特別な夜は特別に 5

このお話は3部構成で考えてます。

ということは明日がーーーーーーー○○様の予定。

あっでも明日土曜日だ!!!

どうしよう!

今日のうちに仕上げて予約投稿できるかな・・・(^_^;)

分ってたよ。

お前がスゲー緊張してるの。

こんな派手な場所が嫌いなのも知ってる。

嫌いでも慣れてもらわなきゃ困るものがある。

心配するな俺が守るから。

つないだ手は汗でびっしょりで牧野の必死な頑張りを俺に伝えてくる。

離さないでって必死に俺を必要としてる様で、たんにそれだけのことが胸を熱くする。

緊張を解きほぐすつもりで何度も指先に力を入れて指を絡めた。

時折不安そうに見つめる瞳は俺をその中に映しとって優しく笑みを浮かべる。

あと少しだからもう少しの辛抱な。

挨拶の人波が途切れた瞬間に現れた3人。

こいつ等の出現で一瞬で牧野は緊張を解いた。

嬉しそうな顔を俺以外に見せんじゃねェよ。

俺の不満は牧野の緊張を解いたのが俺じゃなくこいつ等だってこと。

さっきまで必要以外は言葉を発しなかった牧野が饒舌に戻る。

「牧野、可愛い」

「似合ってるよ」

類とあきらが言わなくてもこの会場の中で牧野が一番に決まってる。

つーか、まだ俺も牧野に言ってねェこと先に言うな。

牧野より先に俺に何かあるだろう。

今日は俺の誕生パーティー。

「俺たちが牧野を褒めたからって剥れてるだけでしょう。

もしかして、司に言われてない?」

俺を無視して牧野がこいつ等の中心。

「こいつを褒めるときはたっぷりと二人きりの時に褒めてやるんだよ」

これだけはお前らには真似できねぇよな。

俺の勝ち。

俺の特権。

「今日は疲れたから終ったら帰る」

信じられない声は震えて俺の耳に届く。

本気じゃねよな。

誰が本気にするか。

「こい」

牧野の腕を取って足早に会場の扉を蹴り上げる勢いで開ける。

「牧野、司をよろしくな」

その声に振り向いた牧野は脚を止める。

気にせず俺は引きずって会場の外に出た。

「どこに行くの?」

「まだ、終わってないよ」

「いいんだよ。挨拶は済んだから」

振りほどかれた腕をもう握らせないとでも言う様に牧野が背中に隠した。

「上行くぞ?」

「上?」

キョトンとした表情はそのままその意味を理解したように真っ赤に変わる。

「心配するな、無理に襲わねェよ。

腹減ってるだろう? 上の部屋に準備させてるから」

挨拶に追われてさすがの牧野も食べる暇もなくて、アルコールで喉を潤す程度のものしか口に出来てないのは気が付いてる。

「確かにお腹は空いてる・・・」

その声と同時にぎゅるっとタイミングよく牧野のお腹から聞こえた音にどちらからとも笑みがこぼれた。

「お前らしいな」

「だって、今日は一日まともに食べてないもの。死ぬかと思った」

「そのくらいで死ぬか?」

「私には切実な問題なの」

何時もの俺たちの軽い言い合いがいつもの俺たちの雰囲気の中に溶け込ませる。

コツコツと二人で歩く足跡が楽しげに響いて聞こえる。

「去年はさ、滋を引っ張って道明寺いなくなったよね」

「ばか、あれはお前をサルを間違えたんだよ。お前がしっかり俺に掴ませねぇから」

「あのね。自分のミスを私のせいにしないでくれる」

「俺がミスするわけねぇだろう」

呆れたように俺を見つめた牧野が吹きだすように笑う。

天真爛漫な笑顔に魅了されていく。

俺に笑い掛けるお前が一番好きだ。

最上階のスィートルーム。

リビングを抜けた先のテーブルには湯気の上がる温かなディナー。

シャンパングラスに注がれた液体から上がる気泡。

テーブルの上にろうそくの炎がユラユラと揺れる。

これ以上にないタイミングで飾り付けられたテーブル。

「すごい」

感激にあふれる牧野の瞳が俺を真直ぐに見つめてた。

「道明寺の誕生日なのにね。道明寺に準備させちゃったんだ」

「心配するな。お前にはしっかりプレゼントしてもらうから」

「あっ、プレゼントね」

今、わざと俺のプレゼントの意味をはぐらかせたな。

俺にすばやく背中を向けた行動。

顔を見られるの嫌なんだろう?

きっと真赤に紅葉中。

部屋に運ばせてた牧野のカバン。

ごそごそとその中を探して牧野がハイと差し出した小さな四角の箱。

中には堅そうなクッキー。

チョコで書いた俺の似顔絵付。

NYに飛び立つときにもらったクッキーと同じ手作り感満載のやつ。

このクッキーを食べられずに捨てられずにいたあの頃。

こうやって今またお前にもらえるなんて思ってなかったよ。

ひとつ摘まんだビスケットはそのまま口に運ぶ。

「硬い、でも、うまい」

口の中に広がるのは牧野の愛情そのもの。

俺はきっとこの味を一生忘れられないって思う。

「ねぇ、雪だよ」

白く舞い落ちる雪が牧野を窓ガラスに引き寄せる。

牧野の声に誘われて隣りに肩を並べた。

今年の冬こうして一緒に雪を眺めることが出来たのは奇跡。

俺たち・・・

雨とか、雪とかにスゲー邪魔されてるよな。

悲しい別れも・・・

嬉しい再会も・・・

たくさんの思いに押しつぶれそうになった冷たい季節。

それはまるで・・・

降り積もる雪のようで・・・

溶けることなんて出来そうもないと思ってた。

今その雪を温かな温もりの中で二人で見つめてる。

やっぱ・・・

奇跡だろ。

「道明寺・・・」

「ん?」

「HAPPY BIRTHDAY」

背伸びをして延びる足先。

俺に近づいた牧野の唇がそっと俺の唇と重なった。

拍手コメント返礼

みわちゃん 様

去年のつくしちゃんの流れからの司の誕生日まで長かったんですよね。

あの時からこの流れを温めておりました。

は~いパスワードも無事にお届け出来ました。

なる 様

つくしちゃんのクッキーは外せないアイテムなんですよね。

つい使っちゃいます。

ここが着火点!

たしかにそうですね。

ここじゃ終われない。

akko

つくしちゃんをつるには食べ物が一番!

そんなに単純じゃないと膨れてるんだろうな~

うさこ様

フルコース準備して、最後のデザートはもちろんあの子♪

さぁ召し上がれ~

司の前で言っちゃってるのはつくしちゃん♪

気が付いてるかしら?

おくら 様

今回の司はロマンチックに決められてるんじゃないかと思います。

雪のアイテムはロマンチックな夜には欠かせないと思い込んでる私は南国育ちです。