ホワイトデー編

* 知り合った最初の年、バレンタインデーは終わっていた。
2年目のバレンタインデー。
あいつに呼び出しを受けて一人有頂天になっていた。
そんな俺に、あいつは「もう遅い」と俺からあいつへの、たった一つのプレゼント・・・。
土星のネックレスを押し返した。
「こんなの俺には、何の価値もねえ」と俺は、橋から流れのある川の中へネックレスを投げ捨てた。
それをあいつが探して・・・
拾ってたなんて・・・
今は、あいつの胸から土星のネックレスが離れることはない。

3年目の今年、初めてあいつからチョコレートをもらった。
すげー不細工な手作りチョコレート。
真剣に見つめるあいつの目の前で、チョコレートを一つ口に運ぶ。
「うめぇ」あいつは満面の笑みで「でしょう」と言って、にこっと笑った。


俺は、牧野にバレンタインもらったの今回が初めてだから、ホワイトデーのお返しも初めてだ。
ホワイトデー事態を気にするのは、実際生まれて初めての出来事だ。

一体なにを、プレゼントする?
高価なバックに宝石プレゼント!?
あいつは、花より団子だろうし・・・
夜の夜景をプレゼント!?
俺の柄じゃねえ・・・
一体なにがあいつは喜ぶ?
全く解かんねえ。
ここ数日、俺はプレゼントに悩みっぱなしだ。
迷った挙句、結局俺が助けを求めたのは、あいつらしか思い浮かばなかった。
「いいホテルと、いいワイン、あとは甘い言葉だけ」とあきら
お前らでは想像できねえなぁと総二郎は、にやりと笑いやがった。
「それとなく牧野に聞けばいいんじゃない」と類。
類の言葉に素直に納得する俺。
なんかほしいものあるかと、牧野に聞いてみた。
「時間」と、つれない返事が返ってきて、俺の計画は成り立たなくなってしまった。

迎えたバレンタイン当日。
朝9時あいつの携帯のベルを鳴らす。
「出ねえ」無性にもありふれた留守電のアナウンスが聞こえだす。
それは、夕方まで続いてしまった。

何度となく留守電に吹き込んだ伝言は「連絡くれ」から「てめぇどこにいる!俺を避けてんのか!」に代わっていた。

夕方7時過ぎようやく牧野と会うことができた。
「ごめん、今日はなんだかバイトの交代えらく頼まれてしまって・・・」と、無邪気にあいつは、ほほ笑む。
「牧野、お前今日は俺と会う気はなかったのか?」
「えっなんで?今日なんかあったっけ?約束はしてなかったよね?」
こいつの口早な質問攻めに少しイラッとくる俺。
「お前、本当に忘れてるのか!」
今日は・・・・怒らない・・・怒らない・・・と、心の中で自分に言い聞かせる。
不思議そうに俺を眺める牧野の表情は、ホワイトデーのホの字もなさそうだ。
「約束はしてなくても、今日はホワイトデーだろうが」
「あっ!忘れてた」
「だから・・つまり・・・俺・・・お前の欲しがるものいろいろ考えて・・・」
「結局解かんなかったから、お前の望むことなんでもかなえてやるつもりだった」
「なのに、忘れてただと、いい加減にしろよ」
「ごめん・・気がついてなくて・・・」
「道明寺が、ホワイトデーのこと考えてくれてるなんて思わなかったから」
そっと、牧野の腕が、俺の腕をからみとった。
「道明寺とこうして少しでも二人でいれたらそれだけで、私はうれしいから・・・」
俺の肩にあいつの頭がそっと添えられた。
「なんだ、そんなもんでいいのか?欲がねえな」
「うんん、私すごく欲張りだよ、道明寺いつも一人占めしてるもん」とあいつは照れて笑う。
「じゃあ、俺もお前一人占めだ」
俺はあいつの背中に腕を回すとギュッと強く抱きしめた。

そういえばバレンタインのチョコって・・・
こいつ・・・
送ったの俺が初めてかな?なんて気にしている想いが、ふと浮かぶ。
もう一度牧野をギュッとギュッと自分の胸の中に抱きしめた。

*ちふゆ様からいただきました題名をもとに書いてみました。
この「つかつく 24h」シリーズ化でいけそうな気がします。

 

拍手コメント返礼

まあも 様

2010年3月UPのお話。

このころはまだFC2じゃなく別なところでブログを借りて二次を書いてたんですよね。

ファイナル見てまだ熱が冷めてなくて楽しんでましたね。

楽しくなるオチをお笑いのネタを考えるように考えてたなぁ。

関西出身ですか?なんてコメントをいただいたこともありました。

いろんなお話書きたくなる気持ちわかっていただけてうれしいですよ。