Happy life 6
特価のお話 「ある日の一コマ(F4編 5)」のお話が元です。
けい様のコメントお釣りをもらう類が想像できない・・・。
確かに!
ということでUPしてみました。
*決まった曜日の決まった時間の散歩コース。
べビ-カーを押しながら歩道を歩く。
いつもと違うのは隣に司がいること。
時々、本当に時々滅多に昼間いることのない司と重なる家族の時間。
「最近忙しいからゆっくりしていて」と言った一言が司の機嫌を損ねた。
「俺がいらないってどういうことだ」
誰もいらないとは言ってない。
そんな言い訳がこの人に通じないのは付き合う前から知っている。
あしらい方は慣れてたはずなのに今回は失敗した。
だって早くいかないと特売のオムツが売り切れると思ったのが失敗のもと。
「今回は一家族1個に限定なんだもの」
こうなったら仕方がないと喧嘩の口調の色合いが強い。
「他人のふりしてればいいだろうが」
「先週、道明寺ってばれたってぼやいてたの忘れたの」
「すっかり有名人じゃない」
「その前から俺らは有名だろうが」
タマ先輩の一言で結局二人で連れ立って屋敷を出た。
屋敷でも不機嫌な司はもてあまされてるって言われたらどうしようもない。
お店までの散歩コース。
近道の公園の中を通って道を急ぐ。
いつもならここで草花を眺めて噴水のそばのベンチに腰かけて散歩を楽しむ。
今そんな余裕はない!
つーうのにッ。
ベンチに腰を下ろしてべビ-カーの駿をあやしてる司。
「急ぐの!のんびりするのは買い物終わってから」
ここで駿を見ててやるなんて甘い返事が返ってこないのは立証済み。
家族3人で穏やかに時間を共有することが大事だと言いつつ・・・
「お前がいなきゃ意味がない」
やっぱそっちか・・・。
近づく精鍛な整った顔立ちは満足げに微笑みを浮かべる。
ようやく到着したお店の入り口。
すでに殺到する人の群れ。
「結構多いな」
その声にぱっと左右に人が開いた。
すでに常連になってるというか声だけで道を作らせる引力。
どうぞ~みたいに合図を送られる中をベビーカーを押しながら進む司は会社とは違う存在感だ。
「家族サービス?」
「あれが噂の・・・」
「庶民的なのね」
「キャー」
聞える声は比較的好意的だ。
司と駿が注目を浴びてるおかげで私の存在は薄れている。
「今日はオムツを一つよろしく」
オムツ売り場まで先頭を切る。
「まーきの」
背中越しに甘ったるく聞こえる声。
「えっ!なんで!」
「キャー」といつもより数倍は上がる店内に響く迫力の悲鳴。
「お前らこんなところでどうした?」
私以上に驚きの表情を司が見せる。
「おまえんちに行こうとしたらちょうど見かけた」
美作さんは周りを見回しながら愛想よく熱い視線を注ぐ周囲の女性に手を振って応えてる。
またどこからか悲鳴が上がった。
相変わらずF4の人気は衰えていないらしいと肌で感じる。
「あっ!ちょうどよかった。助けて」
ここは渡りに船的な感想。
「助けるってなにを?」
花沢類はここでなにを助けることがあると言いたげな視線で私を覗き見る。
「はいこれ、みんな一つずつ持って」
目の前に積まれたオムツの山を指さした。
「助けてって言われてどうしてオムツを持たされる?」
そういいながらも真っ先にオムツを手にも取ったのは美作さん。
「一家族1個なのよね。助かる」
「助かるって、司、お前ならこんな店すぐ買い取れるだろう」
西門さんは私の説明には納得できなと言いたげだ。
「そんなことしたらすぐにつくしとけんかになるぞ」
苦情はあるけど喧嘩なんて!
・・・やっぱりなるか?と言葉を引っ込めた。
「ウダウダ言ってないでレジに並ぶ!」
私の後ろをオムツを一個持って行進するイケメン4人組。
レットカーペットを注目を浴びながら進んでる錯覚。
その先にあるのはレジって・・・
この4人に私もすごいことをさせてるとの自覚はある。
「いつもやらされる俺の気持ちわかるか?」
「なんとなく・・・」
「子供を産むと女は強くなるって本当だな」
「以前の牧野ならこんなこと絶対俺たちには頼まなかったよね」
後ろから聞えてくる声は気にしないでおこう。
「すごい~F4がおむつを持って並んでる♪壮大だね♪」
恥ずかしいけどなんとなくうれしい気分。
もう二度とないかもしれない現状は特価値段よりまんぞくかもしれない。
「ここに並ぶのか?」
「当たり前えだろう」
「カードなんか出すなよ。ほら」
先に並んでる司が後ろの美作さんに説明しながら財布から1枚の1000円札を3人に渡す。
最初は自分もなんだがなんだかわからなかったのにと笑いそうになった。
「司が現金持ってるなんて思わなかった」
「それも千円・・・」
「常識だろうがぁ」
「牧野の指導の賜物って、気がするんだけど・・・」
花沢類の言葉にそうだとコクコクとうなづく私。
ここまでするのに3年はかかった。
支払いを終えて最後は花沢類。
目の前でレジ係から差し出された235円のお釣り。
「えっ?いらないから受け取っておいてよ」
目の前の女性がうっとりして我を忘れそうな満面の笑みを浮かべた。
見惚れて呆けて動かなくなったレジ係を残して花沢類はにっこりとほほ笑んで私に「ハイ」とオムツを渡す。
「これじゃ特価じゃない!」
と、叫びたいのを我慢してオムツを受け取った。
「・・・もしかしてみんなお釣り受け取ってない?」
当たり前みたいな3人の表情。
ぐるっと3人を見回してオムツを凝視。
新生児・・・
Sサイズ・・・
司までMサイズ・・・
駿はLサイズだーーーーーッ。
これじゃ特価にならない。
「あーっ、なんで Mサイズなのよッ。」
「はあ?」
詰め寄った司が眉間にしわを寄せる。
「駿は今Lサイズなのッ」
「この前買ったときはMサイズだったろうがぁ」
「成長してるんだから仕方ないでしょう。それに今朝、駿のオムツ変えた時に大きさが変わってるって気が付かなかったの?」
「そんなこと気が付くか!」
言い合いに注がれる周りの視線を感じて言葉を区切る。
「こいつら・・・こんなことでよく喧嘩になるよな」
西門さんの言葉に握りかけていたこぶしを緩める。
「それより、オムツにサイズがあるの知ってたか?」
「俺の買ったのSサイズだ」
「・・・俺のは・・・新生児・・・だ」
「どうやら、牧野を満足させられるのは俺だけみたいだな」
「どうして類は知ってたんだ」
「・・・愛の力、なんてね」
嬉しそうに表情を作る花沢類。
お釣りをもらって入れば完璧だ。
「類ッ!」
「俺には予知能力があるんだ。すぐに全部のオムツが必要になるようにしてやるよ」
「それって、予知でも何でもねえよな?」
「牧野がOKすればの話だろう?」
「力づくでも押し倒すんじゃねえの?」
怒りより恥ずかしさが私の体を覆う。
「バカなことを言わないで!」
結局下げたこぶしの代わりに司の脛に足を入れた。
オムツのサイズを交換することも忘れて店の外にでる。
釣りをもらってなければレシートなんてもらってるはずもない。
司の言うように使用できるまでとっておくしかない!
そんな気分になった。
これって・・・司の計画じゃないよね。
拍手コメント返礼
りんごじゃむ様
このパターンのつかつくはやっぱり好きです。
つい書いてしまいます。
つくしの娘を嫁にねだるって~あと何年だ~。
きっと司が許すはずはないと思いますけどね(笑)
そうか・・・楓さんなら賛成するかも♪