愛してると言わせたい(5周年記念作品)
いよいよ投票結果TOP3のお話に突入。
司が記憶喪失したんだからつくしも記憶を失わせちゃおう。
でも多いんですよね記憶喪失の二次。
私は書き専であまり読む方じゃないので余り知らないんです。
常連さんがいちゃもんのネタにならなければいいがと、次のお話の告知した時に心配してくだっさたのを思い出します。
強い見方がいるから大丈夫。
見守られて5周年を迎えられました。
確実に結束は強くなってると思います。
さて、この話の始まりは司みたいにすっぽりつくしのことだけ忘れてるのは面白くない。
F4から逃げ回って目立たなくすごしていたつくしの記憶しか残らない状態でお話を書いたらどうなのだろう。
スッカリ忘れられてるのとしっかり嫌われてるのとどっちが酷なのか。
そこで司なら『愛してると言わせたい』だろうなとこの題名が浮かんで話を進めました。
言われたいより司なら言わせたいがピッタリと簡単に思ったんですよね。
あの頃の私はホント単純で題名に悩むことなくてね。楽だったな。
2010年に書いていたお話。
久し振りに読み返したら書き直したい衝動に駆られます。
そうしちゃうと連載進まないから~~~。
来週いっぱいで記念作品を終らせて普通の連載を再開するのが今のとこの予定です。
「牧野 ホラ 忘れ物」
自販のおつりのトリ忘れ。
俺の顔に見惚れていた表情がハッとした表情に変わって男からありがとうと小銭を受け取った。
「今日は仕事じゃなかったけ?」
自信なさ気に呟いた声は驚きと嬉しさを浮かべてる。
それじゃ騙されねぇよ。
あの男!
小銭渡しながらお前の掌に指先が触れていたぞ。
「牧野 ありがとう」
息を切らして牧野に近づいたきた男。
差し出されたノートを牧野が片手で受け取る。
俺を気にするようにそそくさと姿を消した。
俺が牧野を見つけて近づく間にこいつの側に寄って来たやつ一人二人じゃねぇぞ。
俺が見てるだけで5人目がノートを渡したやつ。
「あのさ・・・何か怒ってる?」
「あっ」
牧野の声に振りかった俺は完全に青筋を立ててる不機嫌な返事。
本当は俺の不機嫌な理由は気が付いてるよな?
「あの人たち同じ学部の友達だから」
俺の不愉快さがお前に近づく男全部だって分かってる顔が遠慮がちに呟く。
「友達だ?」
「あいつら、お前に取り入ろうとしてるんじゃねェのか」
「私に取り入ってどうなるの。なんもないよ」
こいつ法学部を出て弁護士になれるのか?
そう心配になる無邪気な甘ったれた顔が俺を覗き込む。
その目に弱い。
真直ぐにキラキラと星の浮かぶ大きな黒曜の瞳。
人の妬みとか貪欲さには無縁のところにいる奴。
バカがつくほど真っ正直で真面目でそして純粋に人の幸せを喜べるやつ。
嘘のない牧野だから俺が守らなきゃだめだって思ってしまう。
「あのな、お前は俺の婚約者だろうが」
「だから、なによ」
まわりを気にかけてキョロキョロと見渡す顔がほんのりと色付く。
英徳の中で俺達の仲を知らない者はいないと言うのに、気にしてどうする。
そう言えば、よくこいつが俺に飛びついて俺の口を塞ぐ態度見せることは今までもよくあった。
「しゃべるな」
照れくさそうに俺を責めるそんな表情も俺は気に入ってる。
「いずれは俺の・・・つまりは道明寺の家に妻になるわけだ」
自分で妻の言葉に過剰に反応して緩みそうな頬を咳払いで元に戻した。
「お前に取り入るってことは俺にもとりいるってことになる」
「道明寺・・・それって、私自身を見てる人いないって私を否定されてるみたいに聞こえるんだけど」
牧野がむくっと強気になって俺を睨む。
さっきまですまなそうな表情を浮かべた牧野が消えた。
「ちょっと男子としゃべったくらいで目くじらたてるのやめてくれる」
「お前は平気なのかよ。もし俺がほかの女と仲よくしても」
「仲良くって、ちょっとあいさつ程度の会話しかしてないわよ」
ぎゃーぎゃーと言いたてる牧野の声が耳を素通りする。
聞いちゃいられねェ。
そうかよ。
言って分からなや態度で示す。
牧野の声を無視して数メートル前の3人ずれの女に近づく。
「えっ?道明寺?」
牧野の視線が俺の背中を見ているのを感じて足を進める。
近付く俺に気が付いた女たちは会話を止めて俺を見つめる。
「キャー、道明寺さん」
本当はこの手の女好きじゃねぇんだ。
俺はなんで牧野の前でこんな意味もねえこと考えるんだ。
あいつに嫉妬させるため。
あいつのまで興味のねェ女を口説く。
近付いて「俺に付きあえ」そう告げるだけでいい。
「道明寺、なにやってんのよ」
飛んでやってきて拗ねる牧野を想像中。
俺の背中を見つめなららもう泣いてるんじゃねぇの?
ふっと空気が変わって背中が寒い。
牧野がソッポを向いて俺の方向とは反対の方向に歩き出した。
お前が見なきゃ意味ねェだろうが。
むかつく!
本当癪に障る。
俺をイラつかせるのは本当にうまいよな。
クソッ!!
女たちを目の前に踵を返して大股で牧野を追い掛ける。
「上等だよ。本当に、西門さんや美作さんみたいに上手くやれるもんならやれって言うの!」
地団駄踏んで大きな独り言の牧野。
「あいつらよりモテるぞ。
それでもお前にモテなきゃ意味はねぇけどな?」
ピタッと動きを止めた牧野がゆっくりと振り返る。
「道明寺・・・」
意外そうに振り向いた表情がゆっくりと頬を動かして嬉しそうに微笑む。
そしてそれを隠す様にぷくっと膨れた。
「一人で、帰ってゆっくりするからついてこなくてもいいから」
「また記憶なくされると俺が苦労するからな」
「そんなに何度も記憶を無くすなんて経験ないわよ」
記憶が戻らなくてもお前に愛してると言わせたくて・・・・
俺を見て微笑むお前が見たくて・・・
自分以外の事をこんなに一生懸命想うのは一生一人だけ。
それはきっと牧野、お前だから。
「今日は一人でいたくない」
背中から回した腕を牧野の胸で交差させる。
抗う様子もなく黙って立ち止まったままの牧野。
交差させた腕はそのまま牧野の肩まで上がり華奢な身体を抱きしめる。
牧野の腕が俺の腕をギュッと掴んだ。
「記憶を無くすって辛いよね。
でも道明寺が居たから辛さも半分で済んだ気がする」
「俺の存在は大きいだろう。なんせ抱いたら記憶戻ってたしな」
「それを言うな!」
俺に抱き絞められてる事を思い出したように全身で抗って俺の腕から牧野が抜け落ちた。
「本当に恥ずかしいだからね」
無性に牧野の拗ねた表情が愛しくてしょうがない。
そして、いじめたくなる。
「そうか、記憶なくなったか」
「なくしてない」
「俺のこと知らねェンだろう」
「知ってるから!道明寺っ!引っ張るな!」
牧野が記憶を無くした設定で話を進める俺に否定を繰り返す牧野。
「あっ、俺誰だ?ここでなにしてたんだ?
お前は誰だ?」
今度は自分が記憶を無くしたフリ。
「あのね。道明寺いい加減にして!」
「今日一日俺を一人にしないって約束するれば元に戻る」
「・・・とに、我儘」
呆れた顔が楽しそうに微笑んだ。
拍手コメント返礼
ゆきこ 様
おはようございます。
昨日のトークの後、夢の中の私はねじり鉢巻きしてPCのキーを叩いてました。
まい2様の返信コメントを読んでいたらいたら一番喜んでくれるのはゆきこ様じゃないかと勝手に思っております。
学生時代位のこの二人のこんないちゃこら意外と少ないの~。
この二人をみてF3ならなんて思うのかな?
遊ばれるぞ~
はいはい、私の佑君ですもんね。
次の段階はどう進ませましょう♪
楓さんもあと少ししたら登場予定ですよ。
どんな楓さんにしようかな♪
みわちゃん 様
記憶を無くすお話は多いですが、記憶喪失の方って見たことがない。
交通事故にあたる確率よりも低いであろうなぁ(^_^;)
やきもちをやかせるための姑息な手段は司君には似合わないですよね。
「たまには嫉妬みせろよ」と迫って落とせばいいんです。(笑)
still・・・ 様
今回のイベントをやるの当たって私も最初読み返し作業をやりました。
なにを書いたか覚えてないものです。(^_^;)
お時間が出来た折にはまた楽しんでいただけると嬉しいです。
うさこ 様
読み返し参加ありがとうございます。
そして、お疲れさまです。
今回の企画はなんとなくまた読んでもらうためにやってるような気がしてきました。
書き直したい衝動ですか?
ちょこちょことした文章の言い回しとか表現とか小さなところなんです。
同じ内容を文章にするにもいろんな表現があるわけで今ならこう書くなとか、こっちの方がいいんじゃないかとか思い出すと手直ししたくなるんですよ。
そうなったらねその作業に没頭しそうで怖いんです。(笑)
記憶の取り直し方も今なら別な方法で書いちゃうかあもしれません。(^_^;)
Hで取り戻すって今考えれば乱暴ですもんね。
でもつかつくならあり得ると納得しちゃうから不思議です。
なる様
記念作品到着ありがとうございます。
一日かかって読んでなんだとがっかりされずに良かったです。(笑)
満足のコメントに満足させていただきました♪
>つかつくの空気感は変わらず どたばたで 微笑ましく 愛しい!
嬉しくなるコメントもありがたいです。
あっ・・・昨日の な 様、なる様だったんですね。
なが頭につく方は数名いらっしゃるので途切れてるんだろうな思ったのですがご連絡いただいて修正させてもらいました。
kachi 様
コメをいただき久々にこのお話読み返しました。
>つくしへの対応がすーっごく優しくて大きいなぁと感じました(*^_^*) 裸になると心も裸になって愛しい人からの愛で目覚めるなんて記憶がもどる所も好きです。
このお話の司君すごく頑張ったんですよね。
記憶を戻すのはとっても簡単なものだったというオチ。
最後にクスッとした笑いを添えて終わりたかったあの頃の自分を思いだしました。