二人の休日①
*ある晴れた日の日曜日。
珍しく何の予定もない真っ白な時間。
のんびりゆっくり二人で部屋にしけこもうとする俺の邪心な考え知ってか知らずか・・・。
「たまには外で元気に過ごそう」なんて牧野が甘ったるくにっこり笑う。
そんな顔されちゃあ、嫌とは言えない。
お抱え運転手もSPも今日はなし!なんて言ってる牧野、すげーかわいい。
そんなに俺と二人がいいのかとテンションも上がる。
よく考えたらこのまま俺の部屋にいた方が二人っきり仲良くなれたはずだと後で気がついた。
そんでもって・・・・
絶対ありえねえ体験させられた。
初めて乗った満員電車。
他人との密着度半端じゃねえ。
なんでこう身体が動かねえ。
おい牧野!お前の周り男だらけじゃねえか。
慌てて俺はもがきながら両手を動かし牧野の背中に腕を回す。
すっぽり俺の胸の中へ牧野を抱え込むのに成功。
こんなに人込みで牧野にくっついても文句言われねえって結構いいんじゃねえ!?
隣のおっさんが俺に密着してるのは牧野が密着されるよりはましと我慢する。
俺以外が牧野に触るのは許せねえからな。
電車を降りて改札口で牧野のまねして切符を挿入口に通す。
おっ!入り口開いた。
なんかすげーと感動。
「でかいあんたが立ち止ったら通行の邪魔」と動かない俺を牧野が引っ張る。
俺様が並んで乗り物に乗るなんて考えられねえ。
それも何もかも牧野にやってもらわなければ電車一つも乗れない現実。
なんだか無性に腹が立つ。
なんでわざわざこんな事付き合わなきゃいけないんだと叫びたくなった。
「ボーッとしてるとはぐれちゃうよ」なんて牧野から俺の手を握る。
なんか今日は牧野積極的じゃねえか。
たまにはいいか、なんて気分になった。
その後・・・
訳が分らぬまま牧野にひっぱりまわされる俺。
気がついたら女子高校生みたいなのがキャピキャピ言っている場所に連れて行かれた。
良く見るとほとんどがカップルばかり。
「これなんだ?」
「プリクラ」
「プリ・・・クラ?」
「なんかのクラブか?」
「プッ」
なにするものか絶対わかっていない俺の顔に思わず牧野からは、笑いが漏れる。
「写真撮るの!」
呆れたように言いやがった。
「写真?」
「だって、二人の写真なんてないからプリクラぐらい付き合ってくれてもいいでしょう」
「いいから、入って」俺の背中をぐいぐい押しながら狭い空間へと押しやられた。
「そこ座って!」
「正面がカメラだから、お金入れて・・・と」
「前向いて、もっと近づかないとちゃんと映らないよ」
「2ポーズ撮れるからね。準備して」
正面の画面に俺と牧野の顔が映る。
それもあいつの頬が俺の頬にぴったりとくっつくなんて・・・
ありえねえ状態。
あいつがにっこりポーズを付ける。
催促されて俺も笑いを作るがうまく笑えねえ。
「次のポーズ考えて」
そして俺の頬にあいつの頬がくっついた。
これじゃさっきと一緒じゃねえか。
シャッターがおりる瞬間あいつの顔を横に向け、唇にキスしてやった。
写真が刷り上がるまでの短時間
ギャーギャーうるさく怒るあいつに、黙れともう一度キスをする。
「結構ここ密室だな」
俺の言葉に耳まで真っ赤になる牧野。
「ククク」と思わず俺の口から笑いが漏れる。
出来上がった写真を見て「これじゃあ、どこにも貼れないじゃん」とすねたように言いやがった。
「へえ~これシールになってるだ」とニヤつく俺。
牧野から取りあげた写真を見ながらどこに貼るのが一番目立つか考えていた。
おまけ
今日撮ったプリクラどこに貼る?
ほっぺくっつけて、俺がふやけた笑いしている奴じゃなく、二人キスしてるプリクラ写真。
結構ラブラブじゃねーか。
1枚は俺の携帯に♪
もう一枚は・・・
牧野のほっぺに貼りつけた。
ボコッと頭殴られた。
結構プリクラおもしれえ。
今度うちに1台置いとくか。
いつでも牧野とプリクラ撮れるようにな。
拍手コメント返礼
まあも様
こんなありふれた二人実はいっぱい書きたいんですよ。
司の華やかな世界より庶民派てきなこと好きなんですよね。