思い出は夢の中で 29
未来のつくしは過去の司のレーダーを振り切ることができるのか!
微妙~♪
で・・・もう一人の司はどこにいった?
*「牧野!」
遠くから聞こえた声。
道明寺・・・
私を見つけてくれた。
手を上げて大きく振った手は私に近づいてくるその姿に動きを止めた。
さっきと着てる服が違う。
白いV字のTシャツに軽く羽織った薄めの黒のジャケット。
胸元に光る銀色のネックレス。
ネックレスを道明寺はしてなかったし・・・。
それに身体の線が細くて、今より華奢な身体つき。
ウソッ。
10代の道明寺だっ。
クルッと背中を向けて小さく体を丸めたい心境。
でも体が言うことを聞かずに固まってしまってる。
どうしようーーーーーッ。
この近くに20代の道明寺もいるかもしれないのに!
「何してた」
私の目の前で立ち止まった道明寺が荒くなった息を整えながらつぶやく。
「どうみょうじ・・・?」
艶のある肌。
やっぱり若い。
少し拗ねたような感情が見える瞳。
弾んだ気持ちになってる自分がわかる。
今の私から見たら10代の道明寺ってかわいいって思えるんだもん。
「お前、さっき誰かといたか?」
疑ったような声色。
私といたのはあんたの未来。
言えるかッ。
「へっ!ダダ誰って、誰ともいるわけないじゃないッ」
途端に私のオトナな余裕は消えていく。
「男といた」
「へ?」
「イチャイチャしてた」
「見てたの!」
叫んでやばいと唇を噛む。
ごまかすの苦手だ。
「見たわけじゃねぇよ」
不機嫌に歪む口元。
この辺は今と変わりない表情だ。
いまだにこんな表情はよくされる。
「誰だ!」
「だれって・・・道明寺の知らない人!」
「知らないやつといちゃついてるのかよ」
揺さぶるように肩を摑んだ腕。
「痛たっ・・・」
痛みをこらえ切れずに苦痛が声になる。
「嘘は言うなよ」
鼻先が触れ合うような距離に近づく道明寺の顔。
若くてもそれは間違いなく道明寺で・・・
ドキッとなる。
「道明寺・・・」
呟いた声が道明寺の唇に触れて私の唇に跳ね返ってきた。
この甘さは今の道明寺と私の距離だ。
高校時代の私じゃ多分無理。
呑まれてどうする!
この道明寺は違うんだから。
「お前、なんとなくいつもと違うくねぇ?」
えっ!
そうだよね。
私も二十歳過ぎてるし、そりゃ10代の頃より大人になってる。
制服着てるのは差し引いても違いが分かっても不思議じゃないッ。
でも・・・
ばれたら困るつーの。
「そうかな?」
道明寺から離れるように体を引いてつぶやく。
両手を道明寺に掴まれたままでは二人の密接する距離は離れない。
「すげー甘ったるい視線で俺を見てねぇか?」
「そんなわけないじゃん」
確かに高校生の私が道明寺を熱く見つめてるはずはない。
て・・・そんなに甘ったるく道明寺を見ていたか?
そんなことあるはずないじゃんッ!
バッ!
思い切り摑まれた腕を上下に動かす。
やっと道明寺の腕を振りほどいた。
ここにこのままいたらやばい気がする。
後ずさりしながらクルッと背中を向けて一気に走り出す。
「コラッ、マテッ」
やっぱり・・・追いかけられるよね。
でも逃げたい。
「ギャーッ」
「ギャーじゃねえだろッ」
後ろから聞える声は振りほどけていない。
「やぁ!」
道明寺を確認して振りかった目の前に突然現れた胸元。
当たる寸前で見あげた視線。
にこっとほほ笑みをうかべた花沢類が私を見つめてる。
「逃がすかボケ」
「なんでお前らがいるんだ?」
道明寺が邪魔するなって視線で花沢類の後ろの2人まで視線を投げる。
「街の中だぞ司に断る必要ねえだろう」
クスッと西門さんは笑みを作る。
「昼間っから牧野を追いかけて司こそ何してるんだ」
美作さんは私と道明寺の間に割って入るように動いてくれていた。
この3人はわたしをどっちの牧野だと思っているのだろう・・・。
それが一番の問題だッ。
拍手コメント返礼
b-moka様
ありがとうございます。
つくしのピンチを救ったのはF3という定番のお決まりコースを御用意させてもらいました。
この後は♪
Gods&Death様
そうなんです~。
終わりそうもありません。
すんなり未来に帰しておけばよかった・・・。
最後のお話はもう出来上がっていたんですけどね。
ゆげ様
仕事が手につかなかったって・・・
キャーと喜んでいいのかしら?(笑)
過去のつくしは未来の司にドキッとするのでしょうか?
ここまでのつくしと司の関係によっては微妙かも。
司が気になる存在までは言ってると思いますけどね。
どうなるのかなぁ~。
せっかくだからよからぬことを~
それにF3がノッテきたら面白そうですけどね。
なおピン様
過去と未来で鉢合わせさせたら・・・
どうなるんでしょう。
面白いような怖いような気もします。
じ**様
興奮ありがとうございます♪
もう一組の司&つくしは現れるのかな?
やっぱり気になりますよね?(笑)