捕獲!

失踪!逃走中!捕獲!

3部作のお話になります。

いや~ここは☆マークを!!

付けたかったなぁ(^_^;) 

西田さん日記はこちらです。

*

「来てくれたんだ」

「帰ったら休みなしの条件を約束させられたけどな」

牧野を餌にうまく西田に操られてる気がする。

俺を見て照れくさそうに微笑む牧野に、西田の思惑に乗っかるのも悪くないって思える。

俺も丸くなったもんだ。

3時間山道を歩いた俺は、ただいま温泉に入浴中。

一人ってありかよ!

個室に付いてるこじんまりとした露天風呂。

二人で入るには十分な広さ。

俺としては、もっと狭い方が密着度があってスキだけどな。

そんなヨコシマな妄想は夢に潰えてしまってる。

牧野たちの部屋とは少し離れた部屋。

この部屋が一番広いって牧野が嬉しそうに俺を案内した。

俺と一緒に居るべきあいつは、恥ずかしいとか、照れるとか、親がいるとか、同じ意味を強調して家族の部屋に戻る。

風呂から出たら連れ戻す!!

「おっ・・・」

風呂から出て声をあげそうになった!

ここで、はしゃぐより耐えろ!

平常心!

平常心!

「どうした?」

緩みそうになる頬を押さえて、低めに声を出す。

「部屋を追い出されたの」

「それも今日は一人一部屋で過ごすって、もう一部屋開いてるはずの部屋は、飛び込みのお客さんだって言われて、絶対わざとだよ」

力の入った牧野の声。

嬉しそうに聞こえるのは俺の願望か?

「最初から、素直に一緒の部屋を寝るって、言えばいいんだよ。素直じゃねェな」

「素直って、別な部屋には親がいるんだよ!」

「ばーか、俺たちは親公認の仲だろうが」

まだ何か言いたそうに膨れた頬はそのまま赤くなって無口になる。

「そろそろ俺が恋しかったんじゃねぇの?」

「そんなわけないじゃッ、ひゃッー」

全て言わせないままに牧野を抱き寄せる。

すっぽりと胸の中にこのままこいつのすべてを閉じ込めたい。

久し振りに嗅ぐ牧野の匂い、伝わる熱が風呂上がりの火照った身体をそれ以上に熱くする。

ベット・・・

ねぇのかぁ・・・。

あの襖の向こうに確か布団があったはずで・・・

シッカリそこは最初に把握済み。

こんな時って、俺が布団を敷くべきか?

いかにも今からやることしか考えてねェ様な印象を牧野に植え付けかねない。

実際、今すぐにでも布団の上に押し倒したい本音。

うきうきと布団を敷くのもダサい気がする。

「風呂にいるぞ」

「えっ、今上がったばかりじゃなかった?」

「おまえとはまだ入ってねェし、疲れた身体にマッサージでもしてもらおうか」

「ヤダッ」

逃げようとする牧野を抑制するように腕に力を入れる。

「逃げんなよ。誰のために頑張ってると思ってんだ」

「山道3時間歩かされたんだぞ」

「それは道明寺が勝手にッ」

自由に動く首を動かして俺を下から牧野が見つめる。

プックとした下唇がわずかに開いて艶めかしく俺を誘う。

吸い寄せるようにぴったりと触れ合う唇。

ゆっくりと味合うつもりが、余裕がなくて、唇を割って牧野の口内に滑り込ませる舌先。

遠慮がちに触れあっていた牧野の舌を絡めとって夢中で返すキス。

指先は自然と胸に触れて、肌に直に触れられる入り口を探す。

離れて唇から漏れる吐息。

甘く、熱く、そして俺を誘う。

親がいること忘れさせてやるよ。

牧野の捕獲に成功した。