ソラノカナタ 48

送られた社内メールはつくしと西田さんの共同作業♪

やってたって知ったら司の反応は・・・。

暴れる!キレる!拗ねる!

拗ねる司が好きな私。(^_^;)

*

バン!

バタッ!

ガシッ!

両手で全開に開かれた扉。

全壊しなかったのが不思議なくらいの勢いで飛び込んできた道明寺の後ろでバタッと音をたてて扉が閉まった。

ガシッは私が道明寺に抱き着かれた時の想像の音。

うっ・・・苦しい。

首に巻きつかれた長い腕はヘッドロック気味に首を絞めつける。

「お前もかわいいとこあるよな」

耳朶に触れる唇の柔らかい感触。

「好きって・・・それもスクロールしなきゃ読めないとこにピンクって、小学生並みの考えだよな」

「すぐわかった」

言葉と一緒に漏れる息は耳孔を刺激して耳元からムズとした感触を首筋に伝える。

息苦しさとこそばゆさの相反する感覚は自分を見失いそうだ。

ここは二人じゃない!

西田さんに他の秘書さんもいる!

総勢5名。

こんなとこで抱きつくな!

ようやく上がった私の腕。

道明寺を引き離そうと肩に手を置いた。

そしたらまたガバッて道明寺の私を抱く腕に力が入った。

私は道明寺に応じて抱きついたわけじゃない!

カン違いするなッ!

そそくさと秘書たちは姿を隠す。

いてくれた方がいいと思う私と見られたくないって思う私。

西田さんは残っているからまだましな状態だ。

「ど・・どうみょ・・じ」

「んっ?」

少し腕を緩めた道明寺が視線を下落とす。

胸元にできた少しの空間、爪先立ちだった足底を床に付きながらやっと一息つけた。

道明寺が喜んでるのは『好き』って書いたメールのことだと分かる。

それは私の肩越しから伸びてきた西田さんが打ったSUKIの4つのキーを変換した文字。

「アレ ワタシジャナイカラ」

一文字一文字をゆっくり大きく唇を動かした。

「はぁ?」

半分開いた道明寺の口元はそのまま軽く閉じて、バカ言うなと小さく笑った。

道明寺のテンションを下げるためにはあのメールは私じゃないとばらすのが一番。

西田さんには悪いけど西田さんなら何とでも出来ると思う。

このままの道明寺に付きあわされたら身が持たない。

そうじゃなくても今朝まで私のベッドにいた状況に道明寺は浮かれてるんだから。

「だから、好きって書いたのは私じゃない!」

「いまさら照れるな」

「照れてないわよ」

道明寺に抱きしめられたままの今の方がよっぽど照れている。

「それじゃ誰が書いたっていうんだ。お前しかいねぇ・・・だ・・ろ・・う・・・が」

道明寺の声がとぎれとぎれになって言葉の最後のイントネェーションはしり上がりになった。

すっと右手を挙げた西田さんが「私です」相変わらずの無表情で呟く。

「なんで、お前が書くんだ!!!」

ガサッと私の肩を掴んでた道明寺の腕から力が抜け落ちた。

落ち込みようはそのままエネルギーとなって道明寺の不機嫌さに蓄積されていく。

「まさか最初から西田じゃねよな」

ギラリと光る道明寺の瞳。

西田さんに向けられた視線は怒りの熱を持つ。

充填100%を越したみたい。

もうすぐ発射か?

西田さんごめんなさい。

しっかり止めには入りますから!!!

両手に拳を作って警戒態勢に入った私。

「『さっきはごめん。

道明寺が終わるのをおとなしく待ってるから。

頑張ってね  牧野 つくし』

署名がつくし様でしたよね。そこまでの偽造は私にはできません」

大人しく待ってるって西田さんが書いたら好きってキーを打つよりハズイって思うのはなぜだろう。

「『俺が許す』

『許さなくていい』

『普段言えないこともメールで書いてもいいぞ』

『書くことない』

「嘘つけッ』

「私は正直だもん』

こんなバカげたやり取りは私には無理です」

道明寺と一緒にコクリとうなずく。

「道明寺とつくし様がキーを打った後に、なかなか次の文章が浮かばなかったようなので私がお助けしました」

道明寺の怒り充填率が下がってるのを見通しての西田らしい発言がつづく。

「だからって、好きはねぇだろう」

「牧野の気持ちを代弁したって言えば俺も納得できるけどな」

ちょっぴりテレが戻ったような口調を誤魔化すように、道明寺は頬に力を入れ直している。

「代弁というよりは、私も代表のことは好きですから、本心です」

いともあっさりさらりとした声が無表情のままの口元から飛びだした。

「好きって・・・」

「つくし様の好きとは意味は違いますからご心配なく」

「そっ・・・そんなことお前に言われなくても分かる」

そう言った道明寺の眼球が微妙に震えてる。

西田さんの突然の告白に思い切り動揺中の道明寺。

「我儘な犬がお利口になったら誰でもかわいいと思うものですよ」

「私のスキはそのようなものだと説明させていただきます」

西田さんの声に少しばかりの丸みが見える。

ここでほんのりとでも西田さんが笑って見せたら道明寺の動揺は隠せそうもないはずだ。

「私の好きも西田さんの好きとは違うから」

道明寺をからかう様につぶやく

「るせっ」

ほんのりと赤らむ目元。

照れくさそうな口元を道明寺は尖らせる。

可愛いって思ったことは内緒にしていた方が良さそうだ。

「傲慢な犬が従順になったって思うなよ」

ブスッと聞こえた声にいつもの威圧感は全く影をひそめてた。

従順な道明寺っていないと私も西田さんも思うけどね。

西田さんは私の思った通り面倒を片付けてくれた。

流石だわ。

拍手コメント返礼

b-moka

仰天発言も表情を動かさず今日の予定でも言う様に西田さんは言ってますよね。

まわりにいた人の方が表情が変化してるだろうなぁと思ってます。

だから面白い?

ゆげ様

>すっと右手を挙げた西田さんが「私です」相変わらずの無表情で呟く。この場面をリアルデビさんで見たいよ~!

しっかりその場面が私の頭の中では映像化されておりました。(笑)

もっと動揺したら司はどうなるんだろう?

「仕事なんてできるか!!」

「全部キャンセルしろ」とこれ幸いに会社を飛び出したりして~~~~。

司をもっと動揺させる為に告白合戦?

アル王子までに告白されたら司はげーって吐き出しそうだ。

ドラマのキャステングって想像することでも楽しめますよね。

イケメンがそろったらそれを生かすヒロインが決め手ですよね。

花男のドラマの成功にはそれがあったんだろうなぁ。

なおピン様

おはようございます。

楽しみがあると言うことは待ってる間もワクワクしますよね。

最近そのワクワク感が不足中です。

西田さんならいつもの調子でしれーとカミングアウトしそうでしょ?

デビさんが「好きです」と潤君に告白する場面を想像すると爆笑で~。

真央ちゃんの照れくさそうな顔と潤君のキョドったした表情まで浮かべてた私です。