大学の中心で卒業できないを叫ぶ 2

大学3年の忙しいつくしに大学4年の学業は暇なはずの司。

「俺に合わせればいいんだよ」

司君それは無理だよ。

と教えてあげたい私。

*

「卒・・業・・・する前に死ぬッ」

牧野の喉から絞り出すような声。

腕が折れる!

骨が砕ける!

息ができない!

全部本当なら牧野はこれまで何度俺の腕の中で死んでいる事か。

大げさだろうがぁぁぁぁ。

抱きしめていた腕の力を抜いた途端に一歩大きく飛ぶように俺から牧野が離れた。

「死ぬかと思った・・・」

喉の痛みを見せるように牧野は咳き込んで顎の下をなでる。

それが大げさなんだ。

首を締めた痕も残ってねェよ。

それに俺の腕で締めていたのは胸元だろうがぁッ。

どうせなら別な赤い痕を残したい。

そんなマネをしたら今よりもっと頑ななあいつが出来上がる。

「付きあうつもりはないのか?」

俺としては一歩引いた言葉。

それなりに牧野の出方を考察中だ。

「あのね、だから落とせない講義があるって言ってるでしょう」

一定の距離を置いて牧野は俺に抱き寄せられない間隔を保ってる。

その態度が癪に障る。

「これが急いでお前に会いたいと帰ってきた俺に対するお前の仕打ちか」

「つれない恋人だよな」

牧野を煽る様に、責めるように、音量を上げた。

何事?みたいなまわりの視線はさっきより牧野に注がれる。

ケンカ?

道明寺様をフッたの?

嘘でしょ!

小さな声は俺に同情的に囁かれる。

そして・・・

責める視線が牧野に注がれる。

思ってもいなかった意外な効果。

牧野を蔑ませるつもりが俺にあるわけない。

・・・でも、これが牧野を意外と追い込んでいる。

「私なら何でも言うこと聞いちゃう」

牧野意外に俺が発する声は「うせろ!」だけだ。

「わざと、私の立場を悪くしてない?」

「悪くなっても俺が守ってやるよ」

「意味不明」

呆れたように呟いて頬を膨らませた牧野が踵を返して歩き出した。

「おい、待てよ」

足早に歩いて追いついた牧野の腕をつかむ。

振り返った気丈な瞳。

「仕事が忙しい道明寺に休んでって私は言ったことないよ」

デートの途中で西田からの呼び出しがあっても、デートの数時間前のキャンセルも牧野は嫌な顔をひとつも見せずに俺を送り出す。

当たり前みたいにふるまっていても俺も悪いって思っているんだ。

だから今日みたいに時間ができると牧野と二人で過ごす時間に変えたいって思う。

今日は絶対誰にも邪魔はさせないって思ったら、一番邪魔してるのは牧野じゃねェか!

「会いたいけど我慢してるんでしょう」

「だから今から俺はお前と」

「あのね、自分の都合ばかり押し付けないで」

何時もより機嫌が悪い・・・。

「お前、あの日か?」

「あの日?」

「すげー機嫌悪いし、ほら、生理前って気分の変化が激し・ッ・・いだッ!」

言い終わる前に牧野が俺にぶら下がる様に口を塞がれて籠る声。

「そんなことこんなとこで大声で叫ばないでよね」

牧野の掌を外しながらそのまま両手を握りしめる。

「お前を怒らせるつもりはない。ただ一緒にいたいってだけだろう」

「だから講義があるんだって・・・・」

「講義が終ったら付きあうから」

これでも譲歩したって言った表情はしょうがないって小さく笑みを見せる。

本来ならもっと牧野の喜ぶ顔が見たい。

「しょうがねぇ」

「良かった分かってくれたんだ」

ホッと胸をなでおろす仕草を牧野が見せる。

素直に喜び過ぎだっ。

牧野の言うとおりに大人しく待つ気が失せる。

無理やり連れて行こうとしても無駄に抵抗されるのがオチだ。

なにかないか?

講堂の上から怪訝そうに窓から俺たちを見下ろしてる男子学生と視線がぶつかった。

そしてそれはそそくさと窓の奥に引っ込んでいく。

牧野を見てたんじゃねェよな?

意外と牧野はモテる。

俺のいない間に牧野に手を出そうって命知らずな奴はいないと思うが100%じゃない。

『恋は突然やってくる』

牧野と見たドラマのタイトルとストーリが浮かんできた。

彼氏の家に招待された彼女は気が付いたらその彼氏の兄を好きになっていた。

確かそんなストーリー。

親友とか兄弟とかよくある話。

俺だって類と牧野を・・・。

思い出させるなッ。

「障害があると燃えるのよね」

涙を流しながらドラマを食い入るように見ていた牧野。

障害なら俺と牧野もDVD12本は経験してるはずだ。

恋は理屈じゃなく感情だ。

それに牧野はこの手のことは鈍感で警戒心がなくて危なっかしい。

牧野を一人にできるかって気分になってきた。

なにかないか?

・・・

・・・・・

ピンと頭の中で音が鳴った。

これだ!

俺が牧野に付きあえばいい。

「俺がお前の講義に付きあってやるよ」

「付き合うって・・・講義を受けるって事?」

「そうだ」

「一緒に?私の隣で?」

「当たり前だろう」

「講義を取ってないから無理なんじゃ・・・」

この大学で俺を締めだせる場所があったら教えてほしいものだ。

それが分かったらしく牧野は口をつぐむ。

変な虫がちょっかい出してこないかしっかり目を光らせてやるよ。

牧野と一緒の講義は初めてでうきうきと心が踊る。

今まで思いつかなかったことが不思議だ。

俺ってやっぱ天才だ。

拍手コメント返礼

b-moka

まだこちらは雷雨が続いてます。水害の心配はなさそうなのが幸いです。

司君大人しくできるんでしょうか?

無理だろうな(笑)

ゆげ様

やっと読んでもらえた(/_;)

お話の発端はゆげ様だからいろんな情報ネタ&要望、願望、くださいませ~~~~~。

教授のタイプで変わりますよね。

司君をどう扱うのか?

今回もたのしいヒントありがとうございます。

使わせていただきます!

joylove様

司なら脅して講義を休講にするという手も使うとかもあり?

どっちにしろたのしい方に転がしました。

一緒にいたいだけじゃなくおなじ学部の男性に「俺のだ」って意識付けするつもりなんでしょうね。

ということはつくしがいやがる人前でのべ食べてとかあり?