か・・・」

「類と付き合っていたと思っていたらその可能性あるよな?」

「牧野の為に類に食ってかったってことはこいつも牧野に気があるってことか?」

「モテてるぞ牧野」

「からかわないでッ」

俺を完全に無視しておもしろがってる態度しか見えない。

「クッ」

握りしめた拳はブルブルと震える。

プロフィールの紙をつくしから奪い取ってビリビリと破いて床に投げ捨てて足の底で踏みつけた。

もう一人呆然とつくしとあいつらの会話を聞いている場違いな男が一人。

俺は振り向きざまに声を荒げる。

「おい、よく聞け、つくしは俺の妻で子供も俺の子だ」

「えっ?もしかして3角関係?」

俺と類、つくしの顔を交互に見つめて加川拓斗がつぶやく。

「それで結婚出来なかったの?」

ここでもまだ状況をつかめてないって・・・こいつはなんだ。

「つくしは大学卒業して俺と結婚してるんだ!別れてもいないし、別れる気もないからな」

怒鳴る俺の横でつくしは耳をふさぐ。

「世間でもしばらく大騒ぎだったのに知らないやついたんだな」

「司が婚約を発表してからテレビに週刊誌に牧野つくしって名前を聞かない日はなかったよな」

「あれから4年、もうすぐ5年だよね?」

あきらに総二郎、類の声にわずかに冷静さを取り戻す。

からかっているようで俺の心の鎮める過程を心得てるのは苦々しい奴らだ。

「えっ?でも・・・」

「君の出る幕はないよ」

類がにっこりと加川拓斗にほほ笑んだ。