野獣は素肌で戯れる 4

やっとこの話が更新できます。

題名を考えると野獣(司)が素肌(つくし)で戯れなきゃ終われないのよ~。

まだ戯れるどころかF4そろい踏みだし・・・

ふたりっきりになるには障害が多すぎです。

戯れずに終わったりして・・・(^-^;

「あまり、食いすぎるなよ」

耳元に息遣いともに低い声が触れる。

視線を惹きつけるその横顔がどうみられてるかは、注がれるうっとりとした熱い視線とのため息交じりの吐息でわかる。

いつものことといえばそれまでだが珍しくF4がそろう会場でそのため息は分散中。

セレブだけじゃなくそのなかに混じる有名人。

映画やドラマでよく見かける顔やスポーツ選手も多く招待されてるのにそのオーラを飛び越えてるF4。

既婚の二人に独身の二人。

そんなの関係ないって熱気が籠る会場。

私の立ち位置はしっかり見とれてる女性と入れ替わって想像されてるのだろう。

甘い言葉は言われてないから!

うっとりしてるのは司の声が届いてない女性だけ。

私はうっとりするよりムッとしてる。

10代のころじゃないだから大口開けてお腹に押し込むような食べ方はしないわよ。

それに食べるどころか入れ替わり立ち代わり足止めされて料理の並ぶテーブルまで行きつけてない。

ワイングラスしか私の手元には届いてない。

チーズくらいつまみにほしいものだ。

呼び止められた司は私を残して人波の中に消えていった。

頭一つ飛び出てるからどこにいるかはわかるんだけど・・・

一人にされるのもよくあること。

道明寺夫人という地位は今では私を一人にはしてくれない。

司がいなくなっても声をかけられる割合はグッと上昇中。

そこは慣れたものでにっこりと笑ってそれなりの会釈や会話はでその場を取り繕うこともできるようになったと思う。

強面の某自動車会社の会長さん。

私を見つけると「つくしちゃん、来てたのか」と柔和なお顔で近づいてきた。

お孫さんが駿と同じくらいで童話の話で盛り上がったのは3か月前。

寝る前に孫に読み聞かせるというのは鉄の女と呼ばれてるどこかのお母様と重なる。

絵本を開いて頑固なおじいさんとおばあさんが顔を緩めて幼児に本を読んでる姿はほほえましいって思う。

会社のTOPの姿とのギャップに私も萌えてしまう。

さすがに司はいまだに駿を寝かせるために絵本を読むなんてことはないけど。

一度やってもらおうかな。

絵本ならひらがなだからさすがに司も言い間違いはないだろうし・・・

司に登場人物で声色を変えて読むって技術あるかな?

高音や低温を必死で使い分ける司を想像したら笑いが止まんなくなってしまった。

「楽しそうだな」

棘のある声の主はいつの間にか戻ってきた司。

「もう、いいの?」

返事をしながら司の不機嫌な原因を探ろうと試みる。

まさか駿の読み聞かせを司にさせようという目論見がばれたとは思えない。

若い男の人とは接触してないし・・・

挨拶を交わした男性は両手の指の数程度はいたけど・・・

それは短い時間で・・・

花沢類と一緒だったときは司もいたし・・・

「なに、笑ってんだよ」

「俺以外のやつに機嫌よくわらいかける必要あるのか?」

「渋い顔をしてるより笑顔のほうがいいに決まってるよね?」

「必要以上に愛想振りまくんじゃねぇよ」

わけのわからない司流の流儀。

あのねッ!

それって我儘!

独占欲の塊!

無視しろ!

相手すんな!って言ってるのと一緒だよ。

交流の場が今後のつながりに影響するんだから。

『牧野つくし』のままなら誰にも興味を示されず料理を口にいっぱい詰め込んで食べて終われる。

けどね。

『道明寺つくし』になった今ではそれなりの対応が求められる。

私の態度はそのまま次の日にはお母さまの耳に入っちゃうんだからね。

「俺がいないところで楽しそうに笑ってんじゃねよ」

棘がわずかに取れて拗ねた表情が顔を出す。

私からそらして視線は宙を泳ぐ。

「とにかく、わかったな」

とってつけたような強いな声。

「わからないなぁ」

わざととぼけて応えた私を目を大きく見開いた司が見下ろす。

動揺してるのが手に取るようにわかるから私も面白くなる。

「司といるときのほうが私は断然いい笑顔見せてるって思ってるんだけど」

くるりと腕を司の右腕にまわして身体を寄せるようにくっつけた。

身動きができないように固まった司。

私を見下ろしていた瞳がもう一度宙を仰ぐ。

紅く染める色は顔から首元まで来ちゃってる。

「なんか、熱いな」

襟元を広げるように司の指先がタイを緩める。

ぼそっと聞こえた声に私は屈託ない笑い声をあげてしまってた。