DNA で苦悩する 29

ここ数日体調不良で更新が出来なくてご心配おかけしました。

365日の間にはこんなこともあるさ。

普段ならストックの放出で乗り切れるのですが正月前ということもあって、ストック数が足らなくて更新が出来ませんでした。

まだ本調子とはいかずぼちぼちとやらせてもらいます。

*

「駿君~」

これほど早く教室に入りたいって思ったことはない。

鮎川がいるから。

そう思えるだけならどんなにいいか。

「蒼、行くぞ」

「ちょっ、待て」

上履きを履きかけの蒼を残して走り出す。

途中で阻まれる女子の人垣。

手にはあの僕と舞が載ったファツション雑誌とペンが見える。

「サインして~」

逃げようとちょっとした隙間に身体を入れ込ませたら両脇から押し込まれてつぶされそうになった。

この圧力はどっからくるんだ!

床に這いつくばって何とか脱出。

僕を見失った集団は未だに塊になってざわついてる。

「あっ!あそこ!」

慌てて全速力で教室に駆け込んで自分の机にうつぶせた。

息が切れそう。

「ダイジョウブ?」

顔を上げた僕の横で机の上に顎をのせて少し横に首をかしげた鮎川。

僕の表情を確認するように鮎川の指先が僕の前髪を掻き上げる。

目と目があった瞬間に照れくさい感情が互いの瞳の中に生まれて言葉を失う。

「・・・ごめん」

照れくさそうに僕から離れる鮎川の指。

もっと触れてもらいたい気持ちとは裏腹に顔を横に向けた。

「昨日よりすごくない?」

立ち上がってスカートの裾を払う様な仕草を見せた後で鮎川は廊下を眺めてる。

「凄い目で睨まれてる」

「キャー」

悲鳴が聞こえたのは、僕の側から離れようとした鮎川を止める為に立ち上がった僕が鮎川の手を握ったから。

「これ以上騒ぎを大きくするなよ」

僕と鮎川の間に割り込んできた蒼。

当たり前の様に僕の肩に回した右腕。

左腕は鮎川の肩を抱く。

「蒼ッ!」

まだ僕は鮎川の手を握っただけなんだぞ!

「駿、怖い顔すんなって」

「くっつき過ぎだろう」

「何言ってんだ、昨日は一緒に狭いベットの中で抱き合って寝た仲じゃないか」

「狭くないし抱きあってない!」

気の合う蒼とはなかなか話が付きなくて気がついたら一緒にベッドに寝転がっていただけだ。

それにくっ付き過ぎなのは俺にじゃなく鮎川だ!

「離れろ」

ニンマリと鮎川から離れた蒼は俺に両腕を巻き付かせ右の足まで俺の脚に絡ませてきた。

ヘビに身動きが取れなくなるまでまかれた気分だ。

「鮎川に触れると駿がマジになりそうだからこれで許す」

耳元に息を吹きかけるような蒼の声。

「ギャッやめろ」

背筋がピクンとなるようなくすぐったさ。

「お前、ここダメだよな」

わざとらしく息をまた蒼が吹きかけた。

「いい加減にしろ」

蒼の魔の手からなんとか逃れて息を吐く。

「きゃー」

息を整える僕に聞こえる悲鳴じみた声。

なんだ?

鮎川まで真っ赤になって僕に背を向けてる。

「駿、サービスしすぎじゃねェの」

僕の目の前で制服の紺のタイをユラユラと蒼が揺らしてる。

蒼の首にはシッカリとネクタイは結ばれたままだ。

ゆっくりと視線を自分の胸元に落とす。

ボタンの外れたジャケット。

白いワイシャツのボタンまで外れて 、肌蹴て露わになった胸元。

蒼に必死に抗ったためかわずかにかいた汗が肌に光沢をつけてほんのりと赤い。

廊下側からも見られてるって分る。

「蒼!おまえなっ!」

蒼からタイを奪って首を絞めあげた。

短時間でこれだけ僕の露出度を上げるって器用過ぎだろう。

反撃だと蒼のタイに手を伸ばしても中々解けない。

「駿って、スポーツやってねェよな?」

「やってねェよ」

気分のままに言葉づかいまで荒くなってきた。

タイが無理ならボタンだッ。

これも思うより難しい。

「あっ、授業のベルがなったぞ」

余裕のある表情で明るく蒼が言い放つ。

「たくッ」

しょうがなくつかんでいた蒼の襟首を外した。

「これで見物人が鮎川の存在を忘れてくれたんじゃないか」

緩みかけたタイを自分で締め直しながら、蒼はぼそっと言って僕の横を通って後ろの自分の席に戻る。

椅子のドカッと腰かけて振り向いた僕に蒼が屈託ない笑顔で軽く手を振ってきた。

もっとわかりやすく助けろよなッ!

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

b-moka

今年は埃をかぶったまま新年を迎えることになりそうです。

代わりに働いてやろう思うものはいない我が家の家族。

惣菜を買ってきてくれるだけましだと思うことにしました。

蒼君のイメージがあきらと総二郎を足した感じになってきてます。

お金は持ってないですけどね。

ちゃむ様

昨日までゆっくりさせてもらいました。

今年もあと二日ですよーーー。

早いなぁ~。

良いお年をお迎えください。

おかゆ

確かにこれなら英徳の方が静かにすごせたかもしれませんね。

駿君の恋はどうなるんでしょう?

来年まで持ち越しだ~

rui 様

なんとか元気になりました。

疲れない程度にやらせてもらいます。

今年も残り二日。最後まで頑張りますよ~。

でも忙しんですよね。

三日分の家事・・・。

これを見るとまた悪くなりそうな気分です。

Gods&Death 様

もう正月モードですよね。

我が家も明日から旦那の実家に帰省です。

嫁の立場が待っている(/_;)