はぴまり JOYFUL  7

北斗と千和、忘れてるわけじゃないんですけど・・・

連載ならもうソロソロご出産ってところなんですよね。(^_^;)

早く出産まで行くぞ!!!

生れたら生まれたで大変そうだ~~~~~。

*

大きく前にせり出したお腹。

ここに赤ちゃんが入るって実感できるようになった表情で見つめる北斗。

恐る恐る撫でていたお腹にもせり具合とともに優しさが滲みで愛しむような表情を浮かべる。

生れる前に絶対動画に収めたい瞬間。

パパは生れる前から君を愛してる。

生れる子供が男の子だって分かった瞬間に優しく笑ってその後すぐ眉をしかめた北斗。

「女の子だったら千和と俺を取り合って面白がられたのに、俺の方が嫉妬するのか」

ぽつりと呟いて横目でちらりと流す視線。

「なななによッ」

整った顔立ちは相変らずハンサムでツンと澄ました言い草も男性的魅力に変わるからドクンとなる。

子供と私を取り合うなんて想像しただけできゃーって叫びそうになるお得感。

想像したら自分がいっぱい愛されてるみたいで胸の奥がキュンキュン悲鳴を上げる。

真っ赤になって視線が落ち着かなく動いてしまう。

これで産気づいたらどうしてくれる。

「冗談に決まってるだろ、それとも俺の奥さんは本当に息子に嫉妬する俺が見たいのか?」

「赤ちゃんが生まれたら北斗にかまえなくなるから覚悟しとけば」

「いつも俺の方がかまってるとじゃねぇか」

「あ!」とか「もう!」とか「キライ!」とか、思いつくままの言葉で反論する私。

ぶんぶん腕を振り回す私を、こともなげにすっと伸びた頑丈な腕がおでこを抑えて空回りさせられてる気分が漂う。

「満足したか?」

一息ついた私を覗きこんだ瞳がクスッと笑った。

そんな極上の笑顔を向けられたら何でも許してしまう。

ただただ私に熱く注がれる瞳が私をおとなしくさせる。

抱き寄せるように伸びた腕に素直に従って北斗の腕の中に預ける背中。

背中から回された手のひらが寄り添う様に大きくなったお腹にあてがわれる。

「子供が生まれて元に戻らなかったどうなる?」

「なんの心配してるのよ!生まれたら速攻で元の体形に戻す!」

「気にするような体形でもないと思うけどな」

ククッ意地悪く笑った北斗。

私が食ってかかってくるのをしっかりと楽しんじゃってるのが分かる。

「生まれそうになっても連絡しないから!」

「一人で産めるのか?心細くなって北斗って俺の名を呼ぶのがオチだ」

上から目線の言葉が息をついて頭の上で髪の毛をくすぐる。

「別に北斗がいなくても子供は自然に生まれるんだから」

「俺はお前が心配なの」

コツンと頭の上にのせられた顎。

抱きしめるように腕が上に動いて胸元で交差する。

「何があっても出産には戻る」

そう言って、部屋の隅に置いてある旅行鞄を不服気に北斗が睨み付けた。

間宮の会長は未だに北斗のことが気にあるようで、新しく北斗が立ち上げた会社を気にかけて支援してくれてるみたいだ。

その会長に頼まれて急に決まった海外出張。

「まだ予定日まで1か月はあるから大丈夫だ」

私を不安がらせないために言ってるのか自分に言い聞かせてるのか。

わざとらしい横柄な声が北斗の焦りみたいに聞こえて可愛くてしょうがない。

「待ってるから」

千和に似たらせっかちに出てきそうだ」

何時もの調子の、いつものいじわるな北斗。

それなのに瞳はいつも以上に優しくて熱くて私をドキドキさせる。

しっかりと抱きしめられた腕から伝わる温もり。

「そろそろ時間?」

「ああ、行かなきゃな」

「それじゃ私も♪」

「なに?!」

立ち上がった私を北斗の腕が掴む。

千和、どこに行く気だ?」

「どこって北斗を見送りに空港まで行くに決まってるでしょ」

明るくにっこりと笑顔で答える。

渋い顔じゃなくたまには嬉しそうな表情してもいいじゃない。

「その腹でうろつくつもりか?」

ため息ついてガクリ下げた頭を右腕で支える北斗。

「これ以上俺に心配を増やさせるな。家で大人しく俺の帰りを待ってろ」

ドスの利いた声は十分に迫力がある。

「少しでも、長く一緒にいたって思ったんだんも」

拗ねるようにでた声。

「甘えんなッ、帰ったら飽きるほどいっしょにしてやる」

飽きるって・・・

北斗に飽きるなんてあり得なくて・・・

優しくギュッとされて耳元で「愛してる」って囁く甘い声。

愛してるって滅多に言ってくれないから爆弾級の威力がる。

「北斗、もう一度言って」

「なにを?」

「何をって・・・さっき耳元で言った・・・」

「たまにしか言わない方がありがたみがあるだろう」

ニンマリとした北斗の表情にあたふたな表情の私。

ホントに!意地悪なんだから!

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