恋人はSecurity Police 34

司の側から逃げ出したつくしちゃん。

追い掛けるのは誰だ~

西田さんなら平和に解決。

楓さんなら司が拗ねる。

司なら大騒ぎ。

加川さんならカン違い。

千葉君相葉君のSP葉っぱコンビならなら・・・SP物語。

放たれた矢は何処に行くかな~

ここ・・・何階だ?

勢いで止った階で降りた私。

ビルの中の造りはどの階も一緒で階数が書いてなきゃまったく迷子。

キョロキョロとあたりを見る私はやっと5の文字を確認できた。

だからってここで何かするわけじゃない。

迷子と思われてもそれはそれで正解だ。

この年で迷子になりそうな不名誉。

誰のせいだつーの。

「あら、あなた・・・」

背中に感じた人の気配。

ここで私を知ってるって・・・道明寺に、西田さんに道明寺のお母さんに秘書課のみなさんとSPの先輩。

そのすべては私の頭の上の遥か高いとこにいるはず。

私を知ってる人はここにはいないはず。

加川さんより若い女性の声だし・・・

あんなドヤ声じゃないもの。

それでも振り返るのには勇気がいる。

「ほら、ヤッパリ!代表と一緒だった子よね?」

わざわざ私の目の前に姿を現してつま先から頭のてっぺんまで見つめられた。

それはこのビルで働く道明寺HD社員の社員証を首から下げてる女性。

「手つないで、エントランスにいたでしょう」

荒れはつないでたんじゃなく強引に引っ張られていただけのこと。

目撃されたのは数分間の短い出来事。

なのに私の顔はもう売れてるの?

やばっ。

どんな関係なの?

そんな興味を貼り付けた顔が目の前で遠慮なく私を見つめる。

「あっ・・・SPなんです・・・見習いの・・・」

この人が信じ様が信じまいがそんなことは関係ない。

ヘタに婚約者とか言えないし・・・

だいいち私はまだ道明寺に返事してない訳だし・・・

こんなところでややこしい言い訳を頭の中で模索してる。

「SP・・・なの?」

「本当に・・・?」

「こんなところにいて仕事になるの?」

それはそうだ、SPなら道明寺のそばに居なきゃ意味がないわけでし、疑問を持たれる理由も分る。

「新米なんでビルの中を見学してたんです」

この言い訳しか思いつかなかった。

「そうなんだ」

そうなんです。

良かった・・・

この人信じてくれてる。

じゃーと歩き出すはずの私の肩がグッッと捕まれて前に進めない。

「案内してあげる」

いいですと断る間もなく荷物をもたされた。

案内とは名ばかりの荷物持ち。

「ちょうど助かった、一人でこれを運ぶって無理なのよ。

うちの課の先輩は人使い荒くて困るの」

初めて会った私に脚立を持たせるあなたも大したものだと思えるんですけど。

「SPだったら体力あるわよね」

にっこりと笑う彼女。

もしかして人気絶頂の道明寺と手をつないでた私が気にくわないからの仕返しとかあり?

「いいわよね。SPってだけで代表の顔を毎日拝めちゃうのよね。

私たちなんて滅多に会うことないし、ずるくない?」

ずるいと言われても困る。

やっぱりこれは道明寺のそばにいる私への鞘当てポイ。

体力がある私でも等身大の脚立の重みは肩に来る。

それでも出来ないと言うのは負けた気がして必死で歩いた。

え?

急に脚立の重みが宙に浮いた様に軽くなった。

そして、私の腕から脚立が離れた。

「なにしてる?」

その声は・・・

私が驚くより早く女子社員が黄色い声を上げて大きく開いた唇が閉じれずに固まった。

「代表っ!」

私にしがみ付いて夢じゃないと確信したい状況に陥ってる。

「代表が・・・脚立をもってる・・・」

ところどころに傷のついた古い脚立も道明寺が持つと神々しく輝くから不思議だ。

あり得ない光景にまわりを歩いていた社員も足を止める。

丁度ドアを開けた男性はいったん閉めたドアをもう一度開けて固まった。

目立つ・・・っ

道明寺とエントランスで引っ張られた時より目立つよ。

「お前、どこに行く気だったんだ。

俺から逃げようなんて思うなよ」

ひやっーーーーッ。

青筋を立てた精悍な顔が目の前で私を見下ろす。

右肩には脚立を背負ってるアンバランスなあり得ない恰好なのに笑えない。

「ちょっと、気分を変えたかっただけだから」

道明寺に見つめられて恥ずかしくて心臓がせわしくうごいて耐えられなかった。

そう言えたらどれだけ楽になるのだろう。

それなのに目の前の道明寺がまた優しく笑うからまたいたたまれなくなる。

「これ、片づけるの頼まれてから」

道明寺から脚立を奪おうと伸ばした腕は直ぐに道明寺に捉えられてしまった。

そして引き寄せられた身体はそのまま道明寺の胸元に吸い込まれる。

「おい、こいつに仕事押しつけたのはお前か」

名指しされた相手はなにも言えずにまだ道明寺をぼっと見つめてる。

「私が持っていくからいいの」

クビを言い渡しそうな道明寺に私は慌ててる。

「どこに持っていく」

「倉庫は右に曲がって直ぐです」

道明寺の問いかけに寝ぼけた様な彼女の声が返ってきた。

脚立を片手に持ってもう片方の腕は私から離さないままに道明寺が歩く。

「ウソだろ・・・」

そんなつぶやきが聞こえて見送るいくつもの視線。

そのまま倉庫のドアを開けて中に入り込む私たち。

パタンとしまってドアは外部との接触を遮るように暗闇を作った。

「電気」

「え?」

「つけろ」

道明寺の命令的な口調に流されるままに壁に手を這わせてスイッチを探した。

あっ・・・

あった。

探し当てたスイッチをパチンといれる。

ありふれたライト照らしだして浮かび上がる艶。

立てかけた脚立にもたれかかるように肩肘を突く道明寺はここが倉庫だと思えない艶やかさで立つ。

顔がいいとどこでもカッコよく見えちゃうんだ。

横にあるのは単なる脚立でも・・・

凄い・・・

「手間かけさせんな」

数歩離れた位置から響く道明寺の声。

それは甘ったるくて本当に、必死で私を探してたって熱のこもった声。

近付いた道明寺がそっと私の手を取って指先が手の甲を優しくなぞる。

まるで私の存在を確かめる様な大事なものに触れる様な優しさで私の掌を道明寺の手の平が包み込んだ。

「行くぞ」

その声に素直にコクリと頷いてしまってる。

ドアに近づく道明寺が険しくその表情を変えた。

「ドアが開かない・・・」

じっと私を見下ろす瞳は真剣そのもの。

「ウソでしょう」

道明寺をドアから離してガチャガチャと何度も回して確かめる。

私たち閉じ込められた?

倉庫に?

嘘みたいな本当の展開!

道明寺は壁に添って背中を下にずらす様に床にぺたりと腰を下ろしてククッと笑みを漏らす。

「お前といると、ホント飽きないわ」

笑い事じゃないだから!

真剣に悩んでよッ!

どうしようッ!

誰か助けて!

どんどんとドアを叩いてドアに耳を当てる。

シーンとして外からは何の反応も返ってこなかった。

拍手コメント返礼

akko

司君~無理しちゃだめなのよ~

怪我してるんだからね♪

それなのに脚立を持たせる私(^_^;)

痛みでシマシマな考えしぼんじゃってるかも・・・

なる様

閉じ込められてラッキータイムとなるでしょうか?

エレベーターに冬の山小屋の次は会社の倉庫♪

出来たら司君の執務室の方が期待できたのにと思う私の方がシマシマな妄想していたりして・・・(^_^;)

保育室の見張り頑張ります。

キョロキョロ(笑)

mizuta 様

きゃーーーーつ

お久ぶりにお名前拝見出来てうれしいです。

この話だんだんと王道になってきてます。

このまま我儘俺様でつくしちゃんをものにしていただきましょう。

お仕事頑張ってくださいね。

そし手が空きましたら来たよとコメント残していただけるだけで嬉しいです♪

アメブロみたいな足跡付けられるといいのになぁ・・・

ゆみん 様

脚立→庶務プレイ

この公式で某テレビのドラマを思い出してしまいました。