最上階の恋人 4
うわ~先週は3連休前から更新できず申し訳ないです。(;^ω^)
以前は毎日更新しないと落ち着かなかった時期もあるんですが、最近はそうでもないんですよね。
毎日書かないといけないと自分を追い込んで書いていたような気がします。
マイペースで書いてもいいのかなと思えるようになったのは5周年を過ぎたあたりでしょうか。
ちょっとしたトラブルで、気力が続かなくなったというのもあるのですが、1か月ほど更新をお休みさせてもらった時があるんですよね。
あの時は本当に参ってしまってもう閉鎖しようかなと思った時期なんです。
今だから言えるのですけどね。
たくさんの励ましもいただいて、楽しみにして下さるかたもいるから新しい話も書こうと思える感じは今の私には程よい刺激となっています。
ご訪問していただいてる方に感謝。
いつも応援ありがとうございます。
*一気になだれ込むエレベーターの中。
思わず最大人数を確認、12人の最大積量600キロ。
もみくちゃとまではいかないが隣の相葉さんが腕で私の身体を守ってくれてるのがわかる。
私の間にできてる腕一本分の壁が結構力強い。
満員電車の中だと勘違いしそうな状況。
「滅多にこんなに混雑しないんですが・・・」
困惑気味の相葉さん。
原因は直ぐにわかった。
じっと私を見つめる視線。
視線が重なって気が付いた私ににっこりとほほ笑む。
西門さん・・・・?
えーーーーっ!
だからなぜか3基あるはずのエレベーターなのにいきなり列がずれて一基集中になったんだ。
周りにやたら女性が多いのもうなずける。
一緒の空気を吸ってみたいそんなピンクの色合いも見えるもの。
「やぁ」
やさしく笑顔で私に微笑むからエレベーターの中の空気が驚愕の驚きの色を放つ。
注目をあびた周りの視線は受付で私に向けられた驚きに匹敵。
茶道西門流第16代家元 西門総二郎。
ただへさえ目立つ容姿なのに、最近は茶道の推進のためにとテレビや雑誌に出まくり。
ここにいる人たちは西門総二郎と確認してエレベーターに乗ってるはずだ。
「牧野がこのエレベーターに乗るのが見えたから俺もこっちに来てみた。
司のところに行くんだろう?」
スマートに私の横に身体をずらしてきた西門さんの声は私の頭の上から耳元に小さく聞こえてきた。
はたから見れば私の耳元にそっと唇を寄せてやさしくささやくような感じ。
西門さんのことなんとも思ってないけどこのシュツエーションは私の耳元を熱くしてくる。
ウンと返事しなきゃいけないのに周りの視線がなにこの子と心臓を射貫くような鋭さ。
顔は真っ赤になってそうだし、鼻息荒くなりそうだよ。
「俺、しばらく日本離れるから、その前に司にあいさつしておこうと思ったら、牧野にも会えるって運がいいよな」
周りをわざと煽ってんじゃないかと思えるような柔らかい微笑。
すっかり周りを骨抜きにしちゃうような魅了さで浮かべた笑みは私だけじゃなく周りをも虜にする優雅さ。
「司がいると、牧野と大した話はできないか・・・」
何か考えるそぶりを見せる西門さんと同時に止まったエレベーター。
「ちょうどいい」
開いたエレベーターの向こうに見えたカフェテリア。
「牧野、しばらく俺につきあえ」
いこうと軽く私を促す感じの西門さんについていったのは、本当に単なる条件反射。
飼い主にやさしく言われて従が従順な子犬状態にうっかり陥ってしまった。
まぁ・・・
道明寺との約束の時間までまだ30分ある。
ちょうどいい時間つぶしになるかもと自分を納得される。
西門さんと対面して座る二人掛けのテーブル。
「牧野、こいつ誰?」
私の目の前、西門さんの横に立っているダークスーツの相葉さん。
どこかその雰囲気は一般のサラリーマンとは一線を引いている。
「え・・・と・・・道明寺が・・」
「あっ・・・なるほどね・・・
司が牧野に送った番犬てとこか」
私が説明する前に全部悟り切ったような表情で微笑んだ西門さん。
「牧野のことになると司は必死だからな」
そう言いながら注文を取りに来たウエートレスに二人分の注文をする。
「牧野はこれ同じようなやつをまえも頼んでたよな?」
西門さんが頼んでくれたのはチョコたっぷりのパンケーキセット。
以前私が頼んだものをしっかり覚えてくれてるのは女性としてはうれしい心遣い。
さすがは西門さん、。
道明寺じゃこうはいかない。
迷ってる私にサッサと決めろという目つきでにらみながら勝手に注文しちゃうもの。
チョコにするかハニーシロップにするかどれもおいしそうだから迷っちゃうんだよね。
迷っていた気持ちは完全に消えてしまってる。
私たちの席の隣には相葉さんが何も言わないままに座ってる。
決して私たちから目を離すことのない感じなのはわかるが、その態度は私たちを見張ってるというような強気なものじゃない。
単にそこで休んでるという雰囲気を作りだすようにスマホの画面を操作してるのがわかる。
耳元からちらりとのぞいたイヤホン。
襟首に唇を寄せて小さく動いた唇。
ドラマなんかでよく見る、仲間になにやら伝えるためにマイクに話す感じの一場面。
SPみたい~って、SPだった。
「牧野、何見てるの?」
「えっ?」
相葉さんを見ていた横向きの顔を西門さんの声に反応して90度前に戻す。
「俺といるのにほかのやつに興味を向けるのは牧野だけだな」
ククっと声を漏らした西門さん。
久しぶりに見た西門さんのやたら楽しそうな表情。
「アレ・・・司に牧野が男とデートしてるって連絡してたりして」
「西門さんッ!」
思わず声を張りあげそうになって口を手でふさぐ私に西門さんはまた楽しそうな声を上げた。
男って!西門さんじゃないかぁぁぁ。
それも自分から私をお茶にさそったんでしょうッ!
そう思いつつ・・・
不機嫌に眉を吊り上げる道明寺の顔がぷかっと浮かんできた。